2021年に開催を延期された東京オリンピック・パラリンピックですが、これを機に多くの外国人が日本を訪れることが期待されています。
民間企業や政府は訪日外国人旅行者4,000万人を目標に、海外の旅行博等でのプロモーションや訪日外国人にとってストレスのない滞在環境の整備などに取り組んでいます。
また、将来的に現在のゴールデンルート中心の観光から、地方部へも多くの訪日外国人を呼び込んで地方創生を行うことが必要だと考えられており、これについては国土交通省も様々な形で魅力ある観光地域づくりを進めています。
こうした地方部へも訪日外国人に回遊してもらうために必要だと考えられているのが二次交通の充実です。具体的に、二次交通の充実とは何を指すのでしょうか?本記事で解説します。
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二次交通とは
観光分野における二次交通とは、空港や主要の鉄道駅から観光地までの交通、交通手段の事 を指します。
例えば京都で清水寺の観光をするのであれば、京都駅についてからの交通手段、東京で築地の観光をするのであれば、東京駅からの交通手段を指します。
主要空港や主要駅だけではなく、クルーズ船の観光であれば港から観光地までの交通手段、また地方空港から観光地までの交通手段などもこれに含まれます。
二次交通の充実は地方部においてこそ必要
冒頭に述べた「二次交通の充実」については都心部よりも地方部で必要とされています。
これは二次交通の手段が豊富、かつ二次交通の運行が多い都心と比較した場合に、地方部ではそもそも代替となる交通手段が少ないこと、また二次交通があったとしても、そもそもの運行本数が少なく観光客にとっての利便性が低いこと などがその重要性の理由としてあげられます。
こうした地方部の二次交通の手段、運行本数の少なさというのは、観光シーズン以外は利用人数が少ないため、増やそうと思ってもそう簡単に増やせるものでもありません。
日本各地の「二次交通」成功事例
それでは、こうした二次交通における成功例とはどのようなものがあるのでしょうか。いくつか例を上げてみましょう。
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秋田県「秋田エアポートライナー」
- 秋田空港と主要観光地を直接結ぶ8路線の事前予約制乗合タクシーです。地元の観光協会、交通事業者、空港関係者、観光業者等から成る任意団体が運営。集中予約システムを導入しています。
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宮城県「松島行き空港リムジンバス」
- 仙台空港から日本3景の1つである松島を直接結ぶ空港リムジンバス。
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愛知県「栄バスターミナル(オアシス 21)」
- 交通結節点の利便性向上。地下商店街の充実、地下鉄と路線バス、都市間高速バスの乗継ぎなどが一箇所で可能。国のガイドラインに準拠したサインシステムを整備している。
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山形県「花巻温泉郷無料送迎バス」
- 新花巻駅~花巻温泉間(複数ホテルを経由)の無料シャトルバス。また、花巻市観光協会との連携により、無料観光バスを運行。ボランティアガイドの同乗あり。
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東京都「新宿高速バスターミナル バスタ新宿」
- 今まで分散されていた高速バス乗り場を新宿南口に集約したもの。東北から九州まで、主要空港行き、ディズニーランド行き、御殿場プレミアムアウトレット行き、富士山5合目行きなど、様々な行き先のバスを運行。
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鳥取県「外国人観光客のための周遊タクシー」
- 外国人観光客に対して安価で安心な周遊タクシーを2000円で運行。受付は英語、中国語、韓国語スタッフが対応。観光コースの相談などが出来る。
二次交通に対する訪日外国人の不満
訪日外国人の利便性を上げるために二次交通の導入がすすんでいますが、全く不満の声がないわけではありません。
観光庁が行った調査によると、こうした不満の中で最も多いのは「運行本数が少ない」ということ。
また、観光地と主要駅などの距離が遠い地方部では仕方のないことですが「時間がかかる」ということ。また「費用が高い」、「乗換に時間がかかる」、「運行ダイヤがわかりにくい」といった不満もあるようです。
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二次交通の供給、運行の拡大には協働が必要
利便性向上のために二次交通を拡大するには、単純には運行本数、運行経路を増やす、ダイヤを見直すなどがあげられます。
また循環バスなど観光客だけでなく地元住民にとっても利便性の高い形での導入を進める、また乗合タクシーなど、既存のリソースを有効活用する方法、地方部にある旅館などにおいては、無料でなくとも構わないので主要駅への送迎サービス、旅館近くの観光地への送迎サービスの導入などが効果的です。
またこうした二次交通の情報の積極的な発信、多言語によるホームページの運用、駅から乗り場までのわかりやすい案内、レンタカーの利用促進なども施策内容として考えられます。
しかし何よりも重要になってくるのは、行政・自治体、交通事業者、観光関連事業者、地域住民が個別にこうした二次交通の課題を考えるのではなく、観光地域全体の課題として関係者が共同してこうした二次交通の課題を考え、導入、さらなる利便性向上のために協働していくことだと言えます。
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