観光庁の訪日外国人消費動向調査によると、2016年7月から9月の訪日外国人観光客における消費額は全体で9,717億円でした。
国籍別にインバウンド消費額を見てみると、中国が4,398億円と最も多く、全体の45.3%を占めます。次いで、訪日台湾人観光客が1,292億円と全体の13.3%を占め、2番目に多い額を記録しました。
699億円で全体の7.2%のインバウンド消費額を記録した4番目にランクインする訪日香港人外国人のインバウンド消費額を含めると、全体のインバウンド消費額の約65%が中国語圏の訪日外国人観光客からによるものであるということがわかります。
「爆買い」という言葉もあるように、中国語圏からの訪日外国人観光客は、インバウンド市場において大きなターゲットになっており、国内では中国語圏からの訪日外国人観光客を取り込む動きが加速しています。
日本最大級の飲食店口コミサイトである「ぐるなび」を運営する「株式会社ぐるなび」(以下、ぐるなび)は、中国語圏からの訪日外国人観光客をターゲットに新たな試みを始めます。
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【訪日ラボは、8月5日にインバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を開催します】
会場での開催に加え、一部講演ではオンライン配信(参加費無料)も実施!さらに、チケットを購入した方限定でアーカイブ配信も予定しています。
ご来場が難しい方や当日ご都合が合わない方も、この機会にぜひご参加ください。
ぐるなび 中国・台湾大手旅行会社Trip.comグループ・KKdayとレストラン事前予約で提携
ぐるなびは、中国最大手オンライン旅行会社Trip.comグループ(2019年10月にCtripから社名変更)の「Ctrip」(*)と台湾最大級のオンライン旅行会社「KKday」(*)とレストランの事前予約事業で提携を開始します。
今回の3社の提携により、質の高い日本食を提供する高級店・人気店の詳細なコース情報を言語を気にすることなく予約できるようになります。
このサービスは訪日外国人観光客が増加する花見シーズンに向けて、春先に開始する予定とのこと。今回の3社の提携、背景には一体なにがあるのでしょうか?
*Trip.comグループ:中国の上海市に本社を構える年間の訪日中国人観光客の約30%にあたる200万人が利用するオンライン旅行会社
*KKday:台湾の台北市に本社を構える年間の訪日台湾人観光客の25万人が利用するオンライン旅行会社
背景にはレストラン予約の増加と無断キャンセルが
今回のぐるなびによる試み、
- レストランのオンライン予約のインバウンド需要の増加
- 国内飲食店のノーショー(無断キャンセル)への懸念
この2つから紐解いていきます。
近年、スマートフォンの普及やネット環境の整備が進んでいることから、旅行プランそのものを個別手配する訪日外国人観光客が増えています。これは、「FIT(*)の増加」というトレンドにも繋がっています。
ぐるなびが中国の旅行関連事業者に行ったヒアリング調査によると、全体の82%が、中国人による日本のレストランの予約が増えていると回答しています。
以前のように旅行会社を通じて予約をしなくとも、個人でネットで簡単にレストランの予約ができることから、訪日外国人観光客のレストランにおけるオンライン予約のインバウンド需要が高まっていることが予測できます。
一方で、訪日外国人観光客を受け入れる飲食店では、訪日外国人観光客が予約当日に連絡もしくは来店しない「ノーショー(無断キャンセル)」に対する懸念があります。
ぐるなびが同サービスに加盟している飲食店に行ったヒアリング調査によると、全体の66%が、ノーショー(無断キャンセル)への懸念を理由に訪日外国人観光客の予約を受け入れることに抵抗感を感じているとのこと。
このような状況から、ぐるなびは、CtripやKKdayなど「事前決済」予約が可能な海外旅行関連サイトと提携することで、訪日外国人観光客を受け入れる飲食店にリスクのないサービスを提供していきます。
*FIT:団体旅行やパッケージツアーを利用することなく個人で行く海外旅行のこと
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まとめ:飲食店にとってローリスクな訪日客集客が実現か
ぐるなびは、中国最大手オンライン旅行サービス「Ctrip」と台湾最大級のオンライン旅行会社「KKday」とレストランの事前予約事業で提携を開始します。
背景には、
- レストランのオンライン予約のインバウンド需要の増加
- 国内飲食店のノーショー(無断キャンセル)への懸念
の2つがあると予測でき、今回のレストランの事前予約における提携で、ぐるなびは訪日外国人観光客を受け入れる加盟飲食店にリスクのないサービスを提供していきます。
これにより、日本国内の飲食店は、中国語圏からの訪日外国人観光客をローリスクで受け入れることが可能になります。
引き続き日本のインバウンド市場を牽引していくことが予測される中国語圏からの訪日外国人観光客。業界を問わずこれからもさまざまな取り組みが行われていくことが予測できます。
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<参照>
- 観光庁:平成28年7月~9月期 訪日外国人消費動向調査
- ぐるなび プレスリリース:訪日観光客のレストラン予約ニーズに応えると共に、飲食店の利便性を向上 中国最大手オンライン旅行会社Ctrip 台湾最大級オンライン旅行会社 KKdayとレストラン事前予約で提携
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。
<本セミナーのポイント>
- 変わりゆく市場の状況と、今後注目のトレンドを把握できる
- 旅マエの顧客行動を理解し、集客・予約率アップのヒントが得られる
- 旅ナカの接客品質を高め、顧客満足度向上に繋がる実践的な対応を学べる
- 各分野の専門家から、ビジネスを加速させる具体的な戦略や成功事例が聞ける
詳しくはこちらをご覧ください。
→宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
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