今年8月26日に公開された新海誠監督のアニメーション映画「君の名は。」。
10月21日の台湾での配給開始を皮切りに、海外での配給が続々とスタートしています。
中国では日本映画新記録を樹立しており、昨年100万人が実施した聖地巡礼に拍車がかかることが推測されます。
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映画「君の名は。」の日本での興行収入、反響
「君の名は。」は新海誠監督の長編アニメーション映画です。日本では2016年8月26日に公開され、公開日の金曜から土日の3日間で、動員96万人、興行収入12.8億円を記録しました。
先日12月6日には、配給会社の東方が、「君の名は。」の興行収入が200億を超えたことを発表。
公開から12月5日までの102日間の放映で、動員数は1539万人を突破。公開から9週連続で週末興行ランキング1位を獲得しました。
邦画歴代興行収入ランキングでは、ジブリ映画「もののけ姫」を超え、執筆現在第2位。
今なお1位に君臨するのがジブリ映画「千と千尋の神隠し」で、その興行収入は308億円。
興行収入200億円を突破したのは1位の「千と千尋の神隠し」以来で、15年ぶりの快挙となります。
「君の名は。」の海外での公開状況:11月以降、主要訪日国で次々と公開
「君の名は。」は10月21日の台湾での公開を皮切りに、11月にはシンガポール、タイ、香港、マカオ、イギリス、アイルランド、オーストラリア、そして12月にはニュージーランド、中国、インドネシアなどで公開されています。
「君の名は。」の海外での躍進:米映画賞受賞、中国では新記録
今月4日(日本時間5日)、オスカー賞の前哨戦と言われる、ロサンゼルス映画批評家協賛会のアニメ映画賞を「君の名は。」が受賞しました。
この受賞で4つ目の海外映画賞を獲得したことになります。
アジアでも「君の名は。」人気が高まってきており、12月2日から公開が始まった中国では、公開後金曜から日曜までの週末3日間での興行収入は2.8億元(42億円)にのぼり、中国で公開された日本映画のなかで過去最高の売上を記録しました。
その他、台湾、タイ、香港においても週末興行収入で1位を獲得しており、海外各国で大躍進を果たしています。
インバウンドビジネスへの影響は?
いわゆる「クール・ジャパン」のメインコンテンツである日本アニメーション。ここまでの大反響があることから、インバウンドビジネスへの好影響が考えられます。
昨年は100万人弱の訪日外国人観光客が「聖地巡礼」
観光庁の訪日外国人消費動向調査によれば、訪日外国人観光客の4.4%が「映画・アニメ縁の地を訪問」したと回答しており、昨年の訪日外客数1,974万人のうち100万人弱が「聖地巡礼」を行ったということになります。
また、次回の訪日でしたいこととして「聖地巡礼」をあげている訪日外国人観光客は10.5%にのぼっており、「君の名は。」効果によるインバウンド需要促進が期待されます。
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「君の名は。」効果が期待される地域は?
「君の名は。」劇中で登場する、またはモチーフとなっているのではと言われているのが長野県の諏訪湖、岐阜県の飛弾、そして東京の新宿区周辺です。
長野県の諏訪湖は、「君の名は。」物語の中心となる「糸守湖」のモチーフなのではないかと言われています。
諏訪湖東部にある「立石公園」からの遠景が、「糸守湖」と酷似していることから”聖地”化しています。
しかしながら、新海誠監督公式Twitterアカウントでは、「諏訪湖=糸守湖」の説を否定。それぞれのスタッフが持つイメージを合わせて創造した地域としています。

Twitter:諏訪湖が糸守湖のモデルだという噂を否定する新海誠氏の投稿(https://twitter.com/shinkaimakoto/status/788308180262465536)
また、その他の地域では明らかに作画の参考になったと思われる場所があります。劇中の「糸守町」の麓の飛騨市は以下のように背景作画の参考にされています。

Twitter:岐阜県飛騨市へと聖地巡礼に行ったファンの投稿(https://twitter.com/aqcuaria/status/770157861733175296)
また、主人公の「立花 瀧」が暮らす新宿周辺も作画のモチーフとなっています。

Twitter:東京都新宿区へと聖地巡礼に行ったファンの投稿(https://twitter.com/kamikilittledj/status/756128540882378752)
特にキービジュアルに使用されたと思われる四谷の「須賀神社」は人気の聖地巡礼スポットとなっています。

Twitter:東京都新宿区四谷へと聖地巡礼に行ったファンの投稿(https://twitter.com/lidges/status/769783995076706304)
北海道では「狙った恋の落とし方。」効果で訪道中国人観光客数が3倍に
すでに訪日中国人観光客においては聖地巡礼(ロケツーリズム)として、中国映画「狙った恋の落とし方。」の影響で北海道人気が不動のものとなった実例があります。
「狙った恋の落とし方。」の場合、ロケ地が観光資源豊富な北海道であったことも寄与し、公開2年後には北海道を訪問する訪日中国人観光客が、公開前の3倍にまで増加しました。
北海道がインバウンドでアツい!訪日中国人観光客が北海道に行く理由は「狙った恋の落とし方。」という映画?
主に訪日中国人観光客に人気の訪日観光ルート「ゴールデンルート」。最近では訪日中国人観光客のなかでも初訪日割合が減ってきており、2順目には団体旅行ではなく、個人旅行(FIT)での計画を考えている訪日中国人観光客が増えてきています。ゴールデンルートは、東京、箱根、富士山、名古屋、京都、大阪といった日本観光の王道をくまなく回るルートであり、その工程は基本的に団体旅行で組まれています。団体旅行の減少、そして現在のFIT人気も相まって、次期インバウンド主要地域として注目を浴びているのが北海道です。今...
「狙った恋の落とし方。」は、映画公開後19日間で興行収入が3億元(当時レートで約41億円)、対して「君の名は。」は公開後3日間で2.8億元(42億円)ですので、「狙った恋の落とし方。」の効果を鑑みるに、相当のインバウンド需要の喚起が推測されます。
まとめ:日本アニメーションの大躍進でインバウンド聖地巡礼が促進されるか
中国では異例の大ヒットを誇っている「君の名は。」。人口の差もありますが、公開3日で日本を超える興行収入42億円を叩き出したのは驚異的です。
前述のとおり、中国市場では「狙った恋の落とし方。」の影響で北海道の聖地巡礼(ロケツーリズム)が確立しており、公開前後では訪道中国人観光客は約3倍になっています。
興行収入ベースでは、「君の名は。」は「狙った恋の落とし方。」を超えるペースでヒットしているため、かなりのインバウンド需要の喚起が推測されます。
また、「君の名は。」以降も、今年は日本アニメーション映画が豊作で、9月17日公開の「聲の形」、そして11月12日公開の「この世界の片隅に」も話題となっています。
そのため、来年以降のこれらの映画に換気されたインバウンド需要に注目が集まります。
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訪日外国人の聖地巡礼を促進!「アニメツーリズム協会」が発足 アニメの聖地88カ所を選定へ
ドラマや映画、アニメ・漫画のロケ地やモデルとなった土地を訪問する「ロケツーリズム」。そのなかでもアニメや漫画のモデル地となった場所を訪問し、アニメ内と同じアングルで写真をとったり、その世界に入りこんだような感覚を楽しんだりすることを特に「聖地巡礼」といいます。<関連記事>先日9月16日、アニメ・漫画の舞台やモデルになった「聖地」を認定し、アニメや漫画を通じて訪日外国人観光客誘致や地域の観光活性化を図る「一般社団法人アニメツーリズム協会」が発足しました。目次アニメツーリズム協会とは?「聖地」...
アニメが流行ればたいやき屋が儲かる?日本アニメの影響 米国でたい焼きが大流行
インバウンドビジネスにおいては、訪日外国人観光客に何が売れるのか、何が流行っているのかを掴むことは非常に重要です。訪日外国人観光客の日本グッズブームの中には、企業が意図してプロモーションしたものもあれば、SNSなどでの拡散で自然発生的に生まれたもの、または全く想像のつかないところから発生することもあります。例えば訪日タイ人観光客の間でアシックスのスニーカーブランド「オニツカタイガー」が流行したのは、若かりし頃の故・プミポン国王の着用写真がSNSで拡散したことがその発端と言われています。この...
<参考資料>
- ITmediaビジネスオンライン:「君の名は。」海外で好評 米で受賞、中国で新記録
- Wikipedia:君の名は。
- Wikipedia:日本映画の歴代興行収入一覧
- 日経新聞:「君の名は。」、興行収入200億円超え 邦画15年ぶり
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。
<本セミナーのポイント>
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詳しくはこちらをご覧ください。
→宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
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