訪日外国人観光客の誘致において欠かせないのはプロモーション。言葉が使え、勝手も分かる日本国内なら、リソースさえ割くことができればそこまで難しいことではありません。リリース情報を出したり、SNSで情報発信したり、メディアでの露出を図ったりと、小中規模の事業者でも実施できる施策がいくつもあります。
しかし、対象となるのが外国人となると、話は変わります。文化も言葉も異なる人々に対して効果的なプロモーションを行う場合、ノウハウがあるかどうか、多言語対応できるかどうかなどの障壁となり、一気に難しくなってしまいます。インバウンド市場自体は右肩上がりで拡大しているものの、そこに参入するまでの道のりは非常に険しく、長いと感じている事業者も多いのではないでしょうか。
このような状況を改善すべく、文化庁が中心となって「文化情報プラットフォーム」の構築を進めています。観光業、地方などにも経済効果が波及することを見込んでいるといいますが、いったいどのようなプロジェクトなのでしょうか。
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文化情報プラットフォームとは:文化関連情報を集約して、国内外に発信
文化情報プラットフォームとはいったいどのようなものなのか。平成28年(2016年)3月2日に文化庁が発表した資料「文化プログラムの実施に向けた文化庁の取組について」から見てみましょう。
観光庁が中心となって各種施策を推し進め、目標に掲げている「観光立国」という表現は、インバウンド事業に関わり、よく情報収集している人なら一度は聞いたことがあるでしょう。これとよく似ていますが、文化庁は「文化芸術立国」というものを提唱しています。この実現に向け、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年に向け、文化庁や関係省庁などと連携して2016年秋から「文化力プロジェクト」をスタートしています。
「文化プログラムの実施に向けた文化庁の取組について」によれば、文化力プロジェクトの目標は「多様性の尊重や自然との共生の理念の下、文化芸術を資源としてイノベーションを創出し、持続可能な成長を遂げていく平和的文化芸術国家」を確立すること。より具体的には以下のようなコンセプトを掲げています。
日本の多様な文化力を高め、国民生活の質を向上する
文化芸術を資源として、イノベーションを創出し、社会的・経済的課題を解決するとともに、文化GDPを増大する
文化芸術により世界の人々との交流を進め、世界平和に貢献する
日本文化を活用した取り組みとしてはクールジャパンが有名ですが、文化力プロジェクトでは世代間、地域間、分野間、国内外などの文化交流を前面に押し出しているのが特徴です。それにより観光振興、産業振興といった経済的な側面だけでなく、少子高齢化などにより衰退している地域コミュニティの維持や世界平和などを目指しているのも相違点といえるでしょう。
この一環として平成28年(2016年)10月から準備が進められているのが、文化情報プラットフォームです。文化プログラムを全国津々浦々で実施するために、各地の文化イベントや文化施設などの関連情報を集約し、国内外に発信していくことを目指しています。すでに試行版のポータルサイトが稼働しており、2017年2月には正式運用する予定です。
情報を探しやすくして、観光業などの活性化に貢献
文化情報プラットフォームのコンセプトとして重要なのは情報を一元的に管理することを目指していること、それから多言語対応を前提としていることです。
たとえば、日本各地にはさまざまな博物館がありますが、Webサイトは共通のものではなく、それぞれが独自に用意しています。単に情報を発信するという意味ではこれでも問題ありませんが、共通のデータベースを使用していないため、横断的に情報を調べるのは骨が折れます。それらのデータを一元的に管理すれば、研究者やマニアでなくても、簡単に情報収集ができるようになります。
また、多言語対応を行えば、海外の人にも日本の文化関連情報が調べやすくなります。博物館のような文化施設に限らず、地方の観光協会なども投稿できるようになる見込みで、文化庁としては国際的に利用されているGoogle検索やWikipediaのようなプラットフォームを理想としているようです。翻訳をする際のアプローチなどにはまだ課題がありますが、機械翻訳技術なども年々向上しているので、将来的には低コストでできるようになる可能性もあります。
インバウンド観光に取り組む事業者にとって、文化情報プラットフォームの発足は地域のことを知ってもらうチャンスとなるのではないでしょうか。
まとめ:2017年2月にはポータルサイトの正式運用がスタート!
文化庁が構築を進めている文化情報プラットフォームは日本の文化関連情報を一元的に集約し、多言語対応を行ったデータベースです。国内外の人々に調べやすいかたちで情報発信することで、観光業や地域活性化などに貢献するする狙いがあります。2017年2月にはポータルサイトの正式運用がスタートする予定です。
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