2016年9月の訪日カナダ人観光客は約2万人で、前年同月比24.8%増加。2016年1月は前年同月比24.1%増で、人口比(カナダの人口はおよそ3560万人)で考えれば、訪日観光は人気のあるアクティビティーとは言えないですが、年々の増加率を見る限り、これかも伸びが期待できるでしょう。
今回は、そのような訪日カナダ人観光客向けインバウンド対策として、カナダ人を外国人雇用する場合に知っておくべき国民性や賃金の目安について解説していきます。
インバウンドの最新情報をお届け!訪日ラボのメールマガジンに登録する(無料)
カナダ人を外国人雇用する際に知っておくべき国民性
訪日カナダ人観光客向けにカナダ人を外国人雇用する場合、また面接をする際に知っておきたいのが、カナダ人の国民性です。
カナダ人の国民性を理解するには、歴史的背景を知る必要があります。
カナダは、オーストラリアやニュージーランドと同じように、イギリス連邦の加盟国です。つまり、カナダは「連邦立憲君主制」の国家で、君主はイギリスのエリザベス女王となります。
大航海時代、ヨーロッパの国々が北米大陸に進出します。現在カナダとなっている地域には、イギリスとフランスの植民地がありました。
その後、17世紀から18世紀にかけて、北米における植民地戦争が勃発。イギリスとフランスが領地の争奪戦を繰り広げます。
結果的に、1763年パリ条約においてフランス領カナダがイギリスに割譲され、1867年にはカナダ連邦が結成。自治が認められます。
1982年にイギリスから憲法改廃権を完全移行。正式な主権国家となりました。
先述の通り、カナダを大まかな歴史の流れで見たとき、イギリスとフランスの影響を受けていることがわかります。
ほとんどの州で英語が使われていますが、植民地時代の名残で、ケベック州ではいまだにフランス語が公用語として使われており、文化的にもヨーロッパ色が強い地域となっています。
また、南にアメリカが位置していることから、アメリカからも政治的、経済的、文化的に影響を受けています。
また、カナダはほとんどが移民で成り立っているという珍しい国です。ヨーロッパ、南アメリカ、アジアなど、地域を問わず世界中から多くの人々がカナダに移住してきます。
そのため、「多様性」が尊重される社会が実現しており、争い事も少なく治安も良好。壮大な自然と、おだやかな国民性を背景に繁栄を築いています。
これらの背景から、カナダ人には以下の傾向があると言われています。
- 平和主義で、のんびりしている
- 人と「違う」ことを当たり前と考え、個性を尊重する
- 謙虚で礼儀正しく、日本人に比較的近い
- アメリカに対抗意識を燃やす
- 仕事より家庭を優先する
- 時間にルーズ
カナダ人の仕事や会社に対する価値観
前述の通り、カナダ人は、比較的日本人に近い特性を兼ね備えています。
例えば、「Sorry」の多用が例として挙げられます。
例えば、人からプレゼントをもらっときなど、人になにかしてもらった際、アメリカ人やイギリス人など他の英語圏出身の国民がThanks(ありがとう)と言う場面でも、カナダ人は、日本人のようにSorry(ごめんなさい)と一旦言ったあとに感謝を述べる傾向にあります。
また、カナダ人は自分の意見をはっきり述べますが、空気を読むことにも長けており、ビジネス時などは日本人と打ち解けやすい傾向にあります。
接待の際は、カナダでは夜食は家族で、というのが生活の基本なので、ビジネスの会食は昼食が中心になります。また、カナダには菜食主義など特殊な食習慣をもった人が大勢いるため、その点には留意するべきでしょう。
カナダ人を外国人雇用する際に知っておくべき母国での平均年収
カナダ人を外国人雇用するにあたって、募集をかける際、または雇用条件を交渉する際に参考になるのが、母国での平均年収です。
平均年収の算定にあたって、スイスの大手金融機関であるUBSが作成・公表している調査「Prices and Earnings」と、日本の厚生労働省が作成・公表している「賃金構造基本統計調査」をもとにして、カナダの平均年収を算出しました。東京の平均年収と比較して見てみましょう。
2012年 |
2015年 |
カナダ |
336万円 |
510万円 |
日本(東京) |
406万円 |
460万円 |
カナダは日本と同じように、先進国に数えられており、平均年収も比較的高い数値になっています。
2012年には336万円と日本よりも低かった平均年収も、2016年には510万円と逆転しています。
そのため、日本でカナダ人を雇用する際には、賃金や待遇面に関して、十分留意するがあるでしょう。自国で働くより日本で働いていたほうが好待遇であると認識させる必要があります。
<関連記事>
インバウンド対策として外国人雇用をする5つのメリット 言語対応はもちろんのこと訪日客のニーズ理解に効果的
今月のJNTO(日本政府観光局)の発表によれば、今年9月までの訪日外国人観光客数は1797.8万人。このペースで行けば、来月には昨年2015年の年間地1973.7万人を突破し、今年の年間地は2500万人前後まで到達しそうな見込みです。<関連記事>着々と増えつつある訪日外国人観光客に対して、あらゆる受け入れ体制整備・インバウンド対応が急ピッチで進められているものの、現状では手が回りきっていない印象です。特に、インバウンド対応に未着手、ないしまだ受け入れ体制の整備が進んでいない一般小売店や宿泊...
インバウンド対策での外国人雇用で注意したい5つのデメリット 実はメリットの裏返しが多い?課題は受け入れ体制整備にあり!
昨日10月25日、介護現場で働く外国人を大幅に増やす2法案が衆院で可決され、今国会で成立する見通しとなりました。政府は介護現場での外国人労働者の受け入れを段階的に拡大していく意向で、外国人技能実習制度を介護分野に拡大し、一定の条件を満たせば在留資格を認める方向で検討が進んでいます。このように、人材不足を補い、労働力の確保のためにも外国人雇用は国が牽引しているところですが、インバウンド業界において外国人スタッフを雇用するデメリットとはどのようなものがあるのでしょうか。 目次インバウンド対策と...
インバウンド対策で外国人雇用するときの5つの注意点・留意点 外国人雇用関連法令・制度のほか国民性などに注意
先日10月12日、北海道は札幌で訪日外国人観光客に関する変わったニュースがありました。北海道新聞によれば、札幌のホステルが、訪日外国人観光客を無料で泊まらせることを条件に、宿泊施設内で清掃などをしてもらったとのこと。しかしながら、この訪日外国人観光客は「短期滞在」の在留資格で、就労資格は無い外国人であり、また宿泊料無料の条件である宿泊施設の清掃は就労にあたるとして、このホステルの社長など3名が社長ら3名も不法就労助長罪の疑いで現行犯逮捕されることになりました。ニュースとしては事実のみの記述...
<参考>
- UBS「Prices and earnings 2015年版」
- UBS「Prices and earnings 2012年版」
- 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」
※UBSの「Prices and Earnings」はニューヨークの平均年収を100として、世界各都市の平均年収を比較。その比較値を東京を100として算出しなおし、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」による東京の平均年収と掛け合わせることで各都市の平均年収を算出。同一国に複数都市ある場合は、その平均値を平均年収とする。
訪日ラボ 最新版セミナー&インバウンド情報まとめ
訪日ラボおすすめの記事をご紹介します。
【10/8開催】「飲食店の付加価値向上EXPO」—お客様に選ばれ続ける"5つの鍵"—
原材料費や人件費の高騰で、多くの飲食店が値上げを余儀なくされています。
しかし、人口減少などを背景に市場競争が激しくなる中で、ただ価格を上げるだけでは顧客離れのリスクが...。
そこで重要になるのが、「付加価値」を高めることです。
お客様が納得できる価値を提供し、競合との差別化を図ることで、持続可能な経営を実現できます。
今回のセミナーでは、飲食業界の第一線で飲食店経営を支援する5社の専門家から付加価値向上の具体的な方法と成功事例をご紹介します。
詳しくはこちらをご覧ください
→【10/8開催】「飲食店の付加価値向上EXPO」—お客様に選ばれ続ける"5つの鍵"—
【インバウンド情報まとめ 2024年9月後編】中国「国慶節」延べ19.4億人移動、海外旅行先の人気1位は日本 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月発行しています。
この記事では、主に9月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
※口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→中国「国慶節」延べ19.4億人移動、海外旅行先の人気1位は日本:インバウンド情報まとめ 【2024年9月後編】
今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」
スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。
「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!