先日の訪日ラボ記事でご紹介したとおり、訪日外国人の訪問率0.2%、推定インバウンド消費43位/35億円と、ゴールデンルートから遠いこともありインバウンド対策では苦戦が見られる高知県。しかし、2016年初頭から運用を始めた観光情報WEBサイト&Facebookページ「Visit Kochi Japan」が好調の模様です。
今回は、なぜ「Visit Kochi Japan」が訪日外国人観光客のファンを増やしているのか、その理由や戦略に迫りたいと思います。
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「Visit Kochi Japan」とは?
「Visit Kochi Japan」2015年9月からリリースされた、高知県の外国人向け観光情報サイトです。インバウンド市場が盛り上がりを見せる中、高知県はまだ知名度が低いという現状があります。そこで、高知県の魅力を海外向けに情報発信強化すべく、高知県観光コンベンション協会の企画・運営のもと立ち上がりました。
プロジェクトのターゲットは東南アジア圏訪日外国人観光客
高知を訪れることの多い台湾、香港、韓国や、今後増加が見込まれる中国、シンガポール、タイからの旅行者を主なターゲットとしています。対応言語は、英語、中国語(簡体字・繁体字)、韓国語、タイ語の4カ国5言語。
WEBページとFacebookページの明確な役割分担
「Visit Kochi Japan」のWEBサイトでは、代表的な観光資源や着地での便利な情報など、県内の代表的な観光資源を網羅的に掲載しています。
一方、旬の観光情報やタイムリーな話題についてはFacebookをはじめとしたSNSを活用。SNSでは、サイトの更新情報やイベント情報などのほか、高知県在住の外国人ライターが自らの目線で興味・関心のある情報も掲載しています。
それでは、それぞれの役割分担やしかけについて見て訊きましょう。
「Visit Kochi Japan」WEBページのしかけ
その1:徹底したヒアリング
まず「Visit Kochi Japan」を立ち上げるにあたって、国や地域ごとの観光ニーズを把握するために、各言語圏のネイティブスピーカーへの調査を実施。
メインターゲットとなる中国・韓国・台湾・シンガポールの人々にインターネットを用いた定量調査、そしてタイを加えた7名に対面インタビュー形式で定性調査を行ったとのこと。
多言語化WEBサイトでインバウンド向けに情報発信するには?
その2:ヒアリングでわかったことをサイトに反映
ヒアリング調査のデータをもとにして、それぞれの言語のページのトップには、その国で人気の高かった観光資源をそれぞれ掲載。観光資源のカテゴリ分けや個別のコンテンツの選定を行ったとのこと。
さらに、Webサイトの色あいについても、各国の嗜好をヒアリングし決定するなど、調査データを元にしたローカライズが行われています。
その3:アクセス数を分析してトップページコンテンツに反映
サイトのリリース後は、各言語ページごとにアクセス数の多い観光資源が、自動的にトップページに配置されるような機能改修を実施。
その時その時のニーズを反映するとともに、ローカライズをさらに進化させています。
その4:非常に美しい映像
国によっては国民性によって文字情報を読むことが苦手な場合があります。そのため、「Visit Kochi Japan」では、動画や写真などで、文字情報に頼らずに観光資源の魅力を伝えています。
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「Visit Kochi Japan」Facebookページのしかけ
しかけその1:タイムリーな情報提供
Facebookページは、Webサイトでは伝えきれない情報やイベントなどをタイムリーに発信をしています。
Webサイトへも誘導していく、お互いに補完し合うために運用しはじめました。
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しかけその2:外国人目線の情報をネイティブライターが投稿
Facebookページの開設当初から外国人目線の情報発信にこだわっており、高知県内在住の英語ネイティブに記事や写真を依頼し、高知県の魅力が見て伝わるような掲載をしているとのこと。
特に写真には力を入れているとのことで、WEBページと同じく、文字情報に頼りきらないコンテンツを意識しています。
しかけその3:アクセス分析をもとに投稿内容のPDCAをまわす
Facebookページでは、標準で投稿ごとのアクセスやいいね数、シェア数などのアクションがどれだけとられたのかを把握することが出来ます。これらのデータをもとに、毎月投稿内容の検討を行っているとのこと。
まとめ:訪日外国人観光客のニーズ掘り起こしとコンテンツの工夫が人気の秘密
Facebookページでは開始3か月でファン数1万人を達成するほどにまで人気を獲得している「Visit Kochi Japan」。そのしかけを見ていみると、インバンド対策の王道が見えてきます。
- 実際にヒアリングをすることで訪日外国人のナマのデータを手に入れる
- 県が伝えたいものと、外国人観光客のニーズのギャップを把握
- あくまでも外国人観光客のニーズをもとにして観光資源をプレゼンテーションする。
- WebサイトとFacebookで役割分担をさせた運用
ここで重要になるのが「あくまでも外国人観光客のニーズをもとにして観光資源をプレゼンテーションする。」ではないでしょうか。もちろん、PR活動ですので自ビジネスの内容を顧客に(今回の場合は高知県が訪日客に)伝えることは最重要課題です。
ですが、自分が伝えたい事を優先しすぎて顧客に「刺さる」見え方、プレゼンテーションをないがしろにしない姿勢、これが「Visit Kochi Japan」成功の秘密なのではないでしょうか。
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2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
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