こんにちは。Vpon Japanの木ノ内です。前回、モバイルデータから見る中華圏訪日客の特徴についてご紹介致しました。
インバウンドに関連するデータは様々な企業/自治体がリサーチ・調査等で収集しており、レポート等で紹介されておりますが、効果的に広告プロモーションで活用しているという事例は現状多くないと認識しております。今回はその ”データ”を活用したプロモーション手法について、 American Express社の事例を交えながら、ご紹介させていただきます。
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American Express社の中国向けプロモーション事例【前提】
広告プロモーションの目的
中国でのAmerican Expressの認知を高め、海外旅行時の利用を促進したい
プロモーションの背景
中国人はクレジットカードで年間55兆元(8.4兆USD)以上の決済を行っており 、2020年までに世界最大のカード決済市場になることが見込まれております。クレジットカードは中国国内のみならず、越境ECや海外旅行中の買い物にも幅広く使用されており、そこに目をつけたAmerican Express社はクレジットカードの海外利用時の利点を中国人旅行客に的確に伝え、利用を促進したいというニーズがありました。
旅行行程毎の施策を設計
海外での利用を促進するに当たり、旅マエ、旅ナカ、旅アトすべての行程で戦略を立て 、ターゲットを明確にし、効果的にプロモーションを行いました。当たり前な様に思えますが、意外と”行程毎”に切り分けて戦略を立ててプロモーション出来ているケースは多くないのが現状です。
American Express社の中国向けプロモーション事例【実施策例】
American Express社では図の様に行程毎にターゲットを選定し、”データ”を活用し各施策を実施しました。どんなデータを活用し、プロモーションを行ったのか、具体的に見ていきましょう。
旅マエ編:パスポート保有者
中国人のうち、まだ10%程度しかいないパスポート所有者をターゲットに絞り 、ホテルの割引などを活用し、旅行を促進するプロモーションを実施しました。海外での利用促進のため、パスポートを保有していない方に本プロモーションを告知しても海外利用は物理的に不可能なため、パスポート保有者に絞り込み、無駄なくプロモーションを実施しました。
- 【活用データ】
- パスポート保有者を絞り込む渡航データ(位置情報)
旅ナカ編:旅行者
旅ナカは当然、旅行者と思われるユーザーに絞り込みプロモーションを実施 いたしました。位置情報と端末/閲覧サイト/アプリの言語情報等を加味し、旅行者の可能性の高いユーザーを絞り込んでキャンペーンを告知したり、旅マエで広告に接触したユーザーに対して旅ナカでも改めてキャンペーンを提示しました。
旅ナカのプロモーションでは、地元商店やデパート割引にてAmerican Expressを活用するメリット(割引)を提示し、旅行者をオンラインから実店舗へ誘導し、実際のカード利用を促進しました。旅ナカのプロモーションは比較的オフライン媒体の活用が一般的かと思いますが、旅行者が常に持ち歩いているスマートフォンに対し位置情報を基に配信するプロモーションも非常に効果的と言えます。
- 【活用データ】
- 位置情報 / 端末の言語情報 / 閲覧サイト/アプリ言語情報 / 旅マエ接触データ
実際旅ナカでのモバイル広告はかなり細かい範囲で配信エリアを指定出来るため、東京の新宿区にいる中国人に配信をしたり、大阪の北区にいる韓国人に配信したりと商圏に応じた要望にも応えられるようになっております。
旅アト:旅マエ/旅アトでキャンペーンに関心を示したユーザー
旅マエと旅アトのキャンペーンにて American Expressの商品/キャンペーンに関心を示したユーザーを特定し、帰国後も継続的なコミュニケーションを図り、ブランドロイヤリティーの向上に貢献 しました。
プロモーションとして一番見落としがちで難しいと考えられる旅アト向けのプロモーションですが、リピーターの多い中華圏の方々に向けては非常に有効且つ効率的な手法だと思いますので、旅マエ、旅ナカのキャンペーンで得たデータの活用は今後必須になってくると思います。
- 【活用データ】
- 旅マエ/旅アトのキャンペーンデータ
American Express社はこのような利用方法でしたが、旅アト配信は明確に特定エリアに来たことがあるユーザーへの配信となるため、様々な用途で活用する事が出来ます。例えば東京都に1年以内に訪れた台湾人に他の道府県が訴求をしたり、直近半年以内に韓国を旅行した中国人に対し、日本旅行はいかがですかという訴求をしたりと様々な使い方が出来ます。
American Express社の中国向けプロモーション事例【キャンペーンの結果】
本キャンペーンの結果として上記のような結果を出すことができ、データ活用の有効性を感じていただく事が出来たかと思います。
本件はあくまで一例となり、このように数値化が難しい施策も多くありますが、今後の訪日外国人向けプロモーションを考える上で広告の効果効率を上げる、データ活用はますます重要になってくるかと思いますので、今後もこういったデータをプロモーションに活用した事例をご紹介出来ればと考えております。
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