日本時間11月9日午前から米大統領選の開票がはじまり、同日日本時間17時頃にトランプ氏の当選確実の速報が報じられました。この結果をうけ、トランプ氏は来年2017年1月20日に米国大統領に就任します。
米国で行政経験、軍歴もない大統領の就任は初のことであり、今後の米国の動向に世界中の注目を集めています。
今回は、トランプ氏の米国大統領就任によるインバウンドビジネスへの影響を考えるべく、トランプ氏の経歴、政治思想、そして日本に関する発言をまとめます。
インバウンドの最新情報をお届け!訪日ラボのメールマガジンに登録する(無料)
ドナルド・トランプ氏の経歴
フルネームはドナルド・ジョン・トランプ(Donald John Trump)。不動産会社トランプ・オーガナイゼーションの会長兼社長で、いわゆるセレブリティーとして、米大統領選以前からアメリカ国内で有名な人物でした。
1970年代に、ニューヨーク市の不動産開発業者であった父フレッドから、「エリザベス・トランプ・アンド・サン」の経営権を譲り受け、「トランプ・オーガナイゼーション」に社名変更後、オフィスビル開発やホテル、カジノ経営に乗り出し、また1980年代には不動産王としての地位と名誉を獲得します。
しかしながら、1980年代後半から1990年代にかけて、他異業種への展開を進めたことが仇になり巨額の債務を抱え、相次いで経営していたカジノやホテルの倒産に追い込まれます。その後、1990年代後半の米国の好景気に上手く乗ることで再び不動産王として返り咲きます。
これらのビジネスでの成功、転落、そして復活劇を成し遂げたことから、ビジネスとして思考できる大統領候補として、一定の層から評価を受けることになります。
ちなみに、トランプ氏の不動産王としての有名さを表すエピソードとして最近有名になりつつあるのが、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の悪役「ビフ」のモデルが、このトランプ氏であるという点です。特に、第2作でのビフのカジノ経営や運営するホテルの外装などは、当時のトランプ氏のイメージをそのまま表しているということを、同映画の脚本・制作担当が明かしています。
ドナルド・トランプ氏の大統領選におけるマニュフェスト・政治思想
トランプ氏の政治思想を端的に表すと、氏の発言でもとりあげられた 「自分で国を守れってことだ 単純だよ」 に象徴されます。
トランプ氏は、その政治的主義として、いわば 「米国第一主義」 をとっています。他国にいい顔しているからアメリカが弱くなった、強いアメリカを取り戻そう、アメリカさえ良ければ良い、他国がどうなろうと自国の景気、雇用率の回復が最優先という主張をしています。
具体的には、時事通信社のクリントン氏とトランプ氏の制作比較が非常にわかりやすいです。
上記のように、対外的には強行姿勢をとり、「強いアメリカ」の復権を主張していることがわかります。
また、「全ての米国人がより良い生活ができる」「この国で忘れ去られてきた(労働者階級の)人々が、もはや忘れられることはない」と、反体制・反支配階層の姿勢をとったことが、主に白人労働者階級に支持された要因となった模様。
ドナルド・トランプ氏の日本に関する発言
前述の通り、トランプ氏の外交政策は基本的に強行姿勢であり、それは日本に対しても同様の考えを持っています。
前掲の表内にもある通り、日本との関係において最もキーポイントとなるのは日米同盟における日米間の関係維持です。
トランプ氏は、日米同盟に関して、
「米国第一主義」を掲げるトランプ氏は、米国の同盟国は「駐留米軍のすべての経費を支払うべきだ」と繰り返し、在日米軍撤退の可能性にも言及。対日安全保障の負担軽減の観点から、日本の核保有まで容認しようとする発言さえあり、日本政府は困惑した。―毎日新聞「16年米大統領選/1 対日政策 「米国の負担軽減」共通」
トランプ氏の対日政策についての主張で最も衝撃的なのが、日本の安保タダ乗り論だ。「日本が攻撃されれば、米国はすぐに助けに行かなければならないが、われわれが攻撃を受けても、日本は助ける必要はない。条約は片務的であり不公平だ」と、現在の安保条約を批判。いきなり駐日米軍撤退とはならないだろうが、日本にさらなる費用負担を求める交渉材料として使われる懸念がある。―ダイヤモンド・オンライン「もしトランプが大統領になったら?クリントンとの対日政策比較」
と、日米同盟における防衛義務の不均等性について言及。つまり、「アメリカに守ってもらいたければ、より金を払え。日本は自分で自分を守れ」と、従来の日米関係とはかなり経路の異なる路線の主張をしています。
また、日米間貿易や経済政策に関しては、
「我々は日本から関税ゼロで何百万台という車を輸入している。これでは日本とまともな貿易など出来っこない」(2014年4月25日付、ツイッターでの発言)
「安倍(首相)は頭が切れる。キャロライン・ケネディ(駐日米大使)は安倍にご馳走になって、日本が望むことをなんでもするようになった」「我々は、中国と日本に雇用を奪われている。雇用を取り戻そう。中国には我々のカネも奪われている。株価下落は中国のせいだ。市場は崩壊しつつあり、これは中国やアジアに主導権を握らせたからだ」(2015年8月21日、アラバマ州モービルでの演説)
「私が大統領になったら(日本との)貿易不均衡は15秒で解決できる。そうなったら安倍は慌てるだろう。安倍はとんでもないことをした。円の価値を徹底的に下げて、米経済を破壊している。安倍は米経済を殺した張本人だ」(記者の「中国が日本やフィリピンの船を攻めたら、どう対応するか」との質問に答えて)「予測できないことが俺の強みだ。相手に考えを知られたくない。オバマ(大統領)は『これをする、ここを攻撃する』と前もって言っているが、それが奴の最大の欠陥。これではみな逃げてしまう。マッカーサー元帥やパットン将軍がオバマの話を聞いたら憤慨するよ」(同9月3日、英誌「エコノミスト」との電話インタビューでの発言)―NEWSポストセブン「米大統領選 トランプ氏の陣営は前代未聞の「政策担当不在」」
と発言。また、日本人のビジネススタイルについては、
トランプ氏は演説中、中国人と日本人の崩れた英語(broken English)を皮肉り、アクセントを真似たりした。「日本や中国と交渉をする時、彼らは部屋に入ってきて、決して『天気がいいですね」などのあいさつを先にしない」とし「彼らは『我々はディールを望む(We want deals)!』と話す」と誇張しながら述べた。―中央日報「トランプ氏、今度はアジア人の「でたらめ英語」皮肉る」
と、皮肉を込めて言及しています。
まとめ:トランプ氏就任後の動向は、インバウンドを含めたあらゆる日本のビジネスに影響か
ドナルド・トランプ氏は「米国第一主義」を、その政治思想の中心に据えています。そのため、日本のみならず、世界各国に非難的な発言を連続しています。
米国大統領の任期は1期4年です。そのため、このままいけば、日本のインバウンドにおいてターニングポイントとなる2020年の東京オリンピックまでトランプ氏が米国大統領をつとめることになります。
既に、トランプ氏の就任により「トランプショック」と言われる経済的影響が出始めており、特にインバウンドビジネスにおいては為替の推移に注目していくべきでしょう。
2025年最新版!インバウンド×デジタルマーケティング戦略【訪日ラボトレンドLIVE スペシャルver.】
2024年も残りわずかとなりました。来年2025年は大阪・関西万博が開催されるほか、中国市場の回復などもあり、今年以上の盛り上がりが予想されています。2025年に向けて、訪日旅行者へ向けたマーケティング戦略を強化していきたいと考えている事業者の方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、株式会社movが毎月開催している「訪日ラボトレンドLIVE」をスペシャルver.としてお届け。今こそ知っておきたい「インバウンド×デジタルマーケティング戦略」を徹底解説します!
<本セミナーのポイント>
- 観光・インバウンドに詳しい専門家3名が登壇!
- 2025年に向けた「インバウンド×デジタルマーケティング」の戦略や施策について、「深掘り」した情報を「いち早く」「無料で」学べる!
-
質疑応答の時間もご用意。インバウンドに関する疑問・お悩みについて、専門家から直接「ヒント」を得られる!
詳しくはこちらをご覧ください。
→2025年最新版!インバウンド×デジタルマーケティング戦略【訪日ラボトレンドLIVE スペシャルver.】
【インバウンド情報まとめ 2024年11月前編】UberEats ロボット配達開始、万博需要見すえ大阪で ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月発行しています。
この記事では、主に11月前半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
※口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→UberEats ロボット配達開始、万博需要見すえ大阪で:インバウンド情報まとめ【2024年11月前編】
今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」
スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。
「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!