インバウンドの玄関口となる空港。海外に行ったことがある方なら、都心部から空港までの移動時間が非常にかかった、という経験があるのではないでしょうか。それもそのはずで、日本の主要玄関口である成田空港―東京間、そして関西国際空港―大阪間の移動には、およそ1時間以上かかります。
対して、インバウンドの主要顧客であるアジアの国の主要空港―都市部間の移動所要時間は、平均して30分程度となっています。とすれば、アジア圏の訪日外国人観光客は、自国と比較して非常に長い移動時間をヒマと感じているかもしれず、ここにインバウンドプロモーションのチャンスがあるかもしれません。
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インバウンド玄関口 成田・関空は「陸の孤島」
日本のインバウンド玄関口となっている、成田空港、関西国際空港の2大空港の都市部への所要時間が以下の通り。
空港名 | 行き先 | 所要時間 |
---|---|---|
成田空港 | 東京駅 | 54分〜1時間半強 |
関西国際空港 | 大阪駅or新大阪駅 | 50分〜1時間強 |
成田空港から東京へのアクセス方法は京成電鉄のスカイライナー、JRの成田エクスプレス、そして通常列車やバスの主に4経路があります。スカイライナーの場合、成田空港ー日暮里間がおよそ40分で、東京駅への山手線のアクセスを足すと1時間程度。成田エクスプレスの東京駅直行で54分、そしてJRや京成を利用した特急料金のかからないルートや高速バスを利用すると1時間半強かかります。
関西国際空港から大阪へのアクセス方法は、最も早いのがバスで50分、大阪からJRの関空快速で65分、新大阪からJR特急はるかを活用すれば50分程度となり、やはり成田空港と同様1時間程度かかります。
インバウンド主要顧客であるアジア圏の国際空港―都市部間の移動時間は30分程度
一方、インバウンド市場での主要顧客であるアジア圏では、主要国際空港と都市部の移動時間はどれくらいなのでしょうか。
国名 | 空港名 | 行き先 | 所要時間 |
---|---|---|---|
中国 | 北京首都国際空港 | 東直門駅 | 35分 |
台湾 | 桃園国際空港 | 台北駅 | 35分 |
香港 | 香港国際空港 | 中環駅 | 25分 |
韓国 | 仁川国際空港 | ソウル駅 | 45分 |
タイ | スワンナプーム国際空港 | マッカサン駅 | 15分 |
中国最大の国際空港である北京首都国際空港の場合は、北京都市部の北東に位置する東直門駅まで、直通のエアポートエクスプレスでおよそ35分程度で移動することができます。台湾の桃園国際空港は台北駅までは、2017年3月に開業したMRT国際線を利用すると、直通車で約35分、普通車でも45分で移動できます。香港の香港国際空港から首都・中環の中環駅まではエアポートエクスプレス(AEL)で24分で移動できます。
韓国の仁川国際空港からソウル駅までは空港鉄道 A’REXをつかって43分、タイに至っては、スワンナプーム国際空港からバンコク都市部(マッカサン駅)まで15分で移動することができ、以下に日本の空港が「陸の孤島」であるかがわかり、また各国の訪日外国人観光客が自国と比較して「長い・遠い」と不満に感じている可能性があるといえるでしょう。
暇なだけの移動時間こそが旅ナカインバウンドプロモーションのチャンスかも?
しかしながら、この「長く・遠い」移動は、必ずしもデメリットばかりとは言えません。
2016年の成田空港から入国した訪日外国人観光客数はおよそ682万人です。訪日ラボでもご紹介したRESASの外国人移動相関分析によれば、2015年1-6月期の千葉県から東京都に移動した訪日外国人観光客の割合は89%ですので、推定で607万人の訪日外国人観光客が1時間かけて東京に移動している事になります。
とすれば、2016年の成田―東京間の間で訪日外国人観光客が移動した、謂わば述べ移動時間は607時間となり、これだけの時間、訪日外国人観光客は”暇な時間”を過ごしているとも言えます。
空港名 | 2016年訪日客入国者数 | 東京・大阪都心部への移動者数 | 平均移動所要時間 | 訪日客述べ移動時間 |
---|---|---|---|---|
成田空港 | 約682万人 | 約607万人 | 1時間 | 607万時間 |
関西国際空港 | 約609万人 | 約609万人 | 1時間 | 609万時間 |
関西国際空港の場合、大阪府内の移動ですので、ほぼ100%が大阪都市部まで移動するであろうこととから、関西国際空港の入国者数609万人=609時間が浪費されいていることになります。
まとめ:空港から都市部への移動時間の長さは「旅ナカ」インバウンドプロモーションの最適なタイミングかもしれない
日本のインバウンド玄関口となっている成田空港・関西国際空港という2大空港は、都市部から離れた「陸の孤島」状態となっており、アジア圏のなかでも随一の移動時間となってしまっています。
しかしながら、これはデメリットばかりとは言えず、発想を変えれば、この時間を「旅ナカ」のインバウンドプロモーションに活用できるでしょう。WEBやアプリ、空港などに配置したフリーペーパーなどを活用することで、訪日外国人観光客の「暇な時間」の解消と、効率的なプロモーションをすることができる、この移動時間はそんな良いタイミングかもしれません。
<参照>
- 法務省:出入国管理統計統計表
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