飲食店「全面禁煙ちょっと待った!」訪日客「あまり気にしてない…」IOC&WHO「たばこの無いオリンピックを」東京五輪に向けて進む禁煙法案はどうなる?

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先日2017年1月12日、受動喫煙対策強化改正法案(禁煙強化案)に対して反対集会が開かれました。参加者は外食産業やホテル経営者ら500人で、受動喫煙対策強化改正法案(禁煙強化案)に盛り込まれた建物内の一律禁煙、違反のさいの罰金といった規制に対し、強く反発を見せています。

 

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受動喫煙対策強化改正法案(禁煙強化案)とは?

受動喫煙対策強化改正法案(禁煙強化案)は、3年後に控える東京オリンピックに向けて、受動喫煙を防止する目的の法案です。

昨年2016年10月に厚生労働省が発表した受動喫煙対策法案のたたき台では、

  • 官公庁、社会福祉施設といった公共の施設は「建物内の原則禁煙」
  • 公共の施設の中でも未成年や患者が利用する施設は「施設内の原則禁煙」
  • 飲食店やホテルと言ったサービス業も「建物内の原則禁煙」で、「喫煙室の設置は可能」とする
  • これらに義務を果たさない場合は罰金を適用する

といったように、これまでの「努力義務」とは違って明確な区分・罰金規定が盛り込まれたものとなっています。

1月20日の国会で受動喫煙対策強化改正法案(禁煙強化案)提出へ

塩崎恭久厚生労働大臣は、1月13日の会見で、1月20日からの通常国会に、受動喫煙対策強化改正法案を提出する方針であることを明らかにしました。

塩崎大臣は、2008年の北京オリンピック以降のオリンピック開催国において、罰則付きの受動喫煙防止の措置が行われていることについて言及。WHO(世界保健機関)とIOC国際オリンピック委員会)が「たばこの無いオリンピック」に向けて共同で推進していることを背景に、「スモークフリー社会」に向けた準備を勧めていく旨をコメントしました。

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国際的に遅れをとっていると言われる日本の禁煙、分煙対策。たとえば、EUではイタリア、アイルランド、英国、フランス、フィンランド、スウェーデンが実質的にすべての屋内の公共の場での喫煙を禁止していますが、日本ではそこまで積極的な取り組みが行われているわけではありません。訪日外国人観光客が数多くやってくる2020年の東京オリンピック、パラリンピックに向けた対応が進められており、今後、サービス業では「建物内原則禁煙」になる見込み。副流煙防止のため、喫煙席を設けた分煙方式は認めない方針です。このよう...

受動喫煙対策強化改正法案(禁煙強化案)の提出の発表を受け、外食産業などが反対集会を開催

全国生活衛生同業組合中央会・大森利夫理事長のコメント:ANNnewsCHより引用

全国生活衛生同業組合中央会・大森利夫理事長のコメント:ANNnewsCHより引用

そして、前述の塩崎大臣の会見を受け、先日1月12日に、外食産業などの5つの業界団体が緊急集会を開催。飲食店やホテルの経営者らおよそ500人が参加しました。

本集会は、厚生労働省の建物内原則全面禁煙、飲食店やホテルなどは「喫煙室」設置という一律禁煙については強く反発するものです。外食産業やホテル業界団体は、「客が禁煙や分煙を自由に選択できるようにすべきで一律規制すべきものではない」として反対しています。

飲食店の経営者は

飲食店(喫煙)の経営者「たばこを吸うこと前提で商売してますから。全面禁煙となるとお店がやっていけないかもわからない」
飲食店(分煙)の経営者「禁煙にした店舗が大幅に売り上げが落ちたと」―ライブドアニュース:東京五輪に向けて検討中の禁煙強化案 外食産業などが反対集会
とコメントしており、オリンピック開催やインバウンド需要における「おもてなし」対応が急がれているものの、外食産業やホテル業界との調整は難航しそうな様相です。

 

訪日外国人観光客へのアンケート調査から見るインバウンドとの関連

それでは、実際に訪日外国人観光客は日本の喫煙環境についてどのような印象を持っているのでしょうか。

インバウンドに喫煙ルールの厳重化はあまり影響ないかも?

週刊ホテルレストランが2015年に訪日外国人観光客482名を対象に行なった、日本の喫煙環境に関する訪日外国人観光客の意識調査によると、現状の喫煙ルールがリピーター獲得のボトルネックになっているわけではないことがわかります。

現喫煙ルールでの再訪日意向:hoteresweb.comより引用

現喫煙ルールでの再訪日意向:hoteresweb.comより引用

全体では、現状のルールのままでも「とても来たい」「やや来たい」とする声が全体の78.5%、「あまり来たくない」「全く来たくない」とする声は1.9%にとどまります。喫煙状況別で見てみると、喫煙者の「リピートしたくない」とする声は2.8%、非喫煙者は意外にも1.8%にとどまります。

ただし、分煙には賛成が集まる

同調査では、飲食店の分煙についての賛否もとっています。全体では「とても賛成」「やや賛成」とする声が52.6%、「あまり賛成でない」「全く賛成でない」とする声が22.0%で、賛成が過半数超えという結果に。

飲食店の分煙賛否度:hoteresweb.comより引用

飲食店の分煙賛否度:hoteresweb.comより引用

喫煙状況別で見ると、「分煙に賛成する」という回答は、喫煙者で60.6%、非喫煙者で50.0%と、むしろ喫煙者が賛成している格好に。また、「どちらとも言えない」とする声は、喫煙者が11.3%、非喫煙者が29.0%で、むしろ非喫煙者の訪日外国人観光客のほうが、日本の喫煙環境に関して「気にしていない」という結果となっています。

本調査の対象者を見てみると、全体482人に対し出身国は、多い順に中国:87人、アメリカ:78人、シンガポール:73人、オーストラリア:59人と、なっており、比較的喫煙ルールが厳格な方の国で過半数を超えています。また、喫煙状況の比率は、喫煙者:72人に対して非喫煙者402人となっており、これらから鑑みると少々意外な結果となっています。

 

まとめ:今後の受動喫煙対策強化改正法案(禁煙強化案)の動向に注目

2020年の東京オリンピックに向け、厚生労働省が喫煙環境対策について活発な動きを見せています。来週1月20日には受動喫煙対策強化改正法案(禁煙強化案)が国会に提出される見通しで、国内の飲食店やホテル業界は大きな影響を受けることが推測されます。

訪日外国人観光客へのアンケート調査によれば、禁煙化によるインバウンド需要の影響度はそれほど大きなインパクトはなさそうです。インバウンド対策も込みで、前もって禁煙対策を進めるかどうかは、現状の日本人顧客、そして訪日外国人顧客の来店データやヒアリングをもとに判断をすると良いでしょう。

<参考>

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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