着地型観光とは?:各地域で観光商品開発、従来の発地型観光とは対照的

地域の独自性を売りに、メジャーな観光地では味わえない体験を打ち出す着地型観光

訪日外国人観光客を対象とするインバウンドビジネスの活性化に伴い、注目を集めていますが、具体的にどのようなものなのかご存じでしょうか。

特に旅行慣れした訪日外国人観光客の誘致や地域振興に効果があるとされており、地域の観光業者にとっては無視のできないものです。

今回は、そんな着地型観光の基礎知識を事例とともに紹介します。

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「発地型観光」と「着地型観光」

着地型観光の特徴は、旅行者を受け入れる地域が観光商品の開発、運営、情報発信などを行うこと。

これだけではメリットが分かりにくいのですが、かつて主流だった旅行スタイルを知ることが理解の助けになります。

1970年代から続く団体旅行のスタイル

1970年代から続く団体旅行のスタイル


発地型観光とは

1970年代、日本では団体旅行が主流でした。

各地域の観光地を巡るツアー内容になっていたり、宴会が目的であったりと、特定の地域を楽しむことを主眼に置かない旅行スタイルが一般的でした。

このような観光商品は「発地型観光」と呼ばれており、主に旅行者が暮らす都市部(発地)の観光業者が作ることが多かったとされています。

都市部から地方へ行き、また都市部に戻るまでの旅行内容があらかじめ決定されていることが多くありました。

着地型観光とは

発地型観光の対義語にあたるのが、この記事でご紹介する着地型観光です。

「着地」とは旅行者の訪れる観光地のことを意味しています。

インターネットの普及で、都市部の観光業者に頼らなくても観光地側から情報発信できるようになったことから、1990年代に誕生したといわれています。さニーズの細分化、交通手段の多様化などが影響しているとの声もあります。

着地型観光の対象となるのは主に個人旅行者で、個々人が観光ルートを決めて、自由に観光地や店舗を訪れます。

発地型観光と着地型観光の違い

両者の違いは以下のとおりにまとめられます。

  • 発地型観光:旅行者の暮らす地域(発地)の観光業者が観光商品を設計し、情報発信。団体旅行が多く、特定地域の魅力を押し出すものは少ない。
  • 着地型観光:旅行者の訪れる観光地(着地)が観光商品を設計し、情報発信。個人旅行者を主対象としており、特定地域の魅力をプロモーションしやすい。旅行先で選べるオプショナルツアーも含まれる。

日本人のみならず訪日外国人観光客も旅行慣れすると、有名な観光地よりも自分のニーズに合った観光地を求める傾向があります。また、「見るだけ」よりも「体験」に価値を置くようになります。

つまり一時的に人気が出た観光地でも、消費者が成熟すると飽きられてしまう可能性があるのです。

着地型観光のメリットとデメリット

各地域の特徴を活かすことで差別化することができる着地型観光はこのような問題に対して強く、また、地域振興にも役立つと考えられています。

良いこと尽くめのようにも思えますが、着地型観光には課題もあります。

いくら経済効果があるとしても、地域住民の中には「旅行者が増えるとゴミが増える」「渋滞が起こる」などの理由で、観光業を好ましく思わない人が少なからずいるものです。

こういった声が強いと、地域住民の暮らしや文化に密着した観光資源を活用することは困難になります。

着地型観光では地域住民と観光業者が良い関係を築き、地域住民の協力を得ることが不可欠になります。

着地型観光の成功事例

観光庁は数年にわたって着地型観光の取り組みを浸透させるための施策を行っており、2011年以前から事例集を公開しています。

2015年には、以下の4つのテーマに分けて事例を掲載した「観光地域づくり事例集2015~日本を元気にする地域の力~」を作成しました。

  • インバウンドへの取り組み
  • 先進的な体制と取組
  • 多様な分野における地域づくりとの連携
  • 地域インフラとの連携

それぞれの項目を大まかに紹介していきましょう。

インバウンドへの取り組み

浅草寺「観光地域づくり事例集2015~日本を元気にする地域の力~」より
浅草寺:「観光地域づくり事例集2015~日本を元気にする地域の力~」より

訪日外国人観光客の誘致のために、各地域で行われた施策が広く紹介されています。

たとえば東京・浅草は、浅草文化観光センターに口コミ情報ボードを設置するなどの取り組みを行っています。

浅草といえば浅草寺」というイメージは訪日外国人観光客のあいだでも強く、その他の観光地を知ってもらうことを狙いとしています。

また、口コミ情報を参考に作成した観光ルートの資料が館内で配布されています。

先進的な体制と取組

マーケティング、事業推進のマネジメント機能などを持つ観光推進組織が必要視されており、その先進事例を紹介しています。

たとえば広島湾ベイエリア・海生都市圏研究協議会は、広島県、山口県にまたがる広範囲で修学旅行の誘致を行っています。

修学旅行を受け入れる5つの自治体と連携をとりながら、プロモーションや人材教育などを行っており、学校や旅行エージェントがワンストップで修学旅行の相談を行える仕組みを整えているとのことです。

多様な分野における地域づくりとの連携

自然や文化、産業など各地域の観光資源を活かした観光地を紹介しています。

和歌山県田辺市でグリーンツーリズムに取り組む農業法人株式会社秋津野や、出荷規格外のびわを使ったオリジナル商品の開発などを行う道の駅とみうら枇杷倶楽部(千葉県南房総市)などが取り上げられています。

地域インフラとの連携

小型電気自動車「MICHIMO」
小型電気自動車「MICHIMO」

道路設備やダム、海運など地域のインフラを活用した観光地づくりを紹介しています。

事例として飛鳥情報交通協議会(奈良県橿原市、高取町、明日香村)などが取り上げられています。

歴史遺産や文化遺産を有するものの、道幅が狭く公共交通機関では行きにくいという問題を、小型の電気自動車レンタル事業で解消しようとしている取り組みが紹介されています。

着地型観光商品は地域が一丸となって開発を

旅行者が訪れる観光地が自ら観光商品を設計し、情報発信を行う「着地型観光」を紹介しました。その登場の背景には、技術的な進歩だけでなく消費者の成熟があります。

たしかな目を持つ消費者の支持を得るには、地域の特色を活かしつつ旅行者のニーズに合った観光商品が提供できるよう、地域一体となって取り組んでいく必要があります。

観光庁で紹介されている事例が非常に参考になるので、各地域の取り組みから手法を学びつつ、着地型観光の取り組みを行っていきましょう。

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訪日ラボ編集部

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