自動翻訳の精度が向上していることは別の記事でも紹介しましたが、それと同時に人が翻訳するのを支援する翻訳支援ツールも日々進歩しています。今回はあまり表に出てこない 翻訳支援ツール をご紹介します。
訪日ラボのメールマガジン登録はこちら>(無料)翻訳支援ツールとは?
人が翻訳を行う場合、ゼロから対訳を作り上げるのですが、過去の用語や対訳を機械に覚えさせることで効率と品質の向上を図ったり、スペルチェックや用語統一を行ったりするためにツールを使います。このような、翻訳を支援するツールは CAT(Computer Assisted Translation)ツール と総称されています。
翻訳者がCATツール使う一番の利点は、効率化ができる という点にあります。単価が同じ翻訳案件の場合、翻訳者はなるべく効率化を図る必要があります(翻訳する文字数が同じ場合、効率化を行えば行うほど時給単価が単純に上がるからです)。
例えば、機械に頻出用語を覚えさせることで、途中まで「車」という単語を”automobile”と訳していたのに、急に”car”という翻訳に変わってしまうというような、用語のブレを防ぐ ことができます。もちろん、一人で行う際のブレを防ぐ事もできますが、複数人で翻訳を行うようなプロジェクトでも効率的で品質の高いアウトプットを出す事が可能になります。
従来はデスクトップにインストールして使うソフトウェアが主流だったのですが、時代と共にクラウド上で活用できるCATツールも登場しています。ここからは、あまり知られていない翻訳支援ツールやサービスをご紹介していきます。
Trados
SDL社が提供するTradosというサービスは、1984年に開発がスタートされた、かなり老舗の翻訳支援ツールです。

参照:http://www.sdltrados.com/jp/
翻訳する際に、訳文や用語をデータベース化していき、既出の対訳を呼び出す翻訳メモリ機能はもちろん実装されています。翻訳会社や翻訳者の間で、恐らく一番認知度が高いツールではないかと思います。クライアントからTradosを使う事をプロジェクトの要件とする事があるぐらいなので、信頼度も高いのではと思います。継続は信頼を生むという事でしょうか。個人的にはMacに対応して欲しいです。
利用料は下記の表の通り、翻訳者向け、企業向けと設定が違います。

memoQ
ハンガリーの会社、Kilgrayが開発した翻訳支援ツールのmemoQはTradosと比べると、2006年にリリースされた新しめのサービスです。

Tradosに比べると€620から新規購入ができるなど、導入のハードルが少し下がります。購入から1年間はメンテナンスを受けることができるので、バージョンがアップデートされても追加の費用はかからないようです。
Tradosと比較した際、一番の利点はそのUXとUIです。Tradosは使用歴が長い人にとっては素晴らしいツールかもしれません。ただ、歴史が長いだけあって、Tradosは多機能で使い方を習得するのに時間がかかってしまいます。その点、memoQは直感的なインターフェースで、初心者にとって比較的使いやすいかと思います。
memoQのもうひとつの良い点は、Trados独自のファイル形式も扱うことができる事です。 Tradosと互換性のあるファイル形式で納品、というお客さまにも安心して対応できます。ただ、こちらもMacには対応していません。
MEMSOURCE
2010年、チェコ共和国プラハで生まれたMEMSOURCEは他のCATツールと比べるとまだの歴史は若いものの、クラウド時代の潮流を上手く取り入れることに成功したツールではないでしょうか 。

従来のデスクトップ型CATツールに実装されている機能を網羅しつつ、それらをクラウド環境で利用することができる仕組みになっています(つまり、ウェブブラウザで利用できる)。
MEMSOURCEが優れているもうひとつのポイントは、品質の向上に大きく影響する翻訳プロセス管理機能が充実していることです。複数人が関わるプロジェクトの進捗状況、翻訳メモリによる費用対効果分析(どのくらいコストを削減できたか)、などプロジェクトの運用に欠かせない情報を全てダッシュボードで一覧することができます。
また、価格設定も非常にリーズナブルで、有償版は月額€20/1ユーザーから利用することができます。
YarakuZen
ここまでは海外の企業が開発するサービスでしたが、最後に日本発のサービスをご紹介します。 ヤラクゼンは従来の翻訳支援ツールとは異なり、今まで翻訳者ではなかった人でも使えるようにした翻訳ツールです。

参照:https://www.yarakuzen.com/ja
翻訳したい原文を入力すると、まず自動翻訳が実行されます。その後、修正が必要だと思う部分を自分で修正したり、翻訳会社や翻訳者に修正を依頼したりできます。仕事の効率化を図りたいビジネスマンや翻訳チームに次々と導入されているようです。
価格も12,000円からと導入しやすい設定となっています。
まとめ
ここまで様々な翻訳支援ツールをご紹介してきました。恐らく翻訳会社に発注する人にとっては、あまり聞いた事が無い(聞く必要も無い?)サービスかもしれません。ただ、こういう裏側の仕組みを理解する事により、翻訳会社に対する発注や品質管理について知る事ができ、自社にとって最適な翻訳会社に仕事を依頼する事ができるかもしれません。機会があれば一度サービスを見てみてはいかがでしょうか。
日本の魅力ある商品や体験を在日外国人インフルエンサーとつなげるマッチングプラットフォーム「trial JAPAN」
日本の魅力ある商品や体験を在日外国人インフルエンサーとつなげるマッチングプラットフォームです。インバウンド向け外国人インフルエンサー施策を、煩雑な交渉やスケジュール調整などの手間なくすぐに始められます。従来のインフルエンサー施策より、低コストで運用負担を抑えられるため、継続的なインバウンド市場への認知拡大を実現します。
詳しくはこちら
をご覧ください。
【12/25開催】2025年が終わる今こそ考えたい「インバウンドの未来」 東北に学ぶ成功戦略

2025年もいよいよ終わりに近づいてきました。今年の訪日外国人数は、10月までの累計ですでに3,500万人を超えており、過去最高だった2024年を上回ることが確実視されています。
来たる2026年は、インバウンドにとってどのような年になるのでしょうか。
本セミナーでは、観光業やインバウンド誘客に関わるスペシャリストの方々をお招きし、2026年以降のインバウンドについて見通します。
さらに、東北地方でのインバウンド誘客を事例としながら、今後の「地方×インバウンド」にとって重要な考え方や、今やるべきことについても徹底議論します。
東北地方で観光業界に関わる方はもちろん、それ以外の地域の方でも参考になる議論をお届けします!
詳しくはこちらをご覧ください。
→2025年が終わる今こそ考えたい「インバウンドの未来」 東北に学ぶ成功戦略【12/25開催】
【インバウンド情報まとめ 2025年12月前編】観光庁補正予算、オーバーツーリズム対策など225億円 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に11月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
※訪日ラボ会員にご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→観光庁補正予算、オーバーツーリズム対策など225億円 / 東京23区のホテル開発がV字回復 ほか:インバウンド情報まとめ【2025年12月前編】
今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」
訪日ラボの会員限定コンテンツ「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!
その他、訪日ラボの会員になるとインバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い教科書コンテンツやインバウンドを分析したレポート、訪日ラボのコンサルチーム登壇のセミナーなど役立つコンテンツが盛りだくさん!












