訪日外国人観光客を呼びこむPR活動では、Webを活用した情報発信は不可欠。快適にインターネットを利用できる環境づくりが世界的に進んでいることから、動画コンテンツの活用が一般的になっています。
動画を使った情報発信にはWebサイト、文章にはないメリットがあり、数年前から国内外で注目を集めています。インバウンドビジネスでも例外ではありません。今回は、訪日外国人観光客の誘致を目的とした動画コンテンツについて、事例をまじえながら解説していきます。
【訪日ラボは、インバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を8月5日に開催します】
動画コンテンツのメリットとは
快適なインターネット環境が整うにつれ、動画マーケティングが普及
動画コンテンツが企業などのPR活動に使われ始めたのは、2006年。国内でブロードバンドが普及し、いくらインターネットを利用しても料金の変わらない定額プランが浸透したためだと言われています。
快適なインターネット環境づくりはその後も進み、Wi-Fi(ワイファイ)、LTEといった高速回線が登場しました。また、従来の携帯電話(いわゆるガラケー)以上に、高機能なスマートフォンが急速に普及。これらを背景に、2014年には動画広告市場が300億円規模を超えました。前年比で約2倍の市場規模になったという調査結果もあり、同年は「動画元年」と呼ばれています。
インターネットにおける動画コンテンツの盛り上がりは留まるところを知らず、その後も毎年のように「今年こそ動画元年だ」と言われています。これは新しい取り組みが次々と現れ、大きなビジネスチャンスが絶え間なく発生していることが原因だと思われます。急速な発展を続けるIT業界の雰囲気を表したものと言ってもいいのではないでしょうか。
情報量が多く、拡散されやすいのが特徴
情報発信に動画コンテンツを利用するメリットとは、いったいなんでしょうか。
動画の情報量は極めて多く、写真や文章の数千倍以上とも言われています。直感的に理解しやすいのも特徴で、短時間のコンテンツで高い訴求力が期待できます。さらに、映像を使えば、観光スポットなどの魅力を言葉を使わずに伝えることも可能です。動画コンテンツの利用は、訪日外国人観光客を対象とするインバウンドビジネスに最適なPR方法なのではないでしょうか。また、世界的に利用されている動画サイト「YouTube」には字幕を表示する機能があり、多言語対応も容易です。
動画コンテンツは、TwitterやFacebookなどのSNSと相性が良く、拡散されやすい傾向があります。口コミで多くの人に見てもらうことが期待できるのです。秀逸な作品は、新聞やWebメディアの目に掲載されることもあります。
また、PR動画のコンテンストも行われています。パシフィックボイスによるWebサイト「旅もじゃ(旅・モーション・ジャポン)」で行われている「観光映像大賞」では、観光促進を目的とした映像を募集。
大賞受賞作品は米国アカデミー賞公認アジア最大級の国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア(SSFF & ASIA)」にて発表されます。2016年に開催された第5回には全国から612もの作品が応募されました。
企業、自治体によるPR動画の事例
ここからは自治体や企業が制作した動画を、事例として紹介します。動画の情報量の多さを利用して観光情報をトータルに扱うものから、アニメ、ドラマ仕立ての作品まで、さまざまなアプローチがあるようです。
佐賀県観光連盟:セクシーな女性に見せかけた釣り動画風
いわゆる「釣り動画」(あえてユーザーに誤認させる映像)と同様の作り方。セクシーな女性かと思いきや、実は侍だったという分かりやすいアプローチで、海外のみならず、日本でも大きな話題を呼びました。2016年5月現在、約20万回再生されています。
西武鉄道:観光情報をテンポよく、トータルに情報発信
路線情報や観光スポット、便利なチケットなどを視覚的に紹介。文章で書くと説明的になってしまう内容を、テンポよく表現しています。2016年5月現在、再生数は約1万回とそこまで多いわけではありませんが、旅行の楽しみから必要な知識までトータルに発信しており、高い訴求力を期待できそうです。
ANA:料理人を通じて和食の魅力を紹介
2013年に、ユネスコ無形文化遺産に登録された和食の魅力を、料理人の高い技術、所作の美しさを通じて情報発信しています。2016年5月現在、約80万を越える再生数を記録しています。
大分県企画振興部国際政策課:訪日韓国人観光客に特化したドラマ風
大分県内の観光スポットをドラマ風に紹介しているのが特徴。韓国の旅行代理店に勤める主人公の男性が出張で大分県に行き、仕事で疲れた心が次第に癒やされていくというストーリーになっています。
観光地を見てまわるシーンは2昼夜分。短期旅行の多い訪日韓国人観光客に合わせて、2泊3日の旅行プランを紹介しているのかもしれません。
松山市:ハイクオリティなアニメで、地域の魅力を発信
「Short Short Film Festival & Asia」観光映像大賞特別賞受賞、「全国広報コンクール」広報企画部門入選を果たし、国内外で高く評価されたアニメ作品。
松山市に眠る7つの秘宝をめぐる冒険活劇で、松山市の自然の美しさを活かした舞台設定になっています。地域の魅力を発信しながらも、アニメとしてのおもしろさを損なわない作りになっていると言えるのではないでしょうか。
まとめ:今後更に期待が広まるPR動画戦略
インターネット環境の整備が進んでおり、PR動画を利用して情報発信する動きは年々拡大を見せています。動画は情報量が多く、直感的に理解しやすいので、訪日外国人観光客を対象とするインバウンドビジネスにおいては非常に有効だと思われます。
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。
<本セミナーのポイント>
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【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
→「THE INBOUND DAY 2025」特設ページを見てみる
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
※口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
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