インバウンドの本当の競合は中国!? 各国の海外旅行先から見る日本の競合国:アジア編

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近年の急速な訪日外国人観光客数の増加により、インバウンド市場は史上類を見ないほどに急成長をしています。おそらく、本メディア「訪日ラボ」をご覧になっている方はインバウンドビジネスを既にはじめていたり、または新規事業として検討段階にあったりすると思います。

市場参入やビジネスをグロースさせるにあたり、市場分析、なかでも「競合調査」はどのビジネスでも重要視するのではないでしょうか。その競合調査にあたり、国内インバウンドビジネスがどのようなことをやっているのか、だけでなく、「日本」の競合はどこなのか、という視点も必要です。

 


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なぜ他国を競合として見るのか

自分が海外旅行に行くときを考えれば、すぐに想像がつくのではないでしょうか。例えば、われわれ日本人が海外旅行に行くとなった際は、

  • どこか海外に行きたい
  • 予算はこれくらいにしたい
  • 休みは確保できた
  • さあ、どの国に行こうか

または、

  • この国に行きたい!
  • 予算はこれくらいかかるのか
  • 休みを確保できた

といった様子で、多少順番の前後があれど、こういった検討プロセスを経ると思います。そして、どの順序であっても必ず入ってくるフェーズが「どの国に行こうか?」という比較検討フェーズです。

後者の「この国に行きたい!」からスタートしたパターンであっても、その気持ちになるまでには、様々な情報に触れて、そのモチベーションが構成されます。そのため、やはりどのようなプロセスを経たとしても、外国人観光客にとって「日本 vs. 他の国」という検討フェーズが発生しています。

インバウンドの競合「国」を把握しておくと何が良いのか

インバウンド市場における競合「国」を知っていることで、

  • その国の海外旅行検討者は何を基準に旅行先を決定したのか
  • 「海外旅行」がブームになっているのか「訪日旅行」がブームになっているのか
  • 人気の旅行先になっている他国から、観光業における学びがあるのではないか
  • その国の訪日旅行の今後はどうなっていくのか

などを推定・熟考することができ、中長期的な計画や、具体的なターゲット国の選定に役立ちます。

 

訪日主要国の海外旅行市場での「日本 vs. 他国」比較

さて、前置きが長くなってしまいましたが、各国の状況を見ていきましょう。今回は、

  • 2014年の渡航先別海外旅行者数TOP10
  • 2010年〜2014年までの5年間のTOP10国への旅行者数推移

をご紹介します。前編をアジア編(中国、台湾、香港、韓国、タイ)とし、後編で欧米&オセアニア(アメリカ、カナダ、オーストラリア、イギリス)についてご紹介していきます。

インバウンドの本当の競合は中国!? 各国の海外旅行先から見る日本の競合国:欧米・オセアニア編(英語圏)

インバウンドの「競合」とは、日本国内の同業他社だけとは限りません。それぞれの国からの「海外旅行」というマクロな視点で見れば、他国も日本のインバウンドにとって、競合「国」であるといえます。今回は、前回に引き続き、欧米やオセアニア(英語圏)での日本のインバウンド競合国を調査・分析しました。 目次おさらい:なぜ他国を競合として見るのかインバウンドの競合「国」を把握しておくと何が良いのか訪日主要国の海外旅行市場での「日本 vs. 他国」比較アメリカ人の海外旅行データカナダ人の海外旅行データイギリス...

中国人の海外旅行データ

2014年の中国人の海外旅行先ランキングTOP10

2014年の中国人の海外旅行先ランキングTOP10

中国人の海外旅行渡航先のトップは断トツで香港です。その後マカオが続いており、アクセスの良い中国と陸続きの観光地・リゾート地が人気であることがわかります。その後も5位までは東アジア東南アジアの国々が続いており、日本は6位にランクイン。

こうして見てみると、日本側から見れば、中国爆買いと訪日国ランキングトップで有名であるものの、中国側から見たときには、まだメジャーな地位を獲得していないと言えます。逆に言えば、伸びしろがあるとも言えるでしょう。

中国人の海外旅行先ランキングTOP10の5年間推移

中国人の海外旅行先ランキングTOP10の5年間推移

中国人の海外旅行渡航先TOP10の5年間の渡航人数の推移を見てみると、香港が爆発的な伸びを見せていることがわかります。これは1997年のイギリスからの主権返還から続くトレンドだと思われます。

全体的に、海外渡航者数は右肩上がり傾向にあり、今後も海外旅行需要は伸びていきそうです。今までは沿岸部の富裕層が海外旅行のメイン顧客だったものの、内陸部の中堅層にまで海外旅行需要が増加しているので、今後も海外旅行ブームは続きそうです。

 

台湾人の海外旅行データ

2014年の台湾人の海外旅行先ランキングTOP10

2014年の台湾人の海外旅行先ランキングTOP10

台湾人の海外旅行渡航先のトップは中国です。文化的背景や言語などが、他国と比較して通ずるところがあり、気負いせずに旅行できること、またビジネス目的の渡航者も多いことが理由だと思われます。

随一の親日国ということだけあり、日本が第2位にランクインしています。続いて香港、マカオ、韓国東アジアの国々がランクイン。

台湾人の海外旅行先ランキングTOP10の5年間推移

台湾人の海外旅行先ランキングTOP10の5年間推移

台湾人の海外旅行先1位の中国は安定した旅行者数を確保しています。ここから、定番の旅行先ないし、ビジネス目的の旅行者が多いことが推測されます。

特徴的なのは日本の伸び率です。他国が安定ないし微減傾向にあるにもかかわらず、日本への旅行者が劇的に増加しています。2011年の減少は東日本大震災の影響ですので、それを考慮すれば、ここ数年で一気に人気の海外旅行先になっていっていることがわかります。

 

香港人の海外旅行データ

2014年の香港人の海外旅行先ランキングTOP10

2014年の香港人の海外旅行先ランキングTOP10

香港人の海外旅行先は圧倒的な差で中国が1位です。次にマカオ、台湾と中華系の国が続いており、台湾と同様、文化的背景や言語に共通点がある中華系国が定番の旅行先になっている模様。

日本は、ランキングでは中華系国の次で4位に位置しています。ですが、旅行先としてのシェア率はまだまだ低く、今後の成長可能性が残されています。

香港人の海外旅行先ランキングTOP10の5年間推移

香港人の海外旅行先ランキングTOP10の5年間推移

香港の海外旅行者数推移は、中国、マカオで微減傾向があるものの、ほぼ横ばいで安定しています。最近になって海外旅行が解禁されつつある中国と違い、香港人は海外旅行慣れしており、今後も安定した海外旅行者数を見込めることがわかります。

 

韓国人の海外旅行データ

2014年の韓国人の海外旅行先ランキングTOP10

2014年の韓国人の海外旅行先ランキングTOP10

韓国人の海外旅行先1位は、やはり中国です。第2位に日本が位置しており、他の東アジア国と比較して日本旅行者の割合が高いことが特徴的です。

その後、米国香港フィリピンタイがほぼ同数で並んでおり、意外と中国以外の東アジア国には海外旅行先として選択していない印象です。

韓国人の海外旅行先ランキングTOP10の5年間推移

韓国人の海外旅行先ランキングTOP10の5年間推移

韓国人の海外旅行者数推移は基本右肩上がりの傾向を見せています。国別では、多少の上下があるものの、中国が安定しています。

日本は2011年に東日本大震災の影響を受け、一度大幅に旅行者数を減らしますが、2013年には2011年と同水準まで復調、その後も訪日旅行者数を伸ばし続けています。

 

タイ人の海外旅行データ

2014年のタイ人の海外旅行先ランキングTOP10

2014年のタイ人の海外旅行先ランキングTOP10

タイ人の国別海外旅行者数ランキングは、東アジアとは様子を異にします。トップ3において、タイの北東で隣接するラオス、北東で隣接するミャンマー、そして南方で隣接するマレーシアといったお隣の国々が上位を占めています。

日本は旅行者数を少し落として4位にランクイン。続いて中国シンガポール香港などの東アジア東南アジアの国々がならんでおり、海外旅行の渡航先としては、近場を選ぶ傾向にあることがわかります。

タイ人の海外旅行先ランキングTOP10の5年間推移

タイ人の海外旅行先ランキングTOP10の5年間推移

タイ人の海外旅行者数推移は、基本的に右肩上がりで、特に人気の出た国の上昇が顕著に出るという特徴があります。顕著なのはミャンマーの2012年から2013年の伸びです。これは、2013年にタイとミャンマーの陸路国境4箇所が開放されたことが大きく影響しているものと思われます。

日本は、やはり2011年には東日本大震災の影響で訪日客数を一度落とすものの、翌年にはすぐに復調。2013年の対日ビザ免除などの後押しもあり、順調に海外旅行シェアを伸ばしています

<欧米・オセアニア(英語圏)編はこちら>

インバウンドの本当の競合は中国!? 各国の海外旅行先から見る日本の競合国:欧米・オセアニア編(英語圏)

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【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」

インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。

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【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」

2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。

「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。

初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。

参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。

<こんな方におすすめ>

  • インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
  • 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
  • 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
  • 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
  • インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生

「THE INBOUND DAY 2025」特設ページを見てみる

【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか


訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。

この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。

※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。

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「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客インバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!

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