KDDI、KDDI総合研究所、三和交通株式会社、境交通株式会社の4社が平成28年(2016年)12月20日から、タクシー向けの多言語音声翻訳システムの実証実験を開始したことを発表しました。
KDDI、KDDI総合研究所は2015年にも類似の実証実験を行っており、訪日外国人観光客が使いやすいタクシーの実現化に積極的に取り組んでいます。実際に導入されれば、訪日外国人観光客がスムーズに移動できる交通環境が整い、今以上に旅行が楽しみやすくなるのではないでしょうか。今回はKDDI、KDDI総合研究所が手掛けるタクシー向けの多言語音声翻訳システムについてご紹介します。
インバウンド対策サービスを探している方必見!無料で資料DLできる「訪日コム」を見てみる
2015年にも鳥取の訪日外国人観光客向けサービス「1,000円タクシー」で実証実験
まずは、今回の実証実験に先んじて行われた2015年の取り組みから紹介しましょう。
鳥取県鳥取市では、市内のタクシー会社9社が2011年から「1,000円タクシー」というサービスの提供を行っています。これは訪日外国人観光客向けのサービスで、観光地が点在しそれぞれのあいだを移動するのが難しいという同市の観光業をサポートする狙いがあります。
その名の通り、利用料金は1人あたり3時間で1,000円(税込)。おもてなしの心得や各観光地の歴史、文化などを学んで「鳥取観光マイスター」に認定されたドライバーがタクシーを運転してくれます。自分の都合に合わせて利用できる、小さな観光バスのようなイメージでしょうか。
しかし、多言語対応まで行い、充実したサービスを実現するには、韓国語、中国語、英語……とさまざまな外国語を学ぶ必要があります。各ドライバーにこの能力を求めるのはコスト面の問題から極めて困難ですが、かといって観光地巡りに役立つという点が売りである以上、挨拶や料金のやり取りに必要なフレーズだけ覚えるのでは不十分です。そのため、どのようにして言葉の壁を崩すかという課題を抱えていたといいます。
ドライバー、訪日外国人観光客の会話をリアルタイムに翻訳
そこで2015年11月から2016年3月末まで実施されたのが、KDDI、KDDI総合研究所による車内に「多言語翻訳プラットフォーム」を設置する実証実験。運転手がハンドルに装着されたスイッチを押して日本語を話すと、それを翻訳した音声が客席のスピーカーから再生される仕組みです。反対に、客席には専用アプリを搭載したスマートフォンが設置され、そこに音声を吹き込むと運転席に日本語で再生されます。翻訳にかかる時間は2~3秒と短く、ほぼリアルタイムで会話することが可能。通訳者に同行してもらうよりも、スムーズなやり取りができたのではないでしょうか。
人間を介さない機械翻訳で課題となるのは、その精度。どれだけ安価に利用でき、どれだけスピードが早くても意図通りの翻訳ができないのでは元も子もありません。この実証実験では、鳥取市内を運行するタクシーであることを配慮して専用の辞書データを作成し、固有名詞を登録。「鳥取砂丘」だけでなく、そこに位置する「砂の美術館」まで正しく変換できるようにしました。
また、GPSによって取得される位置情報を活用した仕組みも取り入れられています。日本には同音の地名が各地に存在しますが、車内の会話に出てくる可能性が高いのはタクシーの現在地から遠い場所ではなく、近い場所だろう。それなら、後者に優先的に変換することで翻訳精度を高められるだろうという発想です。
2016年12月から「東京観光タクシー」でも実証実験を開始!
新たに実証実験が行なわれることになったのは、時間単位で貸し切り、東京都内の観光地を巡ることができる「東京観光タクシー」。こちらも特別な教育を施されたドライバーが運転するタクシーになっており、「1,000円タクシー」と類似したサービスといえるでしょう。
基本的な仕組みは変わりませんが、翻訳精度を向上させる改良が行なわれているのに加え、インターフェイスが新たに目的地のイメージ画像や映像を再生できるものに変更されています。実施期間は2016年12月20日~3月まで。
まとめ:タクシー向け翻訳システムの実現化に期待!
KDDI、KDDI総合研究所、三和交通株式会社、境交通株式会社の4社が12月20日から、タクシー向けの多言語音声翻訳システムの実証実験を開始したことを発表しました。KDDI、KDDI総合研究所は2015年にも類似の実証実験を行っており、訪日外国人観光客が使いやすいタクシーの実現化に積極的に取り組んでいます。
システムの特徴はタクシーという特性を活かし、GPSから取得した位置データを使うなどして翻訳精度を高めている点。今回は前回のシステムを踏襲しつつ、目的地のイメージ画像、動画が再生できるなどの改良が行なわれています。実証実験は2017年3月まで行なわれる予定で、残念ながら実現化にはまだ時間がかかる思われます。1日も早く実用化されることが期待されます。
【5/27開催】Google口コミ最新情報!店舗が直面するリスクといま抑えるべき対策を専門家が解説
Googleマップ上の口コミに対するGoogleの対応が大きく見直されつつあることをご存じでしょうか?
日本でもビジネスプロフィールの停止や口コミの大量削除といった影響が出始めています。
たとえば、
「★5の投稿でドリンク1杯無料」
「口コミ投稿でクーポンプレゼント」
といった“よくあるキャンペーン”が、ステルスマーケティング規制や景品表示法違反にあたる可能性があるのです。
本セミナーでは、Googleビジネスプロフィール ダイアモンドプロダクトエキスパートの 永山氏と、インハウスハブ東京法律事務所 弁護士 白井氏を迎え、Googleの最新動向、法的観点からの注意点、近年の事例などを交えながら、企業が今押さえておくべきポイントをわかりやすく解説します。
<本セミナーのポイント>
- GoogleMapの口コミに関する最新の対応状況が知れる!
- Googleビジネスプロフィールの専門家と、弁護士からの見解を聞ける!
- 口コミのオペレーションを見直し、正しい運用方法を学べる!
詳しくはこちらをご覧ください。
→Google口コミ最新情報!店舗が直面するリスクといま抑えるべき対策を専門家が解説
【インバウンド情報まとめ 2025年5月前編】百貨店免税売上“急ブレーキ”の背景は? ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に5月前半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
※口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→百貨店免税売上“急ブレーキ”の背景は?/訪日客「旅行中に困ったことはなかった」半数超 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年5月前編】
今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」

スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。
「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!