観光庁では、従来のアジア圏からの訪日外国人誘致に加え、欧米豪インバウンドの誘致にも力を入れはじめました。静岡県の下田市は、観光庁の施策以前より、アメリカやフランスからの観光客が多く来ていますが、なぜ欧米圏からの訪日客の誘致に成功しているのでしょうか?今回、一般社団法人下田市観光協会の立見絹代氏にお話を伺いました。なお、取材には下田市観光大使の岡崎大五氏の協力を得ました。
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観光案内所を訪れる観光客の国別データ
下田市には観光案内所が整備されており、宿泊手配や観光案内等の業務をしています。観光案内所には日本人観光客だけでなく、訪日外国人も訪れており、同案内所では利用者の国別のデータをとっています。2017年の1年間に観光案内所観光案内所を訪れた訪日外国人の国別訪問者数は以下のとおりです。
国籍 | 人数 |
---|---|
中国 | 397名 |
台湾 | 243名 |
香港 | 168名 |
韓国 | 109名 |
米国 | 503名 |
フランス | 208名 |
この数字は、観光案内所を訪れた人数ですので、ほぼ個人旅行者と考えて良いでしょう。そのため、ほぼ団体旅行者は含まない数値になっているものの、日本全体では、訪日観光客の約80%がアジア圏訪日客だという事実から考えると、下田市を訪れる米国人観光客とフランス人観光客の数字は非常に高い と言えるでしょう。
下田はゴールデンルートから派生した「立ち寄り場所」になっているのでは?
下田市観光協会の立見絹代氏は、下田に訪日観光客が訪れる理由として、いわゆるゴールデンルートから、少しはずれてどこかに行ってみたいというニーズ があるのではないか、と分析。箱根から京都方面へ向かうとき、熱海で途中下車し、JR伊東線及び伊豆急を利用して下田を訪れているのではないかとのことです。
国によって異なる質問。観光客へのアプローチ方法へのヒントとなるか
観光案内所を訪れる訪日外国人の質問は、国によって特色があります。アジア圏からの観光客は食べ物の質問が多く、米国からの観光客は安い宿探しの依頼が多い そうです。また、フランスからの観光客はウォーキング・ルートの質問が多い そうです。下田市観光協会は、同じレイアウト、写真を使用した観光パンフレットを全世界向けに用意していますが、地域ごとにアプローチ方法を変えたほうがいいのでは、と考えています。
海の写真は、タイ人旅行商品バイヤーにはウケなかった
下田市観光協会は2017年にVISIT JAPAN トラベル&MICEマートに出展しました。そのとき、青い海を表紙にした観光パンフレットを用意したのですが、タイ人のバイヤーに「こういう海は、私の国にもある」と言われてしまいました。ところが、逆に 欧米人には、このパンフレットは大人気。下田市観光協会では、次回は ターゲットの地域ごとに、何をアプローチするかを決めて表紙を変えるなどの施策が必要 だと考えています。
ポケットガイドは、4種類を用意
観光案内所で無料配布しているポケットガイドは、外国人に馴染みのあるガイドブック『ロンリープラネット』のように、シンプルかつ必要な情報が入ったもの。実際に訪日外国人の対応をしている下田市観光大使や、観光業者からのアイディアを元に作られています。
対応言語は、英語、中国語(簡体・繁体)、フランス語の4種類。地方自治体の観光協会で、フランス語のガイドがあるのは珍しいですが、下田市はフランスからの観光客が多いことを把握していますので用意があります。
黒船の歴史を持つ在東京外国人のリゾートとしての下田
下田は1854年に黒船来航があった町です。アメリカとの縁は幕末から続いており、毎年5月(今年2018年は5月18日から20日)黒船祭には、黒船(ペリー艦隊)乗組員の墓所があることから、米海軍の第七艦隊も参加します。下田に訪日アメリカ人の観光客が多い理由は、歴史的な背景があるのでしょう。かつて下田にオーストラリア大使館の保養所があったことから、東京で働く外国人にリゾートしての下田の存在が知られるようになったという歴史的経緯もあります。保養所が閉鎖になってからも、東京で働いている外国人の観光客ばかりでなく、訪日観光客も増えました。すべて口コミです。フランス人は海沿いのペンションに好んで宿泊しているようです。
まとめ
下田は東京から特急で約3時間という立地です。黒船来航の歴史があり、黒船祭りではたくさんのアメリカ人が訪れ、地元の人も外国人に慣れています。
観光協会の取材後、観光案内所に立ち寄った際に聞いた話でですが、訪日外国人から釣りの希望があり、観光案内所から地元の漁師に連絡をいれると「ことばはできないけど、大丈夫」という返事があるそうです。「ことばができないからお断り」とはなりません。観光協会も、訪日外国人の受け入れに熱心ですし、地元の協力もあります。リピーターも含め下田を訪れる訪日外国人の数は増えていくでしょう。
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<参考>
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