三菱総合研究所は7月7日、関西を訪れる訪日外国人観光客に関する調査を発表しました。西日本旅客鉄道、近畿日本鉄道、阪急阪神ホールディングス、南海電気鉄道、京阪ホールディングス、新関西国際空港6社の協力のもと、関西国際空港でアンケート調査を行ったもの。
アジア圏の訪日外国人観光客は旅行日数が短く、反対に欧米圏の訪日外国人観光客は旅行日数が長いと一般には言われていますが、これとは異なる結果が出ており、地域による差があることが伺えます。
今回は、関西の訪日外国人観光客の動向が分かる「関西インバウンドプラットフォーム調査」をご紹介します。
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調査概要:主要な9つの地域の訪日外国人観光客にアンケート
調査対象となった地域は中国、韓国、台湾、香港、欧州、米国、ASEAN(タイを除く)、タイ、豪州の9か所。いずれも訪日外国人観光客が多く、インバウンドビジネスにおいては重要な地域です。
2016年2~3月まで調査員による聞き取り調査が行われ、約2000個のサンプルが回収されました。調査内容は移動経路や宿泊先、関西の観光地の認知など多岐にわたります。以下に紹介していきましょう。
関西の訪日外国人観光客の傾向
訪問回数:ほぼすべての地域で関西を初めて訪れる訪日外国人観光客が半数以上
初めて日本を訪問する訪日外国人観光客は、ほぼすべての地域で40~50%台。台湾、香港の訪日外国人観光客はそれぞれ28%、26%となっており、リピーターの多さが分かります。一方、ASEANは66%が初訪日となっており、日本に足を運ぶようになった人が現れているようです。
関西に限定すると割合が増加し、台湾(49%)を除くいずれの地域でも半数以上が初訪日となっています。
滞在日数:全国と異なり、関西では地域による差が小さい
訪日外国人観光客の滞在日数は、日本に近いアジア圏が短く、日本から遠い欧米圏が長いと言われており、日本全体の平均滞在日数を見ると、そのとおりの結果が現れています。欧州、米国の訪日外国人観光客は平均して1週間以上、滞在しており、豪州はそれ以上に長い14.7日。一方、韓国、台湾、香港、タイの訪日外国人観光客は一週間未満です。
しかし、関西の場合は傾向が異なります。いずれの地域でも滞在期間は5~7日程度で、大きな差はありません。日本に最も近く、気軽に訪れると言われている韓国でも4.5日となっています。このような傾向は大阪府に限定した場合でも共通であり、地域の特殊性が影響していると思われます。
認知度、再訪意欲など:認知度が高い観光スポットの中でも訪問率などに違い
観光地別の認知度、訪問率、再訪意欲を持つ人の割合についても調査が行われています。
対象は、梅田周辺(いわゆるキタ)では梅田スカイビル、グランフロント大阪、阪神百貨店、ヨドバシカメラ。難波周辺(ミナミ)では心斎橋OPA、ヤマダ電機、日本橋筋商店街、道頓堀、大丸・松坂屋百貨店など。京都府では嵐山、金閣寺、京都タワー、京都高島屋、比叡山・延暦寺など。
関西で訪日外国人観光客によく知られているのは大阪府では難波、USJ、大阪城、京都府では清水寺、金閣寺。これらの認知度は40~50%台となっていますが、実際に足を運ぶ人の割合は大きく異なります。
難波は訪問率が高く、再訪意欲を持っている人も多くなっています。しかし、清水寺、金閣寺は比較的訪問率が高いにもかかわらず、再訪意欲が低め。「入門的な観光地」「一度は行っておくべき定番スポット」のように見られているのかもしれません。「人気の観光スポット」と一口に言っても、訪日外国人観光客の受け止め方は多種多様のようです。
推計訪問者数、流動数:大阪、京都と合わせて旅行する訪日外国人観光客が多数
関西圏の主要な観光地(大阪府、京都府、兵庫県、奈良県)の2015年時点での訪問者数の推計も行われました。大阪府では心斎橋、難波がともに588万人、次に多いのは梅田・大阪駅で497万人となっています。
京都府は東山が最も多く392万人。京都駅周辺、金閣寺周辺、宇治・伏見が200万台です。兵庫県の神戸・三宮、奈良県の奈良公園・東大寺には約100万人が訪問したと思われます。
また、訪日外国人観光客の府県間の流動数も推計されています。最も多いのは大阪-京都間で、1274万トリップ(1274万人が行き来)。やはり観光地として国内外に知られている大阪府、京都府を合わせて観光する訪日外国人観光客が多いと思われます。その他の地域でも、京都、大阪から行き来する訪日外国人観光客が多くなっていようです。
まとめ:関西圏を訪れる訪日外国人観光客の特性が明らかに
近年、急速に発展しているインバウンドビジネスには、すでに一般論が存在します。よく言われるのは「アジア圏の訪日外国人観光客は旅行期間が短く、反対に欧米県の訪日外国人観光客は長い。これは日本からの距離に関係しており、日本を訪れることが難しい地域ほど1回の滞在日数が伸びるため」という話。
しかし、実際にデータを見てみると一般論の正しさと同時に、地域を限定した特殊なケースには当てはまらないことも分かります。効果的にインバウンドビジネスを行っていくためには、入手しやすい一般的な情報に甘んじず、営業を行う地域の情報を入手していくことが必要なのではないでしょうか。
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