その経済効果5,905億!2015年のMICE(国際会議)開催による経済効果を観光庁が調査

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観光庁は今年4月にMICE(国際会議)の経済波及効果に関する調査結果「平成 28 年度 MICE の経済波及効果及び市場調査事業」を発表しました。

MICEとは、企業等の会議(Meeting)、企業等の行う報奨・研修旅行(インセンティブ旅行)(Incentive Travel)、国際機関・団体、学会等が行う国際会議(Convention)、展示会・見本市、イベント(Exhibition/Event)の頭文字のことであり、多くの集客交流が見込まれるビジネスイベントなどの総称として定義されているものです。

MICEの定義:観光庁より

MICEの定義:観光庁より

日本においては、一部の簡易推計を除けば、国全体で開催されるMICEの経済波及効果は算出されていないのが実情でした。MICE産業が国全体に及ぼす経済波及効果についての調査が行われ、その効果が産出されたのは、今回が初めての事となります。

観光庁は、国がMICE産業が国全体に及ぼす経済波及効果を示すことで、MICE開催の意義をわかりやすく内外に発信、MICE開催についての支持を国内外の幅広い層から得られると期待しています。

結論から言えば、分析の結果、2015年に国内で開催された国際会議(MICE)全体の経済波及効果は約5,905億円で、うち、直接効果は約2,655億円、間接効果は約3,250億円という推計結果になりました。今回は、観光庁MICEの経済波及効果及び市場調査について詳しく見ていきます。

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国内外の国際会議の開催状況

地域別国際会議の開催件数(件):観光庁より

地域別国際会議の開催件数(件)

地域別国際会議参加人数(千人):観光庁より

地域別国際会議参加人数(千人):観光庁より

各国の国際会議の開催件数を見ると2006年から2015年にかけて、開催件数は約1.4倍、参加人数も同様に約1.3倍の伸び を見せています。

分野別開催件数(2015年):観光庁より

分野別開催件数(2015年):観光庁より

開催分野に関しては2015年の内訳では医学分野が最も多く2500件超。技術、自然科学がそれぞれ2200件超、2000件超 となっています。

日本の各都市におけるアジア・中東・オセアニアにおける順位と国際会議開催件数:観光庁より

日本の各都市におけるアジア・中東・オセアニアにおける順位と国際会議開催件数:観光庁より

日本における国際会議の開催件数は、国レベルではアジア・中東・オセアニア地域において1位 となりますが、都市レベルで見ると東京の8位が最高 となっています。

ただ、アジア・中東・オセアニア地域の開催件数上位100都市のうち15都市が日本の都市となっており、国際会議を開催する都市が分散していることが日本の特徴 として挙げられます。

テーマ別開催件数:観光庁より

テーマ別開催件数:観光庁より

日本における開催分野としては技術、自然科学、医学がトップ3 となっており、この3つの分野以外の分野の国際会議は4位の産業以外は大きく差が無い ことがわかります。

国際会議開催における経済波及効果

我が国における国際会議開催による経済波及効果とその内訳(JNTO 基準):観光庁より

我が国における国際会議開催による経済波及効果とその内訳(JNTO 基準):観光庁より

日本における国際会議(MICE)開催における経済波及効果は、合計で5905億円と推定 され、直接効果が2655億円、間接効果が3250億円と推定 されています。そのうち三大都市圏における経済波及効果は3722億円、三大都市圏以外では2183億円と推定 されています。

外国人参加者による経済波及効果とその内訳(JNTO 基準):観光庁より

外国人参加者による経済波及効果とその内訳(JNTO 基準):観光庁より

外国人参加者の経済波及効果のみを抜き出すと、全体で約623億円という推計結果 となり、「医療系かつ三大都市圏開催の国際会議」の経済波及効果は約117億円、「医療系かつ三大都市圏外開催の国際会議」は約37億円であり、医療系の国際会議経済波及効果は約154億円となっています。

国際会議開催による雇用誘発数

我が国における国際会議開催による雇用誘発数(JNTO 基準):観光庁より

我が国における国際会議開催による雇用誘発数(JNTO 基準):観光庁より

国際会議の開催により生じる雇用効果は約54,000人分という推計結果 であり、「医療系かつ三大都市圏開催の国際会議」の雇用効果は約13,000人分、「医療系かつ三大都市圏外開催の国際会議」は約7,000人分、「医療系以外かつ三大都市圏開催の国際会議」は約20,000人分、「医療系以外かつ三大都市圏外開催の国際会議」は約13,000人分と推定されています。

国際会議の総消費額

 国際会議の総消費額(JNTO 基準):観光庁より

国際会議の総消費額(JNTO 基準):観光庁より

主体別の総消費額と構成比(JNTO 基準):観光庁より

主体別の総消費額と構成比(JNTO 基準):観光庁より

各主体の総消費額の合計額は3299億円となり、このうち日本人参加者の総消費 は約880億円(約27%)、外国人参加者の総消費額は約462億円(約14%)、主催者の総支出額は約1,285億円(約39%)、出展者の総支出額は約 673 億円(約20%)となっています。

参加者(日本人)の総消費額と構成比(JNTO 基準):観光庁より

参加者(日本人)の総消費額と構成比(JNTO 基準):観光庁より

日本人参加者の総消費額約880億円のうち、「医療系かつ三大都市圏開催の国際会議」の総消費額は約309億円、「医療系かつ三大都市圏外開催の国際会議」は約167億円、「医療系以外かつ三大都市圏開催の国際会議」は約177億円、「医療系以外かつ三大都市圏外開催の国際会議」は約228億円となっています。

参加者(外国人)の総消費額と構成比(JNTO 基準):観光庁より

参加者(外国人)の総消費額と構成比(JNTO 基準):観光庁より

外国人参加者の総消費額約462億円 のうち、「医療系かつ三大都市圏開催の国際会議」の総消費額は約87億円、「医療系かつ三大都市圏外開催の国際会議」は約28億円、「医療系以外かつ三大都市圏開催の国際会議」は約261億円、「医療系以外かつ三大都市圏外開催の国際会議」は約86億円となりました。

参加者の消費額構成

日本人参加者の消費額構成(JNTO 基準・分類別)

日本人参加者の消費額構成(JNTO 基準・分類別)

分類別の消費額の内訳を分析すると、三大都市圏開催の国際会議と三大都市圏外開催の国際会議の日本人参加者1人あたりの消費額の違いに影響を与えている要因として、「開催地都道府県までの交通費」の存在が大きい ようです。また、医療系以外の国際会議については、宿泊費も大きく異なっているのが特徴です。

開催地都道府県までの交通費及び宿泊費の消費額の違いの背景には、三大都市圏へのアクセスの良さがあると考えられ、三大都市圏へのアクセス手段は非常に多く、多様なサービスが提供されるのに対して、地方都市へのアクセスは限られているます。また、移動距離が長くなる分、交通費が高くなる傾向にあります。

そのために三大都市圏外の国際会議の参加費用に占める「開催地都道府県までの交通費」が高くなると考えられます。宿泊費も同様に、三大都市圏開催の国際会議のアクセスの良さから日帰りで国際会議に参加する参加者が多くいるために、消費金額に差が生じると考えられます。

外国人参加者の消費額構成(JNTO 基準・分類別)

外国人参加者の消費額構成(JNTO 基準・分類別)

外国人参加者の消費傾向は、日本人参加者と対象的に、三大都市圏で開催される国際会議への参加者の方が1人あたり消費額は高くなる傾向 が見られます。宿泊費以外の費目では、開催地都道府県までの交通費も同様に、三大都市圏で開催される国際会議の方において消費額が高くなる傾向が見られました。

外国人参加者の消費額におけるこのような特徴の背景としては、立地によって宿泊日数に違いがあることが原因 と考えられます。滞在日数が長くなると飲食回数も増えるため、宿泊費の高い三大都市圏開催の国際会議参加者の飲食費が多くなっていることにもつながっていると推測されます。

また、開催地都道府県までの交通費については、三大都市圏開催の国際会議への参加者の消費額の方が、三大都市圏外の国際会議参加者よりも高いという結果となりましたが、この背景には主催者あるいは出展者・スポンサー等が、三大都市圏外開催の場合には、交通費を補助している可能性、路線による航空券の料金設定等がある と考えられます。

まとめ

こうして見ていくと、国際会議を開催することによる経済波及効果、雇用誘発効果は想像以上に大きいと言えるのではないでしょうか。

自治体、DMOがこうした国際会議を開催、誘致する際に、こうした形で国がその経済波及効果を示すことにより、国内でのさらなる国際会議開催の推進、開催についての指示を取り付けるのに役立つと言えるのではないでしょうか。

<参考>

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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