インバウンド対策での外国人雇用で注意したい5つのデメリット 実はメリットの裏返しが多い?課題は受け入れ体制整備にあり!

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昨日10月25日、介護現場で働く外国人を大幅に増やす2法案が衆院で可決され、今国会で成立する見通しとなりました。政府は介護現場での外国人労働者の受け入れを段階的に拡大していく意向で、外国人技能実習制度を介護分野に拡大し、一定の条件を満たせば在留資格を認める方向で検討が進んでいます。

このように、人材不足を補い、労働力の確保のためにも外国人雇用は国が牽引しているところですが、インバウンド業界において外国人スタッフを雇用するデメリットとはどのようなものがあるのでしょうか。

 


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インバウンド対策として外国人スタッフを雇用することのデメリットとは

先日インバウンド対策として外国人スタッフを雇用することのメリットについて解説しました。今回は外国人雇用のデメリットについて解説していきます。

インバウンド対策として外国人雇用をする5つのメリット 言語対応はもちろんのこと訪日客のニーズ理解に効果的

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1.スタッフ間での円滑なコミュニケーションができない可能性があるというデメリット

外国人をインバウンド対策として雇用する際には、もちろん日本語検定などで、その外国人の日本語力にフィルターをかけた採用活動をするでしょう。しかしながら、どんなにスムーズに日本語を話せる外国人スタッフを雇用したとしても、日本語ネイティブレベルの日本語を読み書きできる人は極めて少ないと言えます。

また、後述の文化の違いによって生まれるデメリットとも関連しますが、日本語は察する要素が強い言語です。主語の省略などの文法的なものはもちろんのこと、空気や雰囲気、また本音と建前の使い分けなど、TPOによってその意味を判断しなければならず、日本人スタッフとのコミュニケーションや、阿吽の呼吸での指示出し・実行などは難しい可能性が高いというデメリットがあります。

2.文化・習慣の違いによって生まれるデメリット

外国人スタッフを雇用する日本の企業や団体は、もちろん日本の文化・習慣を不文律としています。その日本の文化・習慣と、外国人スタッフの母国の文化・習慣が相容れない場合に、軋轢が生じるというデメリットがあります。

例えば、日本の人事制度として、年功序列制度、つまり勤続年数や年齢に応じて役職や賃金を上昇させる制度があります。日本文化によって生まれたこの制度は、それを理解できない外国人スタッフにとっては、「同じ仕事をしているのに、なんであの人と給料が違う?」という不信感を生む原因になりかねません。

他には、日本人にとっては、仕事は真面目に勤労することが美徳とされていますが、雇用した外国人スタッフの母国によっては、そのような考え方がない場合もあります。そのために、遅刻や欠勤に対する価値観の違いで軋轢がうまれる可能性もあります。

そのほか、頭では「異文化だから」と理解してたとしても、日本人には許せないマナー違反があったり、逆に外国人スタッフにとっては許せないマナー違反を日本人がしたりするなどもあります。そのような場合に、相互不信や嫌悪に繋がりかねず、円滑な業務遂行ができなくなる可能性があるというデメリットも。

3.外国人雇用にかかわる法令・制度が煩雑であるというデメリット

インバウンド対策として外国人を雇用しようとする企業・団体の場合、今まで外国人スタッフを雇用した経験が無いことがほとんどだと思われます。そのため、外国人を雇用するにあたって関連する法令・制度についての知識やノウハウがなく、トラブルに発展しうるというデメリットがあります。

雇用しようとしている外国人がどのような在留資格、つまり日本に滞在することを許可された資格を持っているかで対応が変わり、またその在留資格は27種類もあります。そのほか、雇用形態が正社員なのか、契約社員なのか、派遣社員またはアルバイトなのかでも、やはり対応が変わってきます。

これらの法令・制度を理解せず、不法労働者を雇用してしまった場合、雇用主は入国管理法による処罰の対象となってしまうため、注意が必要であるというデメリットがあります。

4.採用コストや受け入れ体制整備コストがかさむというデメリット

外国人スタッフを雇用する場合、日本人と比べて、その採用コストがかさみがちであるというデメリットがあります。日本人を採用する場合は、とりあえず求人サイトに情報を載せるだけで、ある程度の求職者が集まるものの、外国人スタッフの採用はそうはいきません。

また、面接においても、求職者である外国人がまだ日本に来ていない場合は、現地に行くか、スカイプなどのテレビ電話で面接しなければならず、余計なコストや新たなノウハウの蓄積が必要になる場面も数多くあります。

また、前述の第2項でも触れたとおり、外国人スタッフはバックグラウンドにある文化や習慣が、日本人のそれとは全く異なります。そのため、それを踏まえた就業規則の変更や制度の見直しなどの手間がかかるというデメリットも。

なお、「採用などでコストがかかっても、外国人の雇用であれば人件費を抑えられるからペイする」というのは誤りです。労基法上、日本人と外国人が同じ業務をしている場合、国籍を理由に賃金に差をつけることは禁止されています。

5.既存日本人スタッフからの反発、マネジメントの困難さというデメリット

また、企業や団体の経営者・トップにとって無視できないのが、外国人スタッフを雇用することに対する既存日本人スタッフからの反発があったり、外国人スタッフのマネジメントが困難であったりするというデメリットです。

前述の第1項で触れたとおり、円滑なコミュニケーションができなかったり、また第2項で解説したように、文化の違いから軋轢が生まれ、日本人スタッフからの反発が生まれる可能性があります。

また、外国人スタッフのマネージメントの面でも、相応のケアが必要になってきます。日本人スタッフとの兼ね合いから、ある程度は日本の企業文化に合わせるように指導しなければならない場面もでてきます。異国の地、全く違う文化の中で働く外国人スタッフはストレスフルになりがちであり、マネージメントに失敗すると、コストをかけて雇用した外国人スタッフがあっさり辞めてしまう可能性があるというデメリットがあります。

 

まとめ:インバウンド対応で外国人スタッフの雇用を検討するときはデメリットにも注意を払って判断を

インバウンド対応として外国人スタッフを雇用することは、先日解説したとおり、多大なメリットがあるものの、外国人を雇用する場合特有のデメリットも存在します。

せっかくコストをかけて外国人スタッフを雇用したのに、期待どおりの成果がでない、見込んでいた能力が充分に発揮されていない、すぐ辞めてしまった、などのリスクもあります。しかし、これらは日本人にも言えることであり、外国人雇用特有のリスクとは言えません。

また、今回解説したデメリットのコアにあるものは、企業や団体の受け入れ体制が整っていないことにあるといえます。たとえば、日本人スタッフと外国人スタッフの文化の違いによる軋轢というデメリットは、日本人スタッフに訪日外国人観光客を接遇・接客する上でのノウハウの蓄積というメリットの裏返しでもあり、やはり外国人雇用特有でメリットなきデメリットというのは少ないと考えられます。

そのため、インバウンド対応として外国人スタッフの雇用を検討する際は、受け入れ体制が構築できるかどうか、そしてそのコストは得られるメリットと見合うかどうかを基準に判断すると良いでしょう。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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