政府が講じた観光に関する政策、施策をもとに、地方自治体で様々なインバウンド対策を行っています。しかし、インバウンド対策には数々の落とし穴があり、これら全てが成功しているわけではありません。
特に人数の多い訪日中国人観光客には満足してもらいつつ、面倒なトラブル、失敗は避けたいところです。企業のインバウンド対策に役立つ事例をご紹介します。
【訪日ラボは、インバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を8月5日に開催します】
広域観光周遊ルートの形成・発信という政策
観光庁は、広域観光周遊ルートの形成・発信によって地方への誘客を図る政策を行っています。地方の航空のLCC等の新規就航、増便の促進、様々なメディアで地方の魅力の発信などを行う試みですが、訪日中国人観光客において注意すべきインバウンド対策があります。
宣伝に力を入れているのに見向きもしない訪日中国人観光客
大半の訪日中国人観光客はツアーで来日します。また、中国人の多くは来日の際、事前に買い物リストを作成していると言われています。
これは東京での事例ですが、ツアーのルート、その目的の観光スポット以外での買い物や観光がなく、せっかく作ったパンフレットや広告費用が無駄になったということがありました。つまり、ツアーでルート通りに地方への観光があったとしても、その地のメインになる観光スポット以外で消費しない可能性があります。
多言語対応の強化という政策
訪日外国人観光客のために標識、案内板などを多言語対応にしようという試みも行われています。これもは訪日外国人観光客の集客には欠かせない対策です。訪日中国人観光客に対しては簡体字での対応となりますが、こちらも注意しておくべき点があります。
日本らしさの喪失に幻滅 訪日中国人観光客が求めるのは「おもてなし」
こちらも大都市での事例になりますが、簡体字の広告、標識、飛び交う中国語、この風景に訪日中国人観光客はウンザリしていると言われています。日本らしさを求めてはるばる地方にまで来たのに、そこには中国と似通った風景になったというわけです。それでは地方の魅力が半減してしまうのではないでしょうか。
日本の生活習慣、マナーに関する情報発信という政策
訪日外国人観光客に日本の生活習慣、マナーを理解してもらい快適に旅行を楽しんでもらうための政策も行われています。これは訪日中国人観光客に対して特に適切に行うべき政策です。
国は近くとも中国人と日本人の生活習慣、マナーには大きな差があります。また、観光客は訪日中国人観光客だけではありません。他の訪日外国人観光客とのトラブルを避けるためにもよく理解する必要があります。
訪日中国人観光客をよく理解する必要性
こちらが一方的に決まりを押し付けるのではなく、こちらもまた中国人を理解する必要があります。
某レストランはマナーの悪い訪日中国人観光客の団体席を仕切りで囲い、個室のように演出する配慮をしました。この対応は団体の訪日中国人観光客客も満足してくれたそうです。訪日中国人観光客の特性をよく理解していれば、このように機転と寛容さ、また更なる「おもてなし」の方法も容易に考えつくのではないでしょうか。
まとめ:訪日中国人観光客は野蛮人ではない
訪日中国人観光客はトラブルが多く、あまりイメージがよくありません。ですが、日本ののインバウンド対策次第では日本経済、地方活性化の救世主となるかもしれない存在です。そのためにも訪日中国人観光客を理解することが不可欠です。
政府が講じた政策、施策は、そのまま地方自治体でもほぼ施策可能であり、いくつかの対策は一企業でも不可能ではありません。しかし、それに伴うリスク回避のためには、より深い考察と中国人への理解、そして「おもてなし」の心が重要になってくるのではないでしょうか。
訪日中国人観光客インバウンドデータ集
データでわかる訪日中国人観光客
爆買いという流行も後押しし、2015年の中国人訪日外客数は前年の約2倍となる499万人となりました。また、2015年の訪日中国人によるインバウンド消費額は約23万円で前年比10%増程度ですが、訪日外客数増加の後押しをうけ、訪日中国人全体のインバウンド消費額はなんと5,583億円。
訪日中国人観光客の特徴
'爆買い'という流行語が現れるほどに存在感を放っている訪日中国人観光客。日本国内でも大きな注目が集まっており、彼らに関するニュースやコラムを目にする機会は少なくありません。
訪日中国人観光客が中国国内でよく見る人気のWEBサイト一覧・解説
中国はご存じのとおり、facebookやtwitterが閲覧できないほど非常に厳しいネット規制があります。中国国外のWEBサイトの検閲規制がかかっていたり、サーバードメインも現地法人がないと取得できなかったりと、様々な壁が存在します。
訪日中国人観光客が愛用するスマホSNSアプリ事情(1):WeChat(微信)
訪日中国人観光客の増加に伴い、インターネットを活用したインバウンドマーケティングへの関心が高まっています。しかし、中国のネット事情は日本とは大きく異なります。
訪日中国人観光客が愛用するスマホSNSアプリ事情(2):テンセントQQ
訪日中国人観光客が必携としているコミュニケーションツールをWeChat(微信)のほかにひとつだけ挙げるとしたら、それはテンセントQQ( 騰訊QQ、Tencent QQ; 以下、QQと略)だといえるでしょう。
訪日中国人観光客が愛用するスマホSNSアプリ事情(3):Weibo(微博)
訪日中国人観光客が常用するアプリとしてWeChat(微信)とQQを取り上げましたが、Weibo(微博)も忘れてはなりません。「微博」は中国語で“ウェイボー"と読み、ミニブログ、マイクロブログという意味です。
訪中国人観光客が愛用するスマホSNSアプリ事情(4):人人網(レンレンワン)
訪日中国人観光客が常用するサービスとして、WeChat(微信)、QQ、Weibo(微博)をご紹介してきました。いずれもTwitter(ツイッター)、Facebook(フェイスブック)の良い所どりをしながら機能の充実を図ってきており、若干の不確定要素をはらみながらも、中国の3大SNSとして大きな存在感を誇示しています
訪日中国人観光客が愛用するスマホSNSアプリ事情(番外編1):ネット規制のアプリへの影響&ニュースアプリ篇
昨年(2015年)以来、中国経済を語るうえで重要なキーワードとなっているものに「互聯網(フーリエンワン)+」(インターネットプラス)があります。これは中国国務院(日本の内閣に相当)総理の李克強氏が唱えたコンセプトです。
訪日中国人観光客が愛用するスマホSNSアプリ事情(番外編2):ネットラジオ篇
「読みたい記事」が自在にカスタマイズできる「今日頭条(ジンジートウティアオ)」がニュースアプリの定番となる一方、「聞きたい番組」を自由自在に取捨選択できるネットラジオアプリも人気を集めています。
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。
<本セミナーのポイント>
- 変わりゆく市場の状況と、今後注目のトレンドを把握できる
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詳しくはこちらをご覧ください。
→宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
→「THE INBOUND DAY 2025」特設ページを見てみる
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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詳しくはこちらをご覧ください。
→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
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