経産省、サービス品質を見える化する「おもてなし規格認証」創設:インバウンドビジネスにも効果を発揮か

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経済産業省が平成28年(2016年)8月25日、高い品質のサービスを提供する事業者を認証する「おもてなし規格認証」を創設することを発表しました。同時に、「おもてなし規格認証2016」の申請受付も開始しています。

認証されたサービス事業者には認証マークが与えられ、ユーザーは良質なサービスを見分けることができるようになります。30種類の規格項目には訪日外国人観光客のおもてなしに関するものも。今回は、インバウンドビジネスにも大きな効果を発揮してくれそうな「おもてなし規格認証」についてご紹介します。

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おもてなし規格認証とは:サービス品質を見える化

経済産業省が「おもてなし規格認証(仮称)検討会」の設置を発表したのは、平成27年(2015年)11月17日。背景には、同年10月に安倍総理が発表した「新三本の矢」があり、「戦後最大のGDP600兆円」が掲げられていました。

サービス産業は日本のGDPの大部分を占めており、極めて重要な存在である一方、モノと違って形がないことなどから、付加価値を高めていくことが難しいと言われていました。このことがサービス産業の生産性が向上しない原因になっているとも言われています。

「おもてなし規格認証」は、サービス品質の明確化により、このような難点を持つサービス産業を活性化させることが目的。認証マークにより、ユーザーは質の高いサービスを見つけやすく、事業者はプロモーションをかけやすくなると想定されています。

おもてなし規格認証で問われること

客観的に判断しやすいプロセスが焦点

サービス品質の良し悪しは、時代や個人によって異なります。これを客観的に評価することは難しいのですが、サービスを生み出す際のプロセスには、より共有、比較しやすいという特徴があります。そのため、「おもてなし規格認証」では主にサービスを生み出すプロセスが評価されます。

規格項目

具体的な規格項目は以下のとおり。全30種類あり、このうち15種類以上に適合すると「おもてなし規格認証 2016」に登録することができ、「登録証」が配布されます。なお、組織、企業自身の責任で判断する自己適合宣言という形式をとっています。

  • 情報提供に関する取組

    • インターネットを活用した情報発信・問い合わせ対応
    • 初めてサービスを利用するお客さまに対してわかりやすく案内・説明などを行うツールの整備(例:パンフレット・ウェブサイト・メニューブック など)
    • 従業員同士や地域とのコミュニケーション・情報共有
    • 情報発信(例:チラシ、ウェブサイト、SNSなど)の工夫

 

  • 設備に関する取組

    • ICチップ内蔵クレジットカードに対応した決済端末の導入
    • 安定したサービスなどを提供できるようなマニュアルの整備
    • 店内外サイン(例:トイレ、非常口、看板など)についての外国語表記、または訪日外国人観光客にもわかりやすいピクトグラムなどの活用
    • サービスを利用するうえで、外国人が困りそうなことへの備え(例:独自の習慣や文化を知らないための不便やトラブルに備えた対応など)

 

  • 職場などの環境改善に関する取組

    • お客さまや従業員の健康に配慮した取組(例:分煙もしくは禁煙対応や定期健康診断など)
    • 誰もがサービスを利用しやすいような工夫(例:ベビーカー連れの方や障がい者、高齢者などにも利用しやすい工夫)
    • 定期的な5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)の取組
    • お客さまや従業員の安全対策についての定期的な点検や、必要に応じた設備の見直し・投資

 

  • 業務の改善に関する取組

    • ITを用いた適切な会計処理と、売上集計・仕入(原価)などの効率的な管理
    • バックオフィス業務(会計・税務、総務や倉庫管理など)を効率化する施策(もしくは効率化に向けた定期的な検討)
    • 接客レベル・サービスレベルについて定量的に把握し、改善に向けて検討・実施する仕組みづくり
    • サービス品質向上に向けた定期的な取組(従業員教育など)
    • 顧客満足度や地域への貢献を高めるためのPDCA(Plan・Do・Check・Actionという事業活動の「計画」「実施」「評価」「改善」サイクル)の仕組みの整備と、その運用
    • 従業員の意見を把握し、意見を反映させる仕組みづくりと、その運用(従業員アンケートなど)

 

  • ツールの導入・用意に関する取組

    • ITなどを活用した、より接客に集中できるような仕組みづくりと、その仕組みに基づくきめ細やかなサービスを行える取組(例:接客用タブレット、顧客情報管理システムの導入など)
    • 外国語でのサービス内容表示や説明ツールなどの用意
    • 従業員が外国語での接客を行うための支援ツールの用意(例:英会話マニュアル、指さし会話集、アプリなど)
    • 外国語版近隣マップの用意(各地域で作成・共有しているものでも可)

 

  • 顧客理解・対応に関する取組

    • 経営理念の策定、および、自社の強み・弱みを見極めたうえでの、想定する顧客(地域コミュニティ含む)に対する戦略づくり
    • お客さまや地域コミュニティの声を汲み取り、分析する仕組みづくり(例:アンケート実施や平時におけるコミュニケーションなど)
    • 自社がターゲットとする外国人のお客さまの文化などの理解、外国人のお客さまに対しての接客ポリシーの設置
    • 外国人のお客さまと必要最低限のコミュニケーションが取れるような従業員教育(例:外国語会話フレーズの教育、No.21の導入ツール(アプリなど)の使い方指導など)
    • 自社の顧客戦略や顧客ニーズ分析結果などを従業員に共有する仕組みづくりと、その運用

 

  • 人材教育・育成に関する取組

    • 「心のバリアフリー」に関する接客方針を整備し、従業員に浸透させる定期的な取組(指導・教育)。施設整備だけではなく、高齢者、障がい者などの困難を自らの問題として認識することで心のバリアを取り除き、その社会参加に積極的に協力すること
    • 外国人のお客さまに対しての接客ポリシー(指針)を従業員が理解・徹底するための取組
      外国語によるメール・電話での問い合わせ対応

まとめ:サービス品質の向上を目指そう

経済産業省が、サービス品質を可視化することを目的とした「おもてなし規格認証」を創設しました。全30項目が掲げられ、企業、団体自身の判断で認証を得ることができます。インバウンドビジネスに関連した項目もあり、国内のユーザーだけでなく、訪日外国人観光客の誘致にも役立てることができそうです。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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