富士山で多発する訪日客トラブル、 静岡県は外国人登山者を対象にした啓発グッズを拡充

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富士箱根伊豆国立公園の富士山には外国人登山者が多く訪れていますが、観光庁等による訪日外国人観光客増の取り組み、東京オリンピックなどに向けて、さらに富士山を登山する訪日外国人観光客数が増えるものと予想されています。しかし、その 外国人登山客のマナーなどについては度々改善の必要性が指摘されており、 静岡県は7月10日に静岡県側の3登山道(富士宮、須走、御殿場口)が開通したことなどを受けて、外国人登山者を対象にした啓発グッズを充実させています。

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平成27年に日本交通公社が登山者を対象に行ったアンケート調査では、各種の認識の違いが明らかに

外国人登山者のトラブル等が発生していることから、日本交通公社は富士山五合目以上の登山者を対象としたヒアリング調査を平成27年に実施しています。これは外国人登山者の属性、意識、意向等を把握することにより、富士山の外国人登山者に対する情報提供のあり方や外国人登山者の満足度向上を図るものです。調査は富士山を訪問する外国人登山者の属性や意向等を把握するため、登山者に対する対面式アンケートという形で行われています。

このアンケート調査の結果によると外国人登山客が理解していない、もしくは認識が浅い項目が多数あったということが伺えます。その中でも代表的なものとしては下記のような項目で認識が異なるようです。

  • 「トイレ使用は協力金とは別にチップが必要である」(理解度:60%)
  • 「山小屋は事前予約が必要である」(理解度:58%)
  • 「休息をせず夜通し登る登山(理解度:弾丸登山)の自粛が求められている」(理解度:41%)
  • 「富士山保全協力金(理解度:1000 円)が任意で求められる」(理解度:40%)
  • 「植物採取が禁止されている」(理解度:59%)
  • 「溶岩採取が禁止されている」(理解度:52%)

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外国人登山者の送客や受入に関わる事業者、関係機関を対象にしたヒアリング調査の結果によると、全体の64%が外国人対応でトラブルがあったと回答

外国人登山者の送客や受入に関わる事業者、関係機関を対象にしたヒアリング調査によると、全体の63.6%が外国人対応でトラブルがあったと回答。 この中で 「マナーが悪かった」という回答が61.4%と最も多く次いで「外国語が理解出来なかった」が56.8%と続いています。 富士山の事業者の多くが外国人登山客の受け入れに関してトラブルを抱えており、中でもマナーの悪さに関して頭を痛めていることが伺えます。また、マナーの悪さ以外にも下記のような問題が多数発生しているようです。

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【ごみ問題】

  • 寝床に大量のゴミを残していった。
  • 「山小屋」に関する常識の違いがあることを考える必要がある。
  • トイレにゴミを置いていってしまう。
  • ゴミ箱がないということが外国人には受け入れられていないと感じている。

【装備】

  • 軽装での登山。富士山登山について準備情報の不足。
  • 外国人登山者の認識の甘さに対し、世界遺産で標高が日本一にも関わらず、富士山は誰でも簡単に登れるという宣伝の流布がされている。

【マナー】

  • 夜、消灯後に会話があり日本人客からクレームがあった。
  • すべての外国語に24時間対応出来ないため、トラブル用の会話帳が必要。最低 10 カ国。

【トイレ】

  • トイレ利用で利用料を出す事に不快感を示す。
  • トイレ利用料を出すという表示が金額表示だけでは不十分だった。

【道迷い】

  • 富士吉田から登り、下山を8合目でまちがえて須走口に下山してしまう外国人が大変多く、英語だけではないので対応にも困っている。道案内で下山させても必要経費を請求できない。

【外国語対応】

  • 外国語対応のできるスタッフがいない時、要求が理解できずトラブルになることがある。
  • アルバイトスタッフの確保が難しい状況下で、外国語対応可能な人材を募集するのは難しい。
  • 外国人傷病者を麓の病院で診てもらおうと受診手続きの電話をしたが、受け入れてもらえなかった。理由は、言葉を話せる者がいないことだった。

こうした問題を受けて、静岡県は6か国語対応の富士登山者向けマナーガイドブック「富士山へ登る人のために」新版を作成

静岡県が作成した富士登山者向けマナーガイドブック「富士山へ登る人のために」新版は、富士登山のマナー、注意点、トイレ使用時にチップが必要なこと、トイレにゴミを放置しない、富士山保全協力金の支払いに関する案内、各ルートの紹介などが掲載されています。山小屋や保全協力金(入山料)の受付場所に設置したり、外国人団体などを通して配布・掲示します。

言語は6言語(日本語・英語版、中国語(簡体字)版、中国語(繁体字)版、韓国語版、ポルトガル語版)で作成されており、幅広い外国人登山客に読んでもらえるようになっています。合わせてトイレのマナーシート、マナーを一覧にした手拭いなども作成しています。

まとめ:訪日外国人観光客の増加に伴うしっかりとした対応が必要

富士山に関わる事業者も外国語での案内を行うなどの対応をしていますが、各事業者だけでの対応には限界があります。「富士山における外国人登山者動向把握調査業務」報告書でも触れられていますが、オフィシャルサイトがあるものの、対応している言語が英語だけであり外国人にはそもそもあまり認知されていない という問題があるようです。

近年増加している中国人、台湾人登山客にも理解出来るように、サイトも中国語(簡体字)、中国語(繁体字)に対応する、マナーの問題、ゴミの問題、トイレの使用方法や富士山保全協力金の支払いなどに関しては、特に外国人に伝えることを目的にfacbookページを運用する、外国人観光客には一般的になりつつあるInstagramで情報発信を行うなどの工夫が求められていると言えるでしょう。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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