訪日外国人観光客の日本国内の交通手段として、一般的に鉄道や新幹線、バスや飛行機などが、頻繁に利用される傾向にあります。しかし、近年では訪日外国人観光客の移動手段の1つとしてレンタカーの利用が増えています。
2016年6月20日に日本政府観光局(JNTO)よりリリースされた「訪日ドライブ旅行の現状と課題」では、訪日外国人観光客における日本国内のレンタカー利用状況や、訪日外国人観光客のドライブを促すにあたっての課題などが紹介されています。
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北海道と沖縄を中心に年間200,000件以上の利用:アジア圏からの訪日外国人観光客を中心にレンタカー利用が進む
訪日外国人観光客のレンタカーの利用状況を、特に利用者が多い北海道と沖縄県の例を参考に確認していきます。
平成27年度、北海道では41,361件の訪日外国人観光客のレンタカー利用がありました。香港、台湾、韓国などアジア圏からの訪日外国人観光客のシェアが特に高く、全体の80%を占める結果になっています。
一方、沖縄県では、北海道と比べて公共交通機関があまり発達していないため、車での移動は必須。北海道の約3倍である133,318件の訪日外国人観光客によるレンタカー利用が記録されています。そのうち全体の90%以上がアジア圏からの訪日外国人観光客によるものです。
このように、他県の利用数も加算すると、おおよそ200,000件以上の訪日外国人観光客によるレンタカー利用が存在することが予測できます
また、2016年10月26日の日本経済新聞では、九州においても訪日外国人観光客のレンタカー利用数が増加しており、前年の2倍を記録していることが取り上げられています。ここから、訪日外国人観光客の間で新たな交通手段としてレンタカーの利用が進んでいることが把握できます。
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では、訪日外国人観光客のレンタカー利用を促進するために、国やレンタカー業界は一体どのような対策をしているのでしょうか?
国土交通省「北海道ドライブまるわかりハンドブック」を作成:交通ルールや北海道の観光情報を提供
国土交通省北海道運輸局(以下、北海道運輸局)は、「北海道ドライブまるわかりハンドブック」を作成しています。
「北海道ドライブまるわかりハンドブック」は、北海道をレンタカーで旅行する訪日外国人観光客ドライバーに、安全・安心・快適にドライブ観光を楽しんでもらうことを目的に作成されています。
日本語・英語・中国語・韓国語で配信。北海道の観光情報やレンタカー利用時の注意、基本的な交通ルールに関しての情報が掲載されています。
年間約14,000件の販売実績:NEXCO東日本「Hokkaido Expressway Pass」を発売 北海道の高速道路が定額で乗り放題に
東日本高速道路株式会社(NEXCO東日本)では、高速道路を利用する訪日外国人観光客向けの通行料金割引サービス「Hokkaido Expressway Pass」を提供しています。
2008年から販売が始まったこのサービスを訪日外国人観光客が利用することで、北海道の高速道路が定額で乗り放題になります。利用日数によって値段が変わり、2日間から14日間までの13種類が、現段階で提供されています。
通年販売が始まった2013年には約2,400件であった販売件数は、2015年には約13,900件まで伸びているとのこと。高速道路利用時において、既存のシステムよりわかりやすい「Hokkaido Expressway Pass」の導入は、訪日外国人観光客に好評であることが推測できます。
日本レンタカー、トヨタレンタカーではインバウンド向けガイドブックを作成:多言語化カーナビも提供
ニッポンレンタカーサービス株式会社(以下、ニッポンレンタカー)や、トヨタ自動車の関連会社であるトヨタレンタリース(以下、トヨタレンタカー)など、大手レンタカー業界では、訪日外国人観光客専用のガイドブックを作成しています。
日本の交通規則や標識の解説、給油方法や事故発生時の対応、駐車違反に関する注意等がこまかく説明してあります。
また、多言語カーナビゲーションを提供しており、英語・中国語・韓国語で訪日外国人観光客に交通情報の提供が可能です。
まとめ:訪日外国人観光客の間で活用が進むレンタカー:国、企業からもインバウンド集客に様々なアプローチ
先述の通り、訪日外国人観光客の間でレンタカーの利用が進んでいます。訪日外国人観光客が地方へと流れる中、レンタカー活用を促進することで各地の景観のよい道路を観光資材として訪日外国人観光客に売り出すことができます。
国や一般企業からも訪日外国人観光客のレンタカー活用が促進されており、これから「インバウンド」×「レンタカー」は注目のキーワードになってくることが予測されます。
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