• ハイシーズンは6月、8〜9月と1〜2月は大幅に減少
    • 訪日アメリカ人の約9割は個別手配で訪日、団体ツアーは少ない
    • 宿泊と飲食にお金をかけるアメリカ人

インバウンドにおけるアメリカ市場の特徴とは

2019年の訪日アメリカ人は172万人を超え、2014年と比較すると約1.9倍に増加しています。2019年、訪日アメリカ人は一人あたり189,411円を訪日旅行時に使いました。2019年に訪日したアメリカ人を年齢・性別ごとに見てみると、男性は30代、女性は20代が大きな割合を占めています。また、訪日アメリカ人のインバウンド市場で特筆すべき点は「ハイシーズンは6月」「個別手配が多くを占める」「宿泊費と飲食費の支出が多いこと」の3つです。それぞれ詳しく解説していきます。

訪日アメリカ人インバウンド市場、3つの特徴を解説

1. ハイシーズンは6月、8〜9月と1〜2月は大幅に減少

訪日アメリカ人数を月別に見てみると、例年では3月から7月にかけては常に高い基準を維持しており、その中でも6月に最も多くの訪日アメリカ人が存在すると分かります。2019年6月の訪日アメリカ人は約18万人で、2019年度訪日アメリカ人全体の約1割を占めました。アメリカの学校機関は6月から夏休みが始まるところが多いため、家族旅行などで日本に遊びに来るアメリカ人が6月に集中していることが数値に現れています。

2. 訪日アメリカ人の約9割は個別手配で訪日、団体ツアーは少ない

2019年の資料によると訪日アメリカ人全体の約9割は個別手配で日本を訪れており、団体ツアーを利用するアメリカ人は全体の約9%に留まっています。訪日アメリカ人は滞在日数も7〜90日間が全体の約65%と長期間滞在する傾向にあるため、個人旅行で柔軟な計画を立てて日本を見て回ることを好む人が多いようです。インバウンド対策としては、個人旅行に組み込みやすいコト体験やアクティビティを提供できるかどうかが勝負となるでしょう。

3. 宿泊と飲食にお金をかけるアメリカ人

2019年、訪日アメリカ人が訪日旅行中に最も支出した費目は宿泊費で、約8万円となりました。次に多かった支出は飲食費で、約5万円となりました。アメリカ人は滞在期間を長く設定する傾向にあるためこのような結果となりましたが、ホテル業界や飲食業界はアメリカ人をターゲットにしたインバウンド施策をすることで、より多くのアメリカ人に消費をしてもらえる可能性があります。具体的には、英語で接客のできる環境を整える、SNSや各種メディア等でアメリカ人に向けたプロモーションを行うなどの方策が考えられます。

アメリカ人の特徴

アメリカ人の性格・国民性

アメリカ人には、感情を表に出す性格の人が多く存在します。喜怒哀楽をきちんと表現し、議論の場では自分の意見をはっきりと主張する傾向にあります。また、アメリカの社会が実力主義であるゆえに勝ち負けを気にする人も多く、常に合理的な行動を心がけることを忘れません。 また、多くのアメリカ人が強い愛国心を持っており、オリンピックやワールドカップではバーやレストランに集まってアメリカ選手団を応援します。独立記念日には盛大なパーティーを開き、アメリカ人としてのアイデンティティを誇りに思っています。 信仰の篤い人も多く、大多数のアメリカ人はキリスト教を信仰し、日曜日には教会へ赴き礼拝を行います。例え外国にいても愛国心と信仰心を忘れない信念の強さを持っていると言えます。アニメの影響などもあり、特に若年層を中心に親日のアメリカ人が多く存在するようです。

アメリカ人と接するうえで気を付けておきたいマナー

アメリカは多民族国家であるため、アメリカ人全体として重んじられているマナーはあまり多くありません。 しかし、初対面同士でハグする人は少ない、伝えたいことははっきり伝える等の習慣は存在します。レディーファーストはかなり多くの人が実践しています。 また、歴史的背景が原因でアメリカ連合国の国旗やハーケンクロイツには特に敏感です。これらのデザインが入った服を着てアメリカ人と会うことはもちろん、日本では寺院を示す地図記号である「卍(まんじ)」も誤解を与えます。特に気をつけましょう。

アメリカ人の親日度・日本語学習者数

電通「ジャパンブランド調査」によると、アメリカは2019年時点で「親日度ランキング」全20か国のうち17位となっており、親日度が特別に高い訳ではないことが分かります。(*1) 国際交流基金「海外日本語教育機関調査」によると、アメリカには2018年時点で1,445校の日本語教育機関と4,018人の日本語講師が存在し、166,565人が日本語を学習しています。(*2)

<参照>

(*1)電通 チーム・クールジャパン「ジャパンブランド調査2019」 (*2)国際交流基金 2018年度海外日本語教育機関調査結果(速報値)

アメリカ人のスマホ事情:人気の機種やSNSは?

アメリカはiOSがAndroidより人気で、約60%のシェアを持っています。Androidを開発するGoogle LLCやAOSP、そしてiOS及びiPhoneを販売するAppleも全てアメリカの企業及び団体です。アメリカ人の平均所得は世界的にも高いものであり、特に高所得層にはiPhoneが好まれているようです。人気のSNSアプリはiOS・Android共にFacebook MessengerとWhatsAppがランクインしています。これらは共にアメリカ企業のSNSアプリです。また、Android第3位にランクインしているDiscordはアメリカ企業で開発されているゲーマー向けのオールインワン・コミュニケーションアプリです。

アメリカのイベント・祝日カレンダー(2019年・2020年)

2019年2020年
元旦1月1日(水)1月1日(金)
キング牧師記念日1月20日(月)1月18日(月)
大統領記念日2月17日(月)2月15日(月)
戦没者慰霊日5月25日(月)5月31日(月)
独立記念日7月3日(金)7月4日(日)
勤労感謝の日9月7日(月)9月6日(月)
コロンブスの日10月12日(月)10月11日(月)
退役軍人の日11月11日(水)11月11日(木)
感謝祭11月26日(木)11月25日(木)
クリスマス12月25日(金)12月25日(土)

アメリカの歴史

アメリカには元々多くの先住民族が存在しましたが、イギリスから入植した白人は1776年7月4日に建国宣言を発し、アメリカ合衆国を建国しました。
その後、イギリスとの戦争に勝利したアメリカ合衆国は東海岸から西海岸へ領土を広げ、1861年には南部で奴隷制を掲げていたアメリカ連合国と南北戦争を始め、1865年にはこれに勝利しました。1890年には西部開拓を終え、1898年にはハワイ王国を併合、第一次世界大戦では連合国として参戦し勝利を修めます。
その後世界恐慌を経て第二次世界大戦が勃発し、日本、イタリア、ドイツそしてソ連の台頭を懸念したアメリカ合衆国は第二次世界大戦にも参戦、日本軍を打ち負かし2発の原子爆弾を以て第二次世界大戦を集結させました。
その後ソ連との間で起こった冷戦では核兵器を数多く製造し、1991年にソ連が崩壊するまで世界を二分する国として君臨しました。その後は世界一の経済大国として君臨し続けていますが、現在では中華人民共和国との貿易摩擦が世間の話題となっており、力をつけつつある中華人民共和国との間で第2の冷戦が起こることを懸念する声もあります。

アメリカ宗教観

アメリカで最も多く信仰されている宗教はキリスト教です。キリスト教ではプロテスタントがカトリックを上回っています。合わせて主にユダヤ系アメリカ人の信仰するユダヤ教、主にアフリカ系アメリカ人の信仰するイスラム教、ユタ州で主に信仰されているモルモン教、更には先住民族の信仰する各種宗教が存在します。アメリカでは信仰の自由が保障されているため、どの宗教もコミュニティを作り活動していますが、歴史的背景からイスラム教を良く思っていないアメリカ人は多いようです。
このようにアメリカには多くの宗教が存在しますが社会はキリスト教を中心に作られており、街中には多くの教会が存在し、クリスマスやイースターなどのキリスト教の行事を国を挙げて祝います。