• 訪日ベトナム人のハイシーズンは4月と10月、春と秋が人気
    • 団体旅行の需要は最高水準
    • 技能実習生の多さはインバウンドにも好影響

インバウンドにおけるベトナム市場の特徴とは

訪日ベトナム人数は2019年には約50万人でしたが、2022年には約28万人でした。

2022年、訪日ベトナム人は一人あたり21万7,495円を訪日旅行時に使っています。

2023年第1四半期に訪日したベトナム人を年齢・性別ごとに見てみると、男女共に30代が大きな割合を占めています。

また、訪日ベトナム人のインバウンド市場で特筆すべき点は「ハイシーズンは3月、4月と10月」「団体旅行の需要の高さ」「VFR需要の高さ」の3つです。それぞれ詳しく解説していきます。

訪日ベトナム人インバウンド市場、3つの特徴を解説

1. 訪日ベトナム人のハイシーズンは4月と10月、春と秋が人気

コロナ前の訪日ベトナム人数の遷移を月別に見てみると、4月を中心に春季に最も多くのベトナム人が訪日していることがわかります。

次いで10月を中心とする秋季も人気であることがわかります。日本のはっきりとした四季に魅力を感じ、春や秋の温暖な気候を楽しみに来るベトナム人が多いようです。

ベトナム人向けのインバウンド対策は、4月と10月に重点を置いて実施することも効果的であるといえます。

2. 団体旅行の需要は最高水準

2023年第1四半期のベトナム人の旅行形態をみると、観光・レジャー目的の場合は半数以上のベトナム人が団体ツアーを利用して訪日していたことがわかります。

同時期の訪日客の中で、団体ツアーの利用率は全国籍中でもベトナムが最も高くなっていました。

コロナ禍の日本の観光業界において、個人旅行以上に団体旅行は「消滅」してしまっていたため、団体客を受け入れるための設備やノウハウが失われている現状もあります。

訪日ベトナム人を受け入れるためには団体客の受け入れ態勢を早急に立て直す必要があるといえます。

3. 技能実習生の多さはインバウンドにも好影響

法務省の令和4年6月のデータによると、全国の技能実習生は約33万人でした。この数値を国籍別にみると、半分以上となる約18万人がベトナム国籍でした。

「全目的」でみた場合の滞在期間が非常に長くなっていますが、これは技能実習生として在留している外国人の数が反映されているためです。観光・レジャー目的の訪日客にはカウントされないため、そちらの数値を参考にしてください。

在留ベトナム人数が多いということは、それだけ彼らの親族や友人が日本を訪れる需要、いわゆるVFR(Visit Friends and Relatives)の需要もありそうです。訪日ベトナム人に向けてプロモーションを行う際には、技能実習生として暮らす在留ベトナム人の存在もあわせて意識するのも効果的といえそうです。

ベトナム人の特徴

ベトナム人の性格・国民性

ベトナム人の性格・国民性には、一般的に以下のような特徴があるといわれています。

  • まじめで勤勉
    • ベトナム人は基本的にまじめで勤勉な性格といわれ、日本人に近い部分を持っています。
  • プライドが高い
    • 階級社会であるベトナムではプライドが高い人が多い傾向にあります。
  • 話好きである
    • ベトナム人は基本的に話好きです。気さくでフレンドリーな国民性であるということができます。

また、ベトナムは南北に長い国であり、南と北に住む人で性格が違うことで有名です。

首都のハノイが位置する北部では、日本でいう関東人のようなまじめで計画性があり、冷静な性格の人が多い傾向にあります。一方、ベトナム一の商業都市であるホーチミンが位置する南部では、関西人のように明るく朗らかで楽観的な人が多い傾向にあります。ベトナム人と接するにあたって参考にすると良いでしょう。

<参照>

  • 明石書店出版:今井昭夫・岩井美佐紀「ベトナムを知るための60章」

ベトナム人と接するうえで気を付けておきたいマナー

多宗教国家であるベトナムでは、これといって厳しいマナーは存在していませんが、以下の項目に関しては頭に入れておきましょう。

  • 文化的に儒教の影響を受けている部分があるので、年上を敬うようにする
  • 食事に行く際は、誘った側がお金を出す
  • 食事の際は皿に口をつけない。必ずスプーンやフォークを使用する
  • 人に料理を盛り分ける際には、箸の裏側を使う

<参照>

  • 明石書店出版:今井昭夫・岩井美佐紀「ベトナムを知るための60章」

ベトナム人の親日度・日本語学習者数

電通「ジャパンブランド調査」によると、ベトナムは2019年時点で「親日度ランキング」全20か国のうち3位となっており、特に高い親日度を持っていることが分かります。(*1)

国際交流基金「海外日本語教育機関調査」によると、ベトナムには2018年時点で818校の日本語教育機関と7,030人の日本語講師が存在し、174,461人が日本語を学習しています。(*2)

<参照>

(*1)電通 チーム・クールジャパン「ジャパンブランド調査2019」 (*2)国際交流基金 2018年度海外日本語教育機関調査結果(速報値)

ベトナム人のスマホ事情:人気の機種やSNSは?

ベトナムはAndroidがiOSより人気で、約65%のシェアを持っています。しかし、ベトナムの平均月収は404.03米ドルとなっているにも拘らずiPhoneが約33%のシェアを持っているのは注目すべき点です。

ベトナム人はiPhoneをファッションの一つとして捉えているため、ある程度の投資をして購入する端末という位置付けになっているようです。中古市場では多くの型落ちiPhoneが取引されています。

人気のSNSアプリはiOS・Android共にZaloとFacebook Messengerがランクインしています。Zaloはベトナム・VNGが運営するチャットアプリで、多くのベトナム人に愛用されています。

ベトナムのイベント・祝日カレンダー(2022年・2023年)

2022年2023年
元日1月1日(土)1月1日(日)
テト(旧正月)1月31日(月)1月20日(金)
テト(旧正月)2月1日(火)1月21日(土)
テト(旧正月)2月2日(水)1月22日(日)
テト(旧正月)2月3日(木)1月23日(月)
テト(旧正月)2月4日(金)1月24日(火)
テト(旧正月)1月25日(水)
テト(旧正月)1月26日(木)
フン王記念日4月10日(日)4月29日(土)
南部解放記念日4月30日(土)4月30日(日)
メーデー5月1日(日)5月1日(月)
建国記念日9月2日(金)9月2日(土)

(参照)日本政府観光局(JNTO) 訪日旅行データハンドブック 2022年より

ベトナムの歴史

南北に長いベトナムでは、北に位置する中国との関係は極めて重要なものでした。中国はベトナムにとって長い間宗主国として君臨しており、度々内乱が起きていました。

そんなベトナム史に大きな影響を与えたのはフランスです。フランスは、19世紀にかけて幾度となくベトナム、またその宗主国にあたる中国に対して戦闘を仕掛け、1884年にはフランスはベトナムを完全に支配下に置きます。

その後、太平洋戦争中にはフランスの植民地支配の解放軍という名目で、日本軍がベトナムに進駐しました。日本の敗戦後、フランスはベトナムに進駐し続け、ホー・チ・ミンによって作られたベトナム民主共和国と第一次インドンシナ戦争に突入します。フランスの戦況は次第に悪くなり、ディエンビエンフーの戦いに敗れたのちフランスはベトナムから撤退します。

ベトナム民主共和国は、ソ連と中国から支援を受けており、東南アジア件に共産主義が広まることを恐れたアメリカはフランスの代わりにベトナムに進駐します。

南北で「資本主義」と「共産主義」の2つに分断されたベトナムは冷戦の舞台となり、アメリカ軍による北爆が始まったのち、ベトナム戦争がはじまります。

アメリカは大苦戦し、1975年に南部の拠点であるサイゴン(ホーチミン)が陥落したことで、アメリカの敗北が決定。1976年7月2日に、ベトナム社会主義共和国が成立したことで現在のベトナムがかたちづくられました。


<参照>

- 明石書店出版:今井昭夫・岩井美佐紀「ベトナムを知るための60章」

ベトナム宗教観

ベトナムは多宗教の国であり、他の宗教に訳悦した「国教」的な立ち位置の宗教がありません。ベトナムではベトナム当局による宗教管理が行われており、当局に認められた宗教のみが活動を行うことができます。

現在、ベトナム国内で法的に認められた宗教は33団体あります。仏教・カトリック・プロテスタント・イスラム教・カオダイ教・ホアハオ教などがその例にあたります。

ベトナム国内において、最大の宗教は「仏教」です。ベトナム仏教は大きく3種類に分かれており、大乗仏教で中国仏教の影響を大きく受けている「北宗仏教」、上座仏教系の「南宗仏教」、そして「乞土仏教」です。ベトナム仏教の信者は全ベトナム人の半数以上を占めているといわれていますが、どこまでを仏教徒とするかは線引きが難しく、正確な数は分かっていません。

ちなみにベトナム政府の発表では、2005年における仏教徒の数は1,000万人とされています。同発表によると、カトリックは595万人、プロテスタントは98万人、カオダイ教徒は227万人、ホアハオ教徒は123万人、イスラム教徒は6万人とのこと。

一昔前では、ベトナム当局は仏教・カトリック・プロテスタントの3団体のみを公認主教としていましたが、先述の通り、最近では33団体まで増えており、ベトナムでは宗教の多様化が進んでいることが把握できます。


<参照>

- 明石書店出版:今井昭夫・岩井美佐紀「ベトナムを知るための60章」