年々増え続ける訪日外国人観光客に伴い、2020年の東京オリンピックに向け政府は、観光ビジョンの中で訪日外国人観光客数の目標を、4000 万人まで引き上げました。
しかし、訪日外国人観光客の受け入れにおいて、最も大きな問題になっているのが「外国語対応」。
観光庁により発表された「訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に関する現状調査」では、訪日外国人観光客が、旅行中に困ったことや、受け入れ環境のニーズに関して紹介されています。
「旅行中に困ったこと」との質問に対して、最も割合が高かった回答が「無料公衆無線LAN環境」。2番目に高かったものが「施設等のスタッフとコミュニケーションがとれない(英語が通じない等)」であり、外国語対応において、日本のインバウンド対策は遅れをとっていることがわかります。
そんな現状を打破すべく、以前ご紹介した「接客指さし会話」や「スマイルコール」など、一般企業による新たな訪日外国人観光客向けサービスが提供され始めています。また、最近では「AI」を活用したインバウンド対策も行われはじめています。
指差しだけで英会話接客!?手軽に多言語対応できるツール「接客指さし会話」とは
訪日外国人観光客が増え続け、インバウンド関連でビジネスをしている企業にとっては嬉しい状況が続いています。しかしながら、インバウンドに関して特に力を入れていない小売店や飲食店にとっては、訪日外国人観光客に対する接客のオペレーションが増えてしまい、困っているという現状もあるでしょう。小売店や飲食店にとっての訪日外国人観光客対策といえば、決済関連と免税関連、および接客におけるコミュニケーションがあげられます。なかでも、接客におけるコミュニケーションは従業員の言語力に大きく依存する上、訪日外国人観...
次世代通訳サービス「SMILE CALL」:リアルタイムで訪日外国人観光客との通訳が可能 に。導入例もご紹介
訪日外国人観光客が旅行中に困ったこと:観光庁より引用英語を主とした外国語対策。これは、日本がさらなる訪日外国人観光客を、集めるために避けて通れないものです。観光庁により、2016年1月12日に発表された「訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に関する現状調査」では、訪日外国人観光客が、旅行中に困ったことや、受け入れ環境のニーズに関して紹介されています。「旅行中に困ったこと」との質問に対して、最も割合が高かった回答が、「無料公衆無線LAN環境」。2番目に高かったものが、「施設等のスタッフ...
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「AI」とは、人工知能のこと:言語面のインバウンド対策に活用が進む
「AI」とは「Artificial Intelligence」の省略で、日本語の場合「人工知能」と訳されます。
「AI」または「人工知能」は「人工的にコンピュータ上などで人間と同様の知能を実現させようという試み」を意味し、わかりやすく言うと「ロボットなどに搭載される、人工の頭脳・知能」と言い換えることができます。
そんな次世代型技術を、訪日外国人観光客誘致に活用しようという動きが始まっています。
ロボットが交通案内:JRと日立が「AI」を搭載した対話型ヒューマノイドロボットの実証実験を開始
2016年9月26日の大手総合電機メーカー「株式会社日立製作所」(以下、日立)のプレスリリースによると、日立は鉄道会社「東日本旅客鉄道株式会社」(以下、JR東日本)と共同で、対話型のヒューマノイドロボット「EMIEW3」を活用し、訪日外国人観光客との質問応答の実証実験を実施することを発表しました。
この実証実験は、10月3日から10月28日にかけて、平日10:00から17:00まで東京駅「JR EAST Travel Service Center(東京訪日旅行センター)」で実施されます。
訪日外国人観光客の質問にロボット「EMIEW3」が応答:新たなコミュニケーションツールとして期待
今回の対話型のヒューマノイドロボット「EMIEW3」による実証実験、大まかな流れとしては、
- 東京駅「JR EAST Travel Service Center」内にロボット「EMIEW3」とディスプレイを設置
- ロボットが訪日外国人観光客の質問に応じ、日本語・英語・中国語で応答
- 回答がロボットによる音声案内、または併設したディスプレイ上に表示され、訪日外国人観光客に回答を伝達
となっています。
今回の実証実験において、「EMIEW3」は、東京駅を発着する列車案内、東京駅構内・周辺施設の案内、東京駅周辺の観光などの情報を訪日外国人観光客に提供。「AI」を搭載したロボットを活用して、言語面におけるインバウンド対策の進めていきます。
また、このような動きは、情報提供に限らず他分野でも見ることができます。
宿泊施設においても「AI」の導入の動き:株式会社ビースポークが英語チャットコンシェルジュ「Bebot」の提供開始
日本の「穴場」を紹介するウェブサイト「LEVART」を運営している「株式会社ビースポーク」(以下、ビースポーク)は、英語チャットコンシェルジュ「Bebot」の提供を開始しました。
2016年8月31日のビースポークによるプレスリリースにその概要が紹介されています。
「Bebot」とは「AI」を活用した宿泊施設向け多言語対応サービス:コンシェルジュのようなおもてなしを訪日外国人観光客に提供
「Bebot」とは、スマートフォン上の訪日外国人観光客向けコンシェルジュ(*)型サービスです。
スマートフォンを介して、訪日外国人観光客へ周辺の道案内から地元でおすすめのお店など、様々なリクエストにリアルタイムで対応します。英語での通訳に対応しています。
「Bebot」サービス登録宿泊施設は、チェックイン時に訪日外国人観光客のスマートフォンから「Bebot」へアクセスするためのリンクを発行し、訪日外国人観光客に提供。その後、訪日外国人観光客は、Facebookメッセンジャー、LINE、WeChatなどメッセージツールから、チェックアウト時までいつでもチャットでスマホ上コンシェルジュ「Bebot」への相談が可能となります。
*コンシェルジュ:宿泊客の様々な相談や要望に応える「よろず承り係」のこと。
日本マイクロソフトは、「ブロードバンドタワー」「豊橋技術科学大学」と共同で「AI」活用事業を開始:2020年までに訪日外国人観光客向けにリアルタイム翻訳提供へ
米マイクロソフト コーポレーションの日本法人である「日本マイクロソフト株式会社」による2016年6月21日のプレスリリースでは、日本マイクロソフトは、ブロードバンドタワー、豊橋技術科学大学の3者で、「AI」を活用したリアルタイム自動翻訳サービスを開発すると発表。「東京オリンピック・パラリンピック」の行われる2020年までに実用化を目指します。
具体的には、訪日外国人観光客の必要とする観光や、医療、災害に関する情報をリアルタイムに翻訳。訪日外国人観光客の増加から、「AI」を活用した翻訳サービスの開発に着手します。
日本マイクロソフトは、「AI」に関するテクノロジーに加えて、膨大なデータの安全な管理、活用のためのクラウド基盤「Microsoft Azure」を提供します。
ブロードバンドタワーは、IoT(*)基盤となる豊富なサービス構築。さらに「AI」を活用した事業創出のために新会社エーアイスクエアを設立し、実社会のインフラ、ビジネスへ導入を行います。
豊橋技術科学大学は、訪日外国人観光客とのコミュニケーションに必要な分野ごとの重要語句を抽出。目的に応じたデータの分類を行い、訪日外国人観光客を含むサービス利用者と改善案を模索していきます。
*IoT:コンピュータなどの情報・通信機器を含む、あらゆるものに通信機能を持たせ、インターネットに接続することにより、自動認識や自動制御、遠隔計測などを行うこと。
まとめ:言語面のインバウンド対策に「AI」を活用する動きが加速:「AI」×「インバウンド」に大きな可能性
外国語対応におけるインバウンド対策として、会話によるコミュニケーション、インバウンド向け言語対応ツールの活用などが国内で進んでいます。
しかし、日本国民の多くが外国語学習に消極的であるという傾向があり、言語対応ツールも、使用可能な場面が限られていることから、訪日外国人観光客の要望へのフレキシブルな対応が困難になっています。
そのような状況の中、人工知能である「AI」が進歩し実社会に導入されることで、訪日外国人観光客との円滑なコミュニケーションが可能になり、そこには大きなポテンシャルがあります。
新時代のテクノロジーである「AI」の活用により、言語面におけるインバウンド対策は新たな局面を迎えています。
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2024年も残りわずかとなりました。来年2025年は大阪・関西万博が開催されるほか、中国市場の回復などもあり、今年以上の盛り上がりが予想されています。2025年に向けて、訪日旅行者へ向けたマーケティング戦略を強化していきたいと考えている事業者の方も多いのではないでしょうか。
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