「訪日客が旅行中に困ったこと」ここ3年でどう変わった?観光庁のアンケート調査をまとめてわかった意外な事実

クールジャパン戦略の甲斐もあってか、訪日外国人観光客数はここ数年順調に伸びており、昨年には史上最多となる2,400万人の外国人観光客が日本を訪れました。東京オリンピック・パラリンピックが行われる2020年までに年間4,000万人の訪日外国人観光客を誘致することを目標に、政府や自治体、企業などはインバウンド対策を着々と進めてきました。

こうした背景から、少なくとも年々、訪日外国人観光客にとって訪日旅行は快適なものになっているのではないかと予想はできますが、実際、訪日外国人観光客は現在の日本のインバウンド受け入れ環境をどう評価しているのでしょうか?

今回は、ここ3年分の観光庁訪日外国人観光客に対するアンケート調査の結果をグラフ化し、訪日外国人観光客にとって「何がどう変わったのか」をひもといていきます。

2014年に訪日客が困っていたこと:①無料Wi-Fiの少なさ②言葉が通じない③多言語表示の少なさ の3つ

2014年に訪日外国人が旅行中に困ったこと:観光庁「外国人旅行者に対するアンケート調査結果について」より数値をグラフ化
2014年に訪日外国人が旅行中に困ったこと:観光庁「外国人旅行者に対するアンケート調査結果について」より数値をグラフ化

2015年に観光庁により発表された「外国人旅行者に対するアンケート調査結果について」では、2014年に訪日した外国人を対象に行った日本のインバウンド受け入れ環境に関するアンケート調査の結果が紹介されています。

訪日外国人観光客が旅行中に困ったこととして、この資料をもとに把握できるのは、以下の点です。

  • 訪日外国人観光客が旅行中に困ったものとして最も多かったのは 「無料Wi-Fiの少なさ」。全体の36.7%が回答。
  • 2番目に困ったことが 「コミュニケーションがとれないこと(24%)」、3番目が「公共交通機関の経路情報の入手(20%)」。
  • グラフ以外にも 公共交通機関の乗り場情報の入手(10.2%)に関する不満の声もあり、公共交通機関の使いずらさが浮き彫りに

2015年に訪日客が困っていたこと:引き続き無料Wi-Fiの少なさ・コミュニケーションが上位に 多言語表示にも不満

2015年に訪日外国人が旅行中に困ったこと:観光庁「訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に関する現状調査」結果より数値をグラフ化
2015年に訪日外国人が旅行中に困ったこと:観光庁「訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に関する現状調査」結果より数値をグラフ化

2016年1月12日に観光庁により発表された「訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に関する現状調査」結果)では、2015年に訪日した外国人を対象に行った日本のインバウンド受け入れ環境に関するアンケート調査の結果が紹介されています。

訪日外国人観光客が旅行中に困ったこととして、この資料をもとに把握できるのは、以下の点です。

  • 前年同様、「無料Wi-Fiの少なさ」が訪日外国人観光客から不評。 全体の46.6%が訪日旅行中にこまったと回答しており、前年よりも10%ほど多くの人が困ったと答えた。
  • 「コミュニケーションの取りずらさ」は2014年と同じく2位に。(35.7%)。これも 前年に比べると10%ほど多くの人が困ったと回答。
  • 2014年は3位、4位両方が公共交通機関に関するものであったが、今回は5位の「公共交通機関の乗り方(14.8%)」のみ。
  • その代わりに「多言語表示の少なさ・わかりにくさ(20.2%)」「訪日外国人向け特別サービス情報(割引チケットや企画乗車券など)をどこで入手すればいいかわからない(14.9%)」の2つがランクイン。
  • 両替・クレジット利用に関する不満は、2015年にはランク外に。若干の改善。(16.1%→10.8%)

2016年に訪日客が困っていたこと:コミュニケーション・多言語表示の少なさなどが上位も…30%が「困ったことはなかった」と回答

2016年に訪日外国人が旅行中に困ったこと:観光庁「訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に関するアンケート結果」より数値をグラフ化
2016年に訪日外国人が旅行中に困ったこと:観光庁「訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に関するアンケート結果」より数値をグラフ化

2017年2月7日に観光庁により発表された「訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に関するアンケート結果」では、2016年に訪日した外国人を対象に行った日本のインバウンド受け入れ環境に関するアンケート調査の結果が紹介されています。

訪日外国人観光客が旅行中に困ったこととして、この資料をもとに把握できるのは、以下の点です。

  • 無料Wi-Fiに関する不満は、過去3年間で最低の28.7%に改善。
  • 代わりに 1位にランクインしたのが「コミュニケーションの取りずらさ(32.9%)」。「多言語表示の少なさ・わかりにくさ(23.6%)」も引き続き訪日外国人観光客にとって困ったこととして上位に 挙げられる。
  • 30%の訪日外国人観光客が「困ったことはなかった」と回答。同選択肢がトップ5に入るのは初めて。
  • 2015年に4位だった「訪日外国人向け特別サービス情報(割引チケットや企画乗車券など)をどこで入手すればいいかわからない」に関しては、2016年に10.6%となっており、ランク外に。若干の改善。

2014年から2016年 インバウンド受け入れ環境はどう変わった?

2014年から2016年までの観光庁訪日外国人観光客を対象とするアンケート調査から「訪日旅行中に困ったこと上位5つ」を中心にご紹介してきました。これらの結果から、ここ3年でインバウンド受け入れ環境はどのように変わったといえるのでしょうか?

[ポイント①]公共交通機関が多少使いやすくなった

2014年には、訪日外国人観光客の多くは公共交通機関に対する不満を抱えていました。しかし、年月が経つにつれ、公共交通機関に対する不満の声が少なくなってきたようです。

理由としては、訪日ラボでも以前ご紹介したように、鉄道会社や航空会社、バス会社など交通業界全体でインバウンド対策が進んだことが挙げられるのではないでしょうか。電車・バスの乗り方やチケットの買い方などをわかりやすく説明し快適に訪日旅行を楽しんでもらうため、交通業界ではさまざまな取り組みが行われています。

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[ポイント②]無料Wi-Fiの環境は年々改善:訪日客の通信手段の多様化も要因の一つか

訪日外国人観光客が訪日旅行に際に困ったこととして、「Wi-Fi環境」を挙げる声は、少なくなってきています。 昨年は、訪日外国人観光客の28.7%が無料Wi-Fiに対する不満を抱えている形にはなりますが、前年の46.6%に比べると大幅な改善を見せています。

理由には、日本全国の観光地、主要交通機関などに無料Wi-Fiスポットが設置され始めていることが挙げられます。また、訪日外国人観光客の通信手段が多様化していることも理由に挙げられます。

先日、ソフトバンクグループの代表取締役である孫正義氏が「訪日外国人には無料Wi-Fiではなく国際ローミングを通じてネットに接続してもらうべき」との発言で注目をあつめましたが、 最近では国際ローミングやプリペイドSIMが訪日外国人観光客の中で幅広く使われている通信手段になっています。無料Wi-Fiへのニーズの低下もこのアンケート結果に反映されています。

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[ポイント③]多言語表示・コミュニケーションの改善が早急に必要か

逆に、ここ3年間で最も改善がみられなかったのが「多言語表示」と「コミュニケーション」に関するもの。

最近では、東京や大阪など大都市圏や京都など有名観光地周辺のみならず、香川県岡山県など地方の都市も訪日外国人観光客にとって人気の観光地になっています。

大都市圏では、多言語表示や外国人とのコミュニケーション不足解消に対するインバウンド対策が導入されていても、地方では、それらのインバウンド対策がまだまだ進んでいない現状があります。

対面での外国語を通じたコミュニケーションは習得するにも時間・コストがかかるものです。そのため、最近では、手軽にインバウンド向けに多言語対応できるサービスや、自動翻訳・通訳機などがインバウンド市場で話題になっています。こういったサービスの活用もこれからの日本のインバウンド市場に求められてくるのではないでしょうか。

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まとめ:徐々に整いつつあるインバウンド受け入れ環境 一番の課題はコミュニケーション&多言語表示か

今回は、過去3年分の訪日外国人観光客の訪日旅行中に困ったことに関するアンケート調査をまとめ、日本のインバウンド受け入れ環境の変化をご紹介しました。

「無料Wi-Fiの整備が早急に必要!」との声を日本国内でよく聞きますが、訪日外国人観光客から不満の声が減ってきていることを考慮すると、意外にも訪日外国人観光客が現在求めているのは、「コミュニケーション不足の解消」「多言語表示」といった部分なのかもしれません。

また、全体的に見てみると、2016年には延べ30%の訪日外国人観光客が「困ったことはなかった」と回答したことから、日本国内のインバウンド対策は一定の成果をあげているといえるでしょう。そのため、しっかりと データに基づき必要なインバウンド対策を考えてみれば、今後のインバウンド対策においては「コミュニケーション」に関する対策が非常に重要になってくるでしょう。

<参照> - 観光庁外国人旅行者に対するアンケート調査結果について - 総務省・観光庁「訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に関する現状調査」結果 - 観光庁「訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に関するアンケート」結果

 

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