株式会社カカクコムが運営する飲食店レビューサービス「食べログ」が、口コミによる店舗の評価点数をめぐり疑惑が浮上しています。
今回は、この食べログの「炎上騒動」を踏まえ、食べログが採用している採点アルゴリズムの紹介と、食べログの競合と言われる世界規模口コミサービス「yelp」との比較、そして「yelp」インバウンド対策の有効性を比較していきます。
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「食べログ」店舗評価の点数について操作疑惑
国内大手飲食店レビューサイト「食べログ」。その点数評価において「食べログの有料サービスの営業を断ると評価点数が低くなるように操作されているのではないか?」との疑惑があがっています。
この炎上騒動は、飲食店を営むオーナーが「食べログ」からの営業を断ったところ、食べログ内でのスコア(5点採点方式)が、いきなり3.0にリセットされたとTwitterに投稿したことが発端です。
疑惑浮上と同日、「食べログ」は「有料サービスと点数評価は一切関係ない」とのプレスリリースを打つ
これに関し、食べログはプレスリリースを発表。
> 自然検索で表示される点数及びランキングにおきましては、オンライン予約機能の利用是非に一切関係なく、これまでと同様ユーザーの評価を基礎に算出、表示をしております。-カカクコムプレスリリースより引用
としており、営業拒絶と点数は関係が無いことを強調。また、CNETの取材によれば、食べログ内で好評化を得ている「銀座魚勝」のオーナー曰く
> 「うちの店舗は無料会員なので(略)営業されますが、すべて拒否しています。点数は5月に3点台後半のスコアをいただきましたが、その後、7月半ばに一度下がり、9月6日にまた上がりました。同じく営業を拒否している友人の別店舗でも同様の変動がありました」-CNET Japan「営業拒否で「食べログ」の点数を強制リセット?-「関係ない」とする人気店も」より引用
とのこと。食べログ内での点数計算は、食べログ独自のアルゴリズムを使用しており、いわゆる「サクラ」や「ステマ」が蔓延らないよう、信頼性の高いレビュアーの採点に重きを置いて算出される仕様の模様。また、そのアルゴリズムは日々アップデートされているとのこと。
そのため各メディアでは、今回の騒動の火種となった飲食店のオーナーの場合、運悪く、営業されたタイミングとアップデートのタイミングが重なってしまったのでは?との見方も散見されます。
世界規模ローカルビジネス口コミサービス「yelp」とは
さて、今回炎上騒動にまで発展してしまった「食べログ」をはじめとした飲食店口コミサービスを駆逐するのでは、と日本上陸時に噂された「yelp」。正確には食べログとは純粋な競合というのは早計です。
yelpとは、飲食店のみならず、小売店、ホテル、美容室など「住所のある場所」についてなら何でもレビューできる口コミサイトです。また、食べログとの違いとしては、ユーザー登録に際し実名・顔出しを推奨する点です。
実名登録なため、「サクラ」や「ステマ」といった行為がしづらくなり、また、荒唐無稽なクレーム的な内容が書きにくいことから、信頼性の高いレビューを集めることが目的。
また、レビューの信頼性向上には力を入れており、投稿されたレビューに関しては投稿の内容やユーザー情報などをもとにし、独自のアルゴリズムで「オススメのレビュー」と「オススメされていないレビュー」に振り分けています。
この「オススメされていないレビュー」は全レビューの25%におよび、また、店鋪の総合点数には加算されません。つまり、全投稿のうち75%の、クオリティーと信頼性の高いレビューのみを採用し、店鋪の総合点数を決定しています。この質の悪いレビューを排除するアルゴリズムについては、以下の動画に詳しいです。
「yelp」vs「食べログ」:食べログも外国語対応しているものの……
それでは、yelpと食べログをインバウンド対策の観点を交えて比較していきましょう。
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|
|
![]() |
ユーザー数 |
1億6500万人 |
7469万人 |
レビュー数 |
1億800万件 |
1270万件 |
ジャンル |
ローカルビジネス全般 |
飲食店のみ |
|
主要機能 |
レビュー
ブックマーク
ネット予約
SNS |
レビュー
ブックマーク
ネット予約 |
ユーザー属性 |
世界各国 |
基本的に日本国内 |
言語 |
32カ国18言語 |
4言語 |
実名or匿名 |
実名 |
匿名(自由) |
|
店鋪が実施できる
プロモーション |
有料ページPR
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広告のみ |
yelpは、ユーザー数で食べログの2倍強、レビュー数で10倍以上を誇るグローバルな口コミサイトです。レビュー対象のジャンルについては、食べログが飲食店のみなのに対し、yelpはローカルビジネス全般(住所のあるものならなんでも)であることも、そのレビュー数の多さに影響しているでしょう。
主要機能はどちらも「レビュー」「ブックマーク」「ネット予約」といった、レビューサイトとしての標準機能を兼ね備えています。
ユーザー属性も、食べログは4言語対応しているものの、そのユーザーは基本的に日本人ですが、yelpは発祥の地アメリカを始めとした欧米系外国人のユーザーの比率が高く、インバウンド対応として導入を検討するのであれば、yelpも視野に入れたほうが良いでしょう。
飲食店だけじゃない!インバウンド対策なら「yelp」を活用
上記のように、yelpは食べログと違い、その掲載対象は飲食店だけに限りません。住所をもつローカルビジネスであれば、全てがレビュー対象ですので、観光施設やホテルなどの宿泊施設でも、インバウンド対策として導入可能です。
日本には2014年4月の上陸してきたyelpですが、現在、yelpが進出している国のうち、インバウンド主要国は以下の通り。
国名 |
yelp進出 |
2015年訪日外客数 |
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アメリカ合衆国 |
2004年7月 |
103万人 |
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カナダ |
2008年8月 |
23万人 |
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![]() |
イギリス |
2009年1月 |
26万人 |
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![]() |
オーストラリア |
2011年12月 |
38万人 |
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![]() |
香港 |
2014年9月 |
152万人 |
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![]() |
台湾 |
2015年3月 |
368万人 |
残念ながら、最近インバウンド市場が急成長中のタイでの導入が進んでいませんが、進出が早かった欧米系訪日外国人向けの集客施策としてyelpは有効であると考えられます。特に発祥の地 アメリカでは、我々日本人が待ち合わせ場所として食べログのURLを送るように、yelpのURLを共有することが一般的であるほどに浸透しています。
まとめ:欧米系訪日外国人観光客向けに口コミ戦略をとるならyelpを活用
レビュー評価の公平性の確保として、食べログもyelpもそれぞれの手法で企業努力を進めています。しかしながら、透明性の担保という意味では、アルゴリズム手法と レビューの掲載割合を公表しているyelpに一日の長があるのではないでしょうか。
また、インバウンド対策という観点で見た場合には、そもそも海外サービスであり特に欧米系外国人ユーザーが多数を占めるyelpを導入したほうが、ビジネスチャンスは広まりそうだと言えます。