訪日外国人の年齢によってインバウンド需要は全然違う!年齢別訪問先データから見える訪日観光に求めるものの違い

完全無料 口コミアカデミー 「インバウンドの教科書」出ました! 国別・都道府県別データ・トレンドをカバー 見てみる

どの国籍の訪日外国人がどこを訪れているのかを把握することは、インバウンドマーケティングにおいて最重要といっても過言ではありません。訪日ラボにおいても、観光庁が発表する「訪日外国人消費動向調査」平成27年のデータを用いて、国籍別の各都道府県別訪問率をお伝えしました。

訪日中国人観光客に人気の都道府県ランキング

訪日中国人観光客は、日本のインバウンド市場で人数、消費額ともに最も大きな比率を占めています。訪日中国人観光客に人気の目的地は主に東京や大阪といった大都市ですが、近年リピーターの増加や、地方空港と中国核都市を結ぶ直行便の増加、体験の希少性を求める旅行者のトレンドを背景に、日本全国の各都市に対する関心も高まっています。2019年の訪日外国人数は全国籍3,188万人で、そのうち訪日中国人数は959万4,300万人を記録しました。訪日外国人市場全体で、950万人を超えたのは初めてのことです。また中...

今月初め、8月5日にNTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社が「訪日アジア観光客の東京の街に対するイメージ」調査結果に関するプレスリリースを発表しました。

この調査は、同社が運営するインターネットアンケートサービスを利用し、インバウンド市場において主要顧客である訪日中国人観光客、訪日台湾人観光客、訪日タイ人観光客への調査を実施。日本の観光地の訪問率の他、年代別分析、その観光地のイメージなども調査しており、観光庁の「訪日外国人消費動向調査」に対して、より深掘りした内容となっています。

インバウンド対策にお困りですか?
「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、インバウンドの集客や受け入れ整備のご相談に対応します!
訪日ラボに相談してみる

インバウンドの最新情報をお届け!訪日ラボのメールマガジンに登録する(無料)

「訪日アジア観光客の東京の街に対するイメージ」概要

本調査はNTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社と実践女子大学が共同で実施。NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社が運営するインターネットアンケートサービス「NTTコム リサーチ」を活用し、中国,台湾,タイ在住の海外モニターのうち、直近過去1年以内に観光目的で日本に訪れた経験のある629人を対象に、アンケート調査の実施・分析をしています。

「訪日アジア観光客の東京の街に対するイメージ」総括

プレスリリースによると

アジア系観光客が訪問する国内観光スポットとしては依然として東京・大阪・京都が定番の人気でありますが、タイ人観光客には北海道が人気、20代など若い世代には大阪が人気など、国や年代により傾向に違いが見られ
(略)
都内の観光地に関しても新宿、渋谷、銀座の3大エリアが人気ではありますが、各国の観光客からの自由意見を読み解くと、国籍や年代の違いにより微妙な傾向の違いが見られ

るとのこと。東京・大阪・京都としった定番スポットの人気が強いことや、訪日タイ人観光客の北海道人気など、大まかには観光庁の「訪日外国人消費動向調査」と同様の調査結果の模様です。それでは、本調査の各項目について見ていきましょう。

ゴールデンルートを結ぶ東京・京都・大阪の人気は強く、北海道は訪日中国人観光客と訪日タイ人観光客に人気を集める

国内観光での訪問都市(国別):NTTコム リサーチより引用

国内観光での訪問都市(国別):NTTコム リサーチより引用

観光客の国籍別訪問率を見てみると、ゴールデンルートを結ぶ主要観光都市が強く、どの国籍においても東京・大阪・京都の順で訪問者が多いことが分かります。また、名古屋の訪日中国人観光客訪問率が高いことからも、ゴールデンルート団体旅行の多い訪日中国人観光客にとって定番ルートとなっていることが伺えます。

特徴的なのは北海道。訪日中国人観光客と訪日タイ人観光客が京都と同水準で訪問しています。訪日中国人観光客による北海道人気は、大ヒット中国映画「狙った恋の落とし方。」(中国名:非誠勿擾)のロケ地であったことが主要要因と見られています。また、訪日タイ人観光客にとっては、自国では雪が降らないため、日本の雪の体験は特別な印象であることが北海道人気の理由と言われています。

<関連記事>

北海道がインバウンドでアツい!訪日中国人観光客が北海道に行く理由は「狙った恋の落とし方。」という映画?

主に訪日中国人観光客に人気の訪日観光ルート「ゴールデンルート」。最近では訪日中国人観光客のなかでも初訪日割合が減ってきており、2順目には団体旅行ではなく、個人旅行(FIT)での計画を考えている訪日中国人観光客が増えてきています。ゴールデンルートは、東京、箱根、富士山、名古屋、京都、大阪といった日本観光の王道をくまなく回るルートであり、その工程は基本的に団体旅行で組まれています。団体旅行の減少、そして現在のFIT人気も相まって、次期インバウンド主要地域として注目を浴びているのが北海道です。今...

北海道の他にもロケツーリズムの影:タイ人による佐賀人気

他に特徴的なのは訪日タイ人観光客による福岡人気です。こちらも北海道同様ロケツーリズムの影響です。2014年公開のタイのヒット映画「タイムライン」が佐賀県をロケ地にした影響で、佐賀のタイ人人気が急上昇しました。

「タイムライン」は佐賀・唐津市内を練り歩く伝統行事「唐津くんち」の様子を盛り込みながら佐賀県の美しい風景を映し出しているハートフルなラブストーリー。映画のヒットの影響で佐賀へのロケツーリズムが流行します。

そのため、佐賀へ訪問するタイ人が九州の玄関口 福岡国際空港を利用。佐賀人気とともに福岡への訪日タイ人観光客の訪問率も上昇したものと見られます。

<関連記事>

ロケツーリズムとは?映画ロケ地・アニメ聖地巡礼で地域活性化!成功事例・誘致方法を解説

目次ロケツーリズムとは?ロケツーリズムの別名は「フィルムツーリズム」「ロケ地巡り」などロケツーリズムの持続性:他の観光資源同様、飽きられる可能性もあるが……公開してから対応を考えるのでは、効果が弱いロケツーリズムの成功事例:都心部だけでなく、地方もロケツーリズムに注力山形県のロケツーリズム成功事例富山県のロケツーリズム成功事例官民一体で撮影に協力して、ロケツーリズムを活性化させようロケツーリズムとは?ロケツーリズムとは、映画・ドラマといった作品のロケ地を観光資源として活用し、観光客にその地...

若者に人気の大阪・北海道、高齢層に人気の京都・名古屋

年代別の集計を見てみると、世代別の訪日目的が明らかになってきます。

国内観光での訪問場所(年代別):NTTコム リサーチより引用

国内観光での訪問場所(年代別):NTTコム リサーチより引用

東京はどの年代も訪問率に差がないにも関わらず、大阪は20歳代の訪問率が最も高く、年齢が上がるに連れ訪問率は下がります。これは、大阪の訪問目的がユニバーサル・スタジオ・ジャパンがメインであることが要因として考えられます。また、北海道の若年層訪問率の高さは先述のロケツーリズムによるものと考えられ、若年層にとってはアトラクション要素の強い観光スポットが人気であることが分かります。

<関連記事>

USJ入場者の10人に1人が訪日外国人:推定153億のインバウンド収益!

日本の遊園地・テーマパークの2大巨頭であるディズニーランドやディズニーシーを束ねる東京ディズニーリゾートとユニバーサル・スタジオ・ジャパン(以下、USJ)。両者とも訪日外国人観光客に人気のゴールデンルート圏内に所属し、近年外国人来園者数が増加しています。東京ディズニーリゾートについては、東京ディズニーリゾートが発表する「ゲストプロフィール」から割り出すと、およそ200億超えのインバウンド収益があることを、以前の訪日ラボ記事「東京ディズニーリゾートのインバウンド収益は2016年度で推定200...

それに対し、京都や名古屋は比較的高年齢層になるにつれて訪問率が高くなる傾向があります。京都の古寺や名古屋城といった歴史的コンテンツは若年層にとっては刺激が弱く、高齢層の方が訪問率が高くなるということが考えられます。

若者は刺激的なコンテンツを求め、高齢層は歴史的コンテンツや買い物を楽しむ

都内観光での訪問した街(年代別):NTTコム リサーチより引用

都内観光での訪問した街(年代別):NTTコム リサーチより引用

また、上記の傾向は年代別都内訪問率からも裏付けられます。渋谷や原宿は若年層の訪問率が高く、銀座や新宿、池袋、秋葉原、そして浅草は高齢層の訪問率が高い傾向にあります。

スクランブル交差点の渋谷、カワイイ文化の原宿は街歩きだけで観光コンテンツとなる街です。これらの刺激的なコンテンツが若年層に刺さっていることがデータから伺えます。

銀座や新宿、池袋は三越、伊勢丹、西武、東武といった日本最大手百貨店を擁する街です。そのため、高級品のショッピングを楽しむ余裕のある高齢層からの人気が高いことが考えられます。また、秋葉原も同様に家電製品のショッピング、歴史を感じられる浅草も高齢になるに連れ訪問率が上がっていきます。

東京の街に対するイメージが年代別訪問率の違いに反映か

上記の年代別の都内訪問率の違いは、各街のイメージの定着が影響している可能性があります。訪日外国人観光客も、それぞれの街に対して日本人とほぼ同様の印象をもっています。

新宿のイメージ:NTTコム リサーチより引用

新宿のイメージ:NTTコム リサーチより引用

新宿は「便利」で「にぎやか、活気がある街」として認識。

高級店が集まる銀座は「高級的な」「物価が高い」イメージが持たれています。

銀座のイメージ:NTTコム リサーチより引用

銀座のイメージ:NTTコム リサーチより引用

渋谷のイメージ:NTTコム リサーチより引用

渋谷のイメージ:NTTコム リサーチより引用

渋谷は「最新トレンドを感じる」「楽しめる」というイメージが強いようです。

まとめ:データの背景にある要因を推定することがインバウンドマーケティングの第一歩

観光庁JNTOをはじめとして、近年様々な団体・企業からインバウンドに関する調査やデータが発表されています。そのデータを目にした時に、データの数値を把握することとともに「何故、そうなっているのか」を考えることはインバウンドマーケティングにおいて重要な考え方になります。

インバウンド対策にお困りですか?
「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、インバウンドの集客や受け入れ整備のご相談に対応します!
訪日ラボに相談してみる

中国SNS「RED(小紅書)」最新情報セミナー:訪日ラボ社内勉強会の内容を特別に公開します【訪日ラボ トレンドLIVE! Vol.6】

短時間でインバウンドが学べる「訪日ラボ トレンドLIVE!」シリーズの第6弾を今月も開催します!訪日ラボとして取材や情報収集を行う中で、「これだけは把握しておきたい」という情報をまとめてお伝えするセミナーとなっています。

今年も残りわずかとなりましたが、インバウンド需要はまだまだ好調をキープしている状況です。来年の春節や桜シーズンなど、訪日客が集まる時期に向けて対策を練っていきたいという方も多いでしょう。

今回もインバウンド業界最大級メディア「訪日ラボ」副編集長が、10〜11月のインバウンドトレンド情報についてお話ししていきますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。

詳しくはこちらをご覧ください。

中国SNS「RED(小紅書)」最新情報セミナー:訪日ラボ社内勉強会の内容を特別に公開します【訪日ラボ トレンドLIVE! Vol.6】

【インバウンド情報まとめ 2024年11月前編】UberEats ロボット配達開始、万博需要見すえ大阪で ほか


訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月発行しています。

この記事では、主に11月前半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。

※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。

口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。

詳しくはこちらをご覧ください。

UberEats ロボット配達開始、万博需要見すえ大阪で:インバウンド情報まとめ【2024年11月前編】

今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」

スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。

「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!

→ 【無料】「インバウンドの教科書」を見てみる

完全無料 口コミアカデミー 「インバウンドの教科書」出ました! 国別・都道府県別データ・トレンドをカバー 見てみる

関連インバウンド記事

 

役にたったら
いいね!してください

この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客インバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!

プロモーションのご相談や店舗の集客力アップに