• ハイシーズンは春季と秋季
    • 全国籍中2位の消費単価
    • 円安によるさらなる単価上昇に期待

インバウンドにおけるイギリス市場の特徴とは

訪日イギリス人数は2019年には約42万人でしたが、2022年には約6万人となりました。2022年、訪日イギリス人は一人あたり30万1,537円を訪日旅行時に使っています。2023年第1四半期に訪日したイギリス人を年齢・性別ごとに見てみると、男性は20代、女性は30代が最も大きな割合を占めています。また、訪日イギリス人のインバウンド市場で特筆すべき点は「ハイシーズンは春季と秋季」「消費単価の大きさ」「円安による単価上昇」の3つです。それぞれ詳しく解説していきます。

訪日イギリス人インバウンド市場、3つの特徴を解説

1. ハイシーズンは春季と秋季

コロナ前2019年までの傾向では、訪日イギリス人のハイシーズンは4月を中心とした春季、および10月を中心とした秋季でした。一年を通して気候が安定しないイギリスで暮らす人々は、訪日旅行の際には穏やかな時期を選ぶ傾向があるようです。また、夏季と冬季にも訪日数の大きな落ち込みがそれほどみられないのも、訪日イギリス人の特徴の一つです。

2. 全国籍中2位の消費単価

2019年のデータでは、訪日イギリス人の一人あたり消費額は24万1,264円であり、これは全国籍中でも訪日オーストラリア人に次ぐ第2位の多さでした。訪日イギリス人市場をさらに拡大させていくためには、コロナ禍の期間中に日本に興味を持った人など、新規の顧客をどれだけ獲得し、さらにリピーター化までもっていけるかどうかがカギとなりそうです。

3. 円安によるさらなる単価上昇に期待

コロナ禍の間に、米ドルと同様にポンドに対しても円安が急速に進行しました。このことにより、訪日イギリス人の間では、よりランクの高い宿泊施設を選んだりなど、訪日旅行の予算を増やすような傾向も出てきているようです。それぞれの顧客に合わせてパーソナライズされた高付加価値・高単価なサービスを用意できるかが、訪日イギリス人観光客の消費額上昇のカギだといえるでしょう。

イギリス人の特徴

イギリス人の性格・国民性

イギリスは紳士の国とも言われるように、男女共に紳士淑女のような振る舞いが良いとされています。そのため公共の場では多くの人がマナーを守り、電車で年配の方に席を譲るのはもちろん、扉を後ろの人が来るまで開けたまま待ったり、重い荷物を持っている人を見かけたら手伝うなど、常に周りに気を配る人が多くいます。

しかし、イギリス人はパブ好きな一面もあり、気軽にビールが飲める店として主に若年層を中心にパブは人気を集めています。その結果、夜になると飲みすぎてしまった人が道端で倒れてしまったり、昼間の紳士的なイギリス人とは様子が一変してしまうこともあるようです。

イギリス人と接するうえで気を付けておきたいマナー

イギリスは世界でも有数のマナーを重視する国家です。礼儀正しい人が多いため、マナーを知っておくことでイギリス人と接する際に役立つでしょう。

レディーファーストなのはもちろん、直接的な言い回しが好まれるアメリカ等の国とは異なり、イギリス人は否定を行う際には肯定から入る(I understand what your opinion is, but…等)、列に並ぶ、扉を開けたら次の人が来るまで開けておく等のマナーが存在します。

また食事の際には、手は常にテーブルの上に出しておく、麺類は啜らない、フォークは左手で用いる、トーストは切り分けて食べる等多数のマナーがあります。イギリス人と食事をする際には改めて確認をすると良いでしょう。

イギリス人の親日度・日本語学習者数

電通「ジャパンブランド調査」によると、イギリスは2019年時点で「親日度ランキング」全20か国のうち15位となっており、親日度が特別に高い訳ではないことが分かります。(*1) 国際交流基金「海外日本語教育機関調査」によると、イギリスには2015年時点で364校の日本語教育機関と704人の日本語講師が存在し、20,093人が日本語を学習しています。(*2)

<参照>

(*1)電通 チーム・クールジャパン「ジャパンブランド調査2019」 (*2)国際交流基金 2015年度 海外日本語教育機関調査

イギリス人のスマホ事情:人気の機種やSNSは?

イギリスはiOSがAndroidより人気で、約51%のシェアを持っています。しかし、AndroidスマートフォンとiPhoneでシェアを2等分していると見ることもできます。

人気のSNSアプリはiOS・Android共にWhatsAppとFacebook Messengerがランクインしています。これらは共にアメリカ企業のSNSアプリです。また、Android第3位にランクインしているDiscordもアメリカ企業で開発されており、ゲーマー向けのオールインワン・コミュニケーションアプリです。

イギリスのイベント・祝日カレンダー(2022年・2023年)

2022年2023年
元日1月1日(土)1月1日(日)
グッド・フライデー4月15日(金)4月7日(金)
イースター・マンデー4月18日(月)4月10日(月)
5月の銀行休業日5月2日(月)5月1日(月)
春の銀行休業日6月2日(木)5月29日(月)
エリザベス女王即位70周年記念祝日6月3日(金)
夏の銀行休業日8月29日(月)8月28日(月)
クリスマス12月25日(日)12月25日(月)
ボクシング・デー12月26日(月)12月26日(火)

(参照)日本政府観光局(JNTO) 訪日旅行データハンドブック 2022年より

イギリスの歴史

紀元前55年、共和政ローマがグレートブリテン島への侵略を企て、紀元43年にはローマの属州として編入されました。その後4世紀頃になると異民族の侵略によりローマはグレートブリテン島から引き上げ、7世紀頃にはアングロサクソン人の王国が支配するようになります。

9世紀から10世紀頃にはノルマン人の動きが活発になり、イギリスもノルマン人の支配を受けるようになります。ウィリアム1世により開かれたノルマン王朝はプランタジネット王朝へと続き、立憲君主制の元となるマグナカルタが誕生します。その後1455年の薔薇戦争を経て宗教改革が起こり、現在のイギリスというまとまりが形成されることになります。

スチュアート朝、ハノーヴァー朝と続いた王朝は現在のウインザー朝へと続くこととなり、大航海時代には多くの植民地を獲得するも1776年にはアメリカ合衆国がイギリスより独立します。その後、アイルランドの独立を恐れたイギリスはグレートブリテン及び北アイルランド連合王国を設立させ、これが現代へと続いています。

18世紀には世界に先駆けて産業革命が起こり、大きく文明化が進むと同時に労働者の地位が問題となりました。植民地を多く取得したイギリスは帝国主義を実行し、第一次世界大戦、第二次世界大戦ではそれぞれ勝利を収めました。

戦後の世界では多くの植民地が独立したものの、イギリスは現在でもヨーロッパにおいて大きなポジションを担っています。

イギリス宗教観

イギリスで最も多く信仰されている宗教はキリスト教です。イギリスでは信仰の自由が保障されているため、合わせてイスラム教、ヒンドゥー教、シーク教、ユダヤ教、仏教など多くの宗教が信仰の対象となっています。

イギリスの街ではキリスト教の教会をよく見かけますが、これ以外にもモスクや寺院などが存在し、各宗教の信徒たちの礼拝の場となっています。

なお、国民の祝日はクリスマスやイースターなどキリスト教に基づいているため、キリスト教中心の社会が成り立っていると言えます。