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平成28年(2016年)3月26日、新青森‐新函館北斗間の北海道新幹線が開業し、本州から北海道へスピーディーに移動できるようになりました。日本銀行函館支店は同年12月、開業による旅行者の動きの変化をまとめた資料を発表しています。交通の便が良くなったことで、観光業界にはどのような変化が起きているのか、ご紹介します。

 

北海道新幹線で本州から函館に行けるように!

北海道新幹線の整備計画が立てられたのは、昭和47年(1972年)。現在から40年以上前のことです。平成17年(2005年)から約140kmの新青森駅-新函館北斗駅間の工事がスタートし、約10年の歳月を経て同区間が開通しました。新青森-新函館北斗間は最短で約1時間、東京-新函館北斗間を最短約4時間で移動することができます。

本来の計画では2019年までに札幌駅までつながる予定だったものの、多くのトンネル工事を必要とすることなどから、新函館北斗-札幌間は2031年に開業する予定。

なお、札幌市は2030年ごろに東京オリンピックを開催する計画を明らかにしており、この中でも北海道新幹線は本州からのアクセスを保証する交通機関として取り上げられています。そのため、さらに計画を前倒しさせようとする動きも現れています。

 

観光客増で「歴史的高水準」を記録

本州と北海道が新幹線でつながったという点で画期的な出来事ではあるものの、このように北海道新幹線は建設途中です。依然として発展途上にあり、十分に利便性が高いとはいえません。

しかし、すでに観光業界を潤わせる効果が現れているようです。日本銀行函館支店によれば、函館に足を運んだ2016年の観光客数は、前年比で約1~2割増。8月には70~80万人を記録しています。合わせて函館駅観光案内所の利用者数も大幅に増加しました。暖かくなってくる5月(約1万5,000人)から次第に増加していき、ピークを迎えた8月には約2万人に達しています。

函館を訪れた年間の観光客数は540万人と見積もられており、これは1989年以降の年度と比較しても記録的な数値です。資料内では「歴史的高水準」と評されています。北海道新幹線の利用による航空機の利用減は起こっておらず、その分だけ旅行者数が増加したような形になります。

 

今後の課題は?:インバウンドの獲得、リピーターの確保など

本州から函館までをつないでいる北海道新幹線が、北海道の観光業を盛り上げる大きな役割を果たしていることは明確です。その一方で、課題も見えてきています。

訪日外国人観光客数の増加にはつながらず

函館にある「五稜郭タワー」のデータでは観光客の多くが東北、関東地方から来ており、訪日外国人観光客数には変化が起こっていないことが分かっています。このため、オンシーズン・オフシーズンで発生する需要のギャップや旅行期間の短さは克服できていません。今後、観光資源の開発やプロモーション活動といったインバウンド向け施策が必要になるかもしれません。

観光分野の視点にとどまらない魅力的な街づくり

また、リピートの獲得も今後の課題として残されています。北海道新幹線の開業による効果を一過性のもので終わらせないためには、さらに働き手の確保やインフラの維持などを図り、魅力的な街づくりを行う必要があります。観光分野以外にも目を配り、総合的な取り組みが求められています。

旅行後も地域の商品を購入して楽しめる仕掛け

交通の便を良くして旅行者数が増加させるだけでは、「稼ぐ力」は育ちません。たとえば、旅行が終わったのち、越境ECを含むインターネット通販で地域の商品を買ってもらえるようになるとは限らないのです。観光客により北海道を楽しんでもらうためには、帰ってからも消費できるような仕掛けが必要になるのではないでしょうか。

 

まとめ:他の地域も同様の課題を抱えているのでは?

日本銀行函館支店は平成28年(2016年)、同年3月末に開業した北海道新幹線による影響で函館の観光客数が増加していることを発表しました。前年比で約1~2割増加を記録し、年間の観光客数は540万人と見積もられています。

「歴史的高水準」と評されるほどの好成績ではありましたが、訪日外国人観光客数が伸びなかったこと、魅力的な街づくりや旅行後にインターネット通販で北海道の商品を買いたくなる仕掛け作りが求められていることなど課題はいくつも残されています。

ここまで大規模な事業はめったに現れませんが、現在、日本各地で交通機関の整備が行なわれており、このような利便性向上による観光分野の活性化は珍しくありません。北海道以外の地域でも、同様の課題を抱えているのではないでしょうか。

この克服のためには観光分野にとどまらず、地域全体を良くし、盛り上げていくための施策が必要となります。現在、インバウンド観光に注力している日本では、積極的な取り組みが強く求められているといえるのではないでしょうか。

 

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