「Oculus Rift」「PlayStation VR」「Gear VR」「HTC Vive」などのヘッドマウントディスプレイの登場により、盛り上がりを見せているVR市場。よく話題になるのはゲームをはじめとしたエンターテイメント分野での活用ですが、インバウンド分野での利用を模索する動きも現れています。
これまでの映像よりも没入感が強いと言われており、各種業界から注目を集めているVR技術はインバウンドビジネスでどのように役立てられるのでしょうか。今回は、その各種事例をご紹介しましょう。
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2016年は「VR元年」:「ツーリズムEXPOジャパン2016」にもVRコンテンツが登場
2016年は「VR元年」と言われており、VRコンテンツが次から次へと発表されました。「ツーリズムEXPOジャパン2016」のような、インバウンドビジネスなどを対象とした展示会・見本市でも例外ではありません。
国内では民間企業のみならず、地方自治体などもインターネットでの動画配信を行っていますが、これは文字や画像以上にインパクトがあり、効果的なプロモーションが期待できるからでしょう。
VRによる3D映像は、通常の映像以上に体感的で、強い没入感があると言われています。そのため、主に観光地などの様子などを理解してもらうためのツールとして利用される傾向があります。以下に、「ツーリズムEXPOジャパン2016」にて展示された具体的な事例を挙げていきましょう。
安価なヘッドマウントディスプレイで、旅行前に現地の様子を確認:JTBプランニングネットワーク
JTBプランニングネットワークが展示したのは、店舗内や店までへの道順などを収録したVR映像。360度見回すことができるため、ユーザーはその場に行ったような感覚を味わうことができそうです。
このような取り組みを行う背景にあるのは、モノではなく、コトを楽しむ旅行スタイルが拡大していること。用途としては、「実際に行って期待はずれだったらどうしよう」という訪日外国人観光客の心配を軽減するための事前確認を想定しています。
VR端末は大きく分けて、パソコンに接続するものとヘッドマウントディスプレイにスマートフォンを挿入するものの2種類がありますが、JTBプランニングネットワークが利用していたのは後者。段ボール製の「Google Cardboard」同様、安価に制作できる素材を使用しています。
たとえば、「旅行会社から安価なヘッドマウントディスプレイをもらって、自宅でVR映像を介して現地の様子を確認しながら訪問先を決定する」というような使われ方もありうるのではないでしょうか。
VRコンテンツ+「TELEPOD」でより臨場感のある体験:電通グループ
電通グループは「日本のインバウンドを加速させる~Media & Solutions by Team Dentsu」と題したブースを出展。社内横断的に「VRプロジェクト」を実施しており、観光業への応用例としてシステム「TELEPOD」を設置しました。
https://www.youtube.com/watch?v=JIubCQjofNs
「TELEPOD」は半球形の特殊な椅子で、VRコンテンツの音と連動して振動を発します。VRコンテンツにプラスアルファし、より体験的にすることを目的としています。
音や映像に加え、香りや振動、風の動きなどを発生させる劇場設備は「4DX」と呼ばれていますが、ここには3Dよりもチャンネルが多い(4D)であるというニュアンスが込められています。「TELEPOD」もこれと同様に、「臨場感あふれる視聴体験が可能なVR4Dシステム」とうたわれています。
ヘッドマウントディスプレイ単独の場合以上に場所とコストが必要です。旅行博や大規模な観光案内所などに、よりリッチな体験を提供する狙いで設置されるのではないでしょうか。
屋外を歩きながら、現存しない史跡をめぐるスマートフォンアプリ:凸版印刷
凸版印刷は、全地球測位システム(GPS)とVRコンテンツを組み合わせた観光アプリ「ストリートミュージアムアプリ」を出展。9月21日から販売も行われています。
https://www.youtube.com/watch?v=sr4GofWZ7vw
「ストリートミュージアムアプリ」の特徴は現存しない城郭などの史跡を再現した映像を、スマートフォンやタブレット端末で位置情報と連動して見られるという点。VRコンテンツや音声付き映像解説が閲覧できるできるだけでなく、実際の地図と連動した古地図を表示することも可能です。
なお、現在は「VR=ヘッドマウントディスプレイで視聴する3D映像」くらいの意味で使われていますが、本来は現実世界に近いものを再現するバーチャルリアリティ(仮想現実)のことを指します。
「ストリートミュージアムアプリ」ではヘッドマウントディスプレイは使用されず、屋外を歩きながら、現実世界と端末を見比べるような使い方が想定されています。似たような仕組みを持ったアプリとしては「ポケモンGO」が挙げられますが、一般的には「AR(拡張現実)」を採用したゲームアプリとして知られています。
まとめ:今後、VRコンテンツの活用が加速か
2016年は「VR元年」と言われており、次々と新しいコンテンツが登場。インバウンドビジネスへの活用も模索されました。「ツーリズムEXPOジャパン2016」ではJTBプランニングネットワークや電通グループ、凸版印刷などがブースを出展。
よりリッチな体験を提供できる仕掛けを入れたり、屋外で使えるようにしたりと各社が工夫を凝らしたVRコンテンツの展示を行いました。今後、VRコンテンツがさらに浸透すれば、インバウンドビジネスのプロモーションへの活用が加速していくのではないでしょうか。
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