訪日客の3割が保険未加入 日本人の緊急医療にも支障をきたす異常事態:訪日外国人観光客の医療問題とは?

公開日:2017年11月10日

ありがたいことに、日本に旅行に訪れる外国人数はうなぎのぼりです。それにつれて、各種のトラブルもニュースに取り上げられるようになりました。

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アメ横で倒れた訪日タイ人観光客

2017年1月には、タイからの訪日外国人観光客が上野のアメ横で倒れ、緊急搬送。一命を取り留めたという一件がありました。ニュースになりましたので、ご記憶の方も多いでしょう。該当の旅行客は若いタイ人女性でしたが、彼女は 旅行保険に未加入で医療費の問題に直面しました。

普段、日本で暮らしていますと健康保険の制度のありがたさには無頓着ですが、健康保険なしでの日本の医療費はかなり高額となります。タイ人女性は、保険未加入ですから、当然この高額の医療費が請求されました。幸いにも、在日本タイ大使館が、足りない分の彼女の医療費を建て替えてくれました。ですが、莫大な額の借金がひとりの若いタイ人女性の人生を狂わせる可能性がでてきたわけです。

旅行保険に入らない訪日外国人

もちろん、「ちょっと短期間、旅行に行くくらいだから旅行保険に加入せずとも大丈夫だろう」という訪日外国人観光客の甘い考え方が一番の問題ではあるのは事実です。一方で、受け入れ先の日本のインバウンドを取り扱う旅行業関係者の知識、また日本の医療機関の受け入れ態勢にも問題がある ことも一つの事実でしょう。

3割の訪日外国人は、旅行保険に入らない

旅行保険に入らずに日本旅行をしている訪日外国人は、およそ 3割 にのぼるというデータがあります。不幸にも病気や怪我のため病院にかかっても、医療費が払えないケースもあります。前述のタイ人女性の場合は、大使館が医療費を建て替えてくれたのでよかったのですが、医療費が払えずに、そのまま自主的に退院し帰国してしまうケースもあり、医療機関が医療費の回収ができないという問題 が起こっています。

新たな観光公害 訪日客の「医療費未払い問題」…解決策はあるのか?

訪日外国人観光客が増加することは、日本の観光立国において、また2020年の東京オリンピックに向けて取り組んでいかねばらなないことです。しかしながら、訪日外国人観光客が増える事で発生するリスク、問題もないわけではありません。このような観光によって発生するリスク・問題を 「観光公害」 と呼びますが、今回はそんな中から少々変わり種の、訪日外国人観光客が日本で病院を受診した際の医療費の未払いに 関する問題をご紹介します。目次訪日外国人観光客が、医療費を未払いのまま帰国してしまう「医療費の未払い問題...

日本独自の医療の会計にも問題あり 

訪日外国人の医療の問題について研究している、国際医療福祉大学大学院の岡村世里奈准教授にお話を伺いました。旅行保険に未加入で日本に旅行にくることも問題ではありますが、受け入れ側となる日本の医療機関にも問題がある そうです。

まずは、これまでは日本在住の外国人の対応はしたことはあるものの、訪日外国人観光客の受け入れには慣れていないという点が問題 です。最も問題となるのが、会計のシステム です。

日本の医療機関は、治療が終わった後に総額を提示されて支払をします。ところが、世界的に見てこれは一般的ではありません。この治療に対してはいくら、という所謂「お品書き」を提示され、自分に必要な治療をしてもらうというのが一般的 です。ところが日本の医療機関には「お品書き」はなく、患者に施すベストな治療が思わぬ高額料金となり、トラブルを引き起こします。こんなに高額になるならば、自分は治療を望まなかった、というわけです。

有名ガイドブックには、「大学病院に行け」と書かれています

町のクリニックの医師には、海外の業者の旅行保険に慣れていない、また日本語が通じないという理由から、訪日外国人の受け入れを拒む 方がいらっしゃるそうです。何かあった場合、面倒を引き受けたくないという心理からのようですが、これも問題です。

アメリカで出版されている有名なガイドブックの日本版には、町のクリニックは訪日外国人観光客を受け入れないから、大学病院に行け、と書かれています。確かに、大学病院ではしっかり対応はしてもらえますが、訪日外国人の患者が押し寄せるため、日本人の緊急医療に支障がでてきています。

町のクリニックや薬局でも、対応可能では?

データがないので、正確な割合はわからないのですが、大学病院に押し寄せる訪日外国人の患者のほとんどが軽症 だといわれています。ほとんどが、町のクリニックで治療可能、また薬局で処方箋なしで購入可能なごく一般的な常備薬で対応可能です。ですが、町のクリニックの医師には対応を断る方もおられますし、ごく一般的な風邪薬や胃薬の注意書きは日本語のみです。ここに問題があるといえましょう。

旅行保険のガリバー、損害保険ジャパン日本興亜株式会社の試み

保険会社大手、損害保険ジャパン日本興亜は、個人客にも対応する訪日外国人向けの旅行保険を発売しています。日本滞在中の病気やケガによる治療費を補償するシンプルなインターネット加入専用保険です。損害保険ジャパン日本興亜が間に入るのですから、町のクリニックで訪日外国人の患者が拒否される事例も少なくなることが期待され画期的です。

この保険は日本入国後に加入してもらうもので、プロモーションのためにつくられた動画は、洗練されており、マーケティングとコミュニケーションの国際的コンテスト「23rd Communicator Awards(コミュニケイター・アワード)」で、金賞を受賞しています。ですが、それほど認知されているとはいえない状況です。

プロモーション動画

インバウンド向け旅行保険の認知が進まない理由は、インバウンド旅行業者の保険の知識不足?

アウトバウンドでは、企画旅行を販売する折には、海外旅行保険の加入の有無を顧客に訪ね、未加入の場合は保険加入をお勧めするのは常識です。ところが、インバウンドについては、旅行以外の業界からの転身者も多いため、保険の知識に乏しく、保険募集人の資格を持っているスタッフが少ない という実情があります。これでは、せっかく保険会社がよい商品を用意しても的確に案内することができません。

まとめ:旅行業界全体で「インバウンド×医療×保険」の問題解決を!

旅行保険の重要さを訪日外国人にアピールする必要があります。それには、インバウンドを取り扱う旅行会社にも、保険の知識を持つ人材がいなくてはならないでしょう。ことばの問題、医療費の問題の解決は必須です。旅行業界全体で、この問題を考え、増え続ける訪日外国人に安全で快適な日本を満喫していただきましょう。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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