孫氏の「訪日客向け無料Wi-Fiなくすべき」との発言が昨年インバウンド市場をにぎわせたように、近年訪日外国人観光客の間でネットの接続手段は多様化しています。Wi-Fiのみならず国際ローミングやSIMカードも通信接続手段として注目されており、インバウンド誘致に無料でSIMカードを配布する自治体まで出てきています。では、実際に日本のインバウンド市場において最大のターゲットとなっているアジア・オセアニア出身の観光客は海外旅行時にどのようにインターネットに接続しているのでしょうか。Amadeusの資料を基に解説していきます。
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アジア・オセアニアの観光客はどのようにネットに接続しているのだろうか
スペイン・マドリードに本社を置くIT企業Amadeusでは「Amadeus Journey of Me Insights」を作成しています。これは、Amadeus社がイギリス・ロンドンのリサーチ会社YouGovと共同で 2017年5月に実施 した調査をもとに作成された アジア太平洋地域の海外旅行者に関する調査レポート です。アジア・オセアニア14か国(オーストラリア・中国・香港・インド・インドネシア・日本・韓国・マレーシア・ニュージーランド・フィリピン・シンガポール・台湾・タイ・ベトナム)出身かつ過去1年間に飛行機で旅行した人6,870人が調査対象となりました。
上記の表は同レポートをもとに アジア・オセアニア各国の海外旅行者が、旅行をする際にどのようにインターネットに接続しているのかに関してまとめたもの です。この表から把握できることについて解説していきます。
この図から把握できる3つのポイントとは?
① やはりもっとも利用されているのはWi-Fi:全体の70%が旅行中にWi-Fiを使用したと回答
アジア・オセアニア出身の海外旅行者に もっとも利用されている通信接続手段は「Wi-Fi」 という結果になりました。全体の 71% が旅行中にWi-FIを利用したと回答しています。
日本国内でも主要交通機関や大型商業施設、有名観光地などではJapan Connected-freeWi-FiやTravel Japan Wi-Fiなどの無料Wi-Fiの導入が進んでいます。また、訪日外国人観光客には有料のWi-Fiルーターも人気を博しており、セルフレジでルーターをレンタルすことができるサービスも登場しています。
以前の訪日ラボの記事でもご紹介したように、訪日外国人観光客の間で長年「無料Wi-Fiの少なさ」は悩みの種でしたが、日本国内でWi-Fiの普及が進んだことで、Wi-Fiのに対する訪日外国人観光客の不満は年々改善されています。 Wi-Fiはアジア・オセアニアの旅行客にとっても主要なネット接続手段はであるので、これからも継続的な環境整備が求められてくるでしょう。
「訪日客が旅行中に困ったこと」ここ3年でどう変わった?観光庁のアンケート調査をまとめてわかった意外な事実
クールジャパン戦略の甲斐もあってか、訪日外国人観光客数はここ数年順調に伸びており、昨年には史上最多となる2,400万人の外国人観光客が日本を訪れました。東京オリンピック・パラリンピックが行われる2020年までに年間4,000万人の訪日外国人観光客を誘致することを目標に、政府や自治体、企業などはインバウンド対策を着々と進めてきました。 こうした背景から、少なくとも年々、訪日外国人観光客にとって訪日旅行は快適なものになっているのではないかと予想はできますが、実際、訪日外国人観光客は現在の...
② 訪日旅行時には外国人観光客は「国際ローミング」「SIMカード」をあまり使わない傾向に
観光庁の「訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に関するアンケート」によると、2016年、訪日外国人観光客のうちネットに接続する際にSIMカードを利用した人の割合は全体の20.9% でした。また、国際ローミングにてインターネットを利用した訪日外国人観光客は全体の26.2% でした。
一方、前述のとおり、”訪日外国人”に限らないアジア・オセアニア出身の海外旅行者の場合、SIMカードを利用する人の割合は43%、国際ローミングを利用する人の割合は33% となっているので、いずれも訪日旅行時よりも 大きな割合 になっています。
ここから、アジア・オセアニア出身の観光客は、訪日旅行時に他国旅行時よりも「国際ローミング」「SIMカード」を利用していない傾向がある ことが把握できるでしょう。観光庁の資料によると国際ローミングの場合、訪日外国人観光客のうち4.3%が、SIMカードの場合は6.4%が、「利用したくても利用できなかった」と回答しているので、何らかの対策が求められてくるかもしれません。。
③韓国では「国際ローミング」シンガポール・マレーシア・インドネシアでは「SIMカード」
Amadeusの同レポートによると、韓国人観光客の間では国際ローミングの利用率が高い とのこと。韓国人観光客のうち 56% が国際ローミングを利用してネットに接続しています。
一方、マレーシアやインドネシア、シンガポール人観光客の間では特にSIMカードの利用率が高い結果に なりました。それぞれ 54%、58%、56% が旅行中にSIMカードを利用してインターネットに接続しています。観光庁による「訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に関する現状調査」によると、訪日インドネシア人観光客のSIMカード利用意向率は75.8% となっており、東南アジア圏を中心としてSIMカードは人気の通信接続手段となっていることが把握できます。
まとめ:国によってネットの接続手段はまちまち
アジア・オセアニア圏出身の観光客の間では基本的にWi-Fiが旅行時のインターネット接続手段としてもっとも利用されている手段とはなりますが、国によっては国際ローミングやSIMカードにも大きな需要があることが把握できます。ただ訪日旅行時と比較すると、国際ローミングやSIMカードには利用率に差があるため、販売方法の拡充など何らかの対策が必要となるでしょう。
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<参照>
- amadeus:Amadeus Journey of Me Insights What Asia Pacific travellers
- 観光庁:「訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に関するアンケート」結果
- 観光庁:「訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に関する現状調査」結果
- 総務省:WI-FI利用に係る調査結果(詳細版)
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【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
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【インバウンド情報まとめ 2025年5月後編】2025年の訪日客数「4,500万人」へ、観光庁長官の見解は? ほか
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→2025年の訪日客数「4,500万人」へ、観光庁長官の見解は? / 2025年訪米旅行者支出「125億ドルの損失」予想 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年5月後編】
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