平成28年10月21日に発生し、最大震度6弱を記録した鳥取中部地震。11月8日時点で、この地震により鳥取県内では約1万2,003棟の建物が損壊し、40か所以上の文化財被害を受けたことが報告されています。なお、詳細につきましては以下の記事からご確認ください。
鳥取中部地震から約2週間 10月に最大震度6弱を記録した鳥取県、観光業への被害は?
火山が多い日本は世界的にも有数の地震大国ですが、平成28年(2016年)は特に地震に頭を悩ませる年になりました。観光業への被害が懸念された熊本地震(最大震度7)が発生したのは4月14日。執筆現在から約半年前の出来事ですが、熊本城の損壊をはじめとした大規模な規模を取り上げた報道が今なお鮮明に思い出されるのではないでしょうか。九州地方はアジア圏からの訪日外国人観光客に人気のあるエリアだけに、インバウンドビジネスへの影響が懸念されていました。24時間電話対応するコールセンターが速やかに用意され、...
短期的に多くの市民の生活を脅かしたのはもちろんですが、約2ヶ月が経った今、鳥取県内の各種産業に対する長期的な悪影響を払拭するために動かなければならない時期に入っています。特に観光業の場合、風評被害というかたちで震災のダメージがじわじわと続くことが懸念されます。
さて、このような理由から観光庁は平成28年(2016年)12月6日、観光需要の早期回復を目的とした「鳥取応援プログラム」の内容を明らかにしました。
今回は、この「鳥取応援プログラム」の内容に加え、鳥取県が震災復興のために行っている取り組みをご紹介します。
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鳥取中部地震からの復興を目指す「鳥取応援プログラム」。その内容は?
「鳥取応援プログラム」の実施主体となるのは主に観光庁。訪日外国人観光客の誘致に関しては、以下のような取り組みが行われる予定です。
- 広域観光周遊ルート形成促進事業による支援:広域観光周遊ルート「縁の道~山陰~」を紹介するガイドマップ、パンフレットを多言語で作成(11月~3月)、日本政府観光局(JNTO)による訪日プロモーション:Web上での情報発信、台湾人気歌手のミュージックビデオなどの製作(11月~12月)、中国市場を中心とする旅行博などで観光情報を発信(12月~3月)
- ビジット・ジャパン地方連携事業による支援:山陰インバウンド機構などと連携し、韓国の旅行会社、メディアを鳥取県に招請(11月)
- 宿泊施設、公共交通サービスなどに対する受入環境整備支援:第2次補正予算を活用した重点支援
年内いっぱいを目安に、風評被害の払拭につながるさまざまな取り組みが行われています。また、多言語対応、補正予算を使った支援などコスト的なサポートも実施される見込みです。
また、国内の観光客誘致を目的に以下のような取り組みが行なわれます。
- とっとりで待っとりますキャンペーン:旅行会社がツアーを造成し、国内需要を喚起する支援を行う(1月~3月)
- 旅行会社による旅行商品販売促進支援:旅行業協会(JATA、ANTA)への鳥取県を含む旅行商品造成の働きかけ
- 地域資源を活用した観光地魅力創造事業による支援:倉吉市において白壁土蔵群の伝統的な町並、ポップカルチャーの組合せによる旅行商品の造成や、Web上での情報発信
- メディア招請:TVや雑誌などで観光地が元気に頑張っている姿を取材・発信してもらう
各種施策が実施されますが、特に注力されるのは「とっとりで待っとりますキャンペーン」。旅費が大幅に値下げされた「九州ふっこう割」ほどではありませんが、安価な旅行商品が作れるよう旅行会社に対して支援が行なわれます。
お得に鳥取県を楽しんでもらう「とっとりで待っとりますキャンペーン」
「とっとりで待っとりますキャンペーン」では観光庁の支援のもと、旅行会社が造成する2万円以上のツアーの費用の半額が割引されます。最大1万円までとなっており、宿泊エリアとなっている鳥取県東部、中部、西部と、別エリアの観光施設を周遊することが条件になっています。対象となる期間は、平成29年(2017年)1月~3月まで。
金額的にはそこまで大きなプロジェクトではなく、たとえば旅費が5万、10万円にのぼる旅行者にとってはあまりお得に感じられないのではないでしょうか。とはいえ、「九州ふっこう割」では地震被害が軽微だった九州各県からの旅行者が多かったと言われており、「比較的安価な近隣県への旅行が、もっとお得になる!」という感覚から利用したくなる旅行者は少なくないと思われます。
まとめ:鳥取中部地震からの復興に向け、着実に行動
平成28年10月21日に発生し、最大震度6弱を記録した鳥取中部地震。観光庁らを主体とした「鳥取応援プログラム」が実施されており、観光業復興を目的とした施策が進められています。国内向けには九州ふっこう割のときのように、ツアー商品がお得になる「とっとりで待っとりますキャンペーン」が1月から始まる予定です。
そのほか、鳥取県ではふるさと納税制度を利用した寄付金の募集、クラウドファンディングを活用した建築物の修復費用、NPO団体の支援金の募集などが行なわれています。クラウドファンディングは2件あるのですが、どちらも目標金額を大幅に上回る出資を獲得しており、成功を収めています。通常の募金よりも足を踏み出しやすい形式を選択した効果といえるのではないでしょうか。
風評被害が起こるのには心理的な原因が関わっており、一気に払拭することは難しいでしょう。一歩ずつ、着実な取り組みが期待されます。
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