2020年に向けて、訪日外国人に日本滞在中により多くの支出をしてもらうことを目指し、カジノを中核とするIR実施法案を巡る動きが加速しています。IR実施法案は、高級ホテル、各種商業施設、MICEなどの開催が可能な会議室、カジノなどを含む統合型リゾート(IR=Integrated Resort)の整備を日本国内で目指すもので、シンガポールなど既にIR施設を導入している観光地に続いて、日本でもこうしたIR施設の導入が議論されています
インバウンド対策なにから始めたら良いかわからない?
【訪日ラボは、8月5日にインバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を開催します】
会場での開催に加え、一部講演ではオンライン配信(参加費無料)も実施!さらに、チケットを購入した方限定でアーカイブ配信も予定しています。
ご来場が難しい方や当日ご都合が合わない方も、この機会にぜひご参加ください。
世界のIR施設
世界の中で最も有名なIRはアメリカのネバタ州にあるラスベガスでしょう。その歴史は古く、1869年に賭博が合法化されて以来、現在では大規模なリゾート施設やホテル、エンターテインメント施設が立ち並んでいます。
またシンガポールでは2005年にカジノを解禁。2010年には宿泊施設などを含む巨大なIRが2箇所開業しています。韓国では1967年に外国人専用カジノが開業し、現在は17箇所にまで増えています。その中で韓国人が利用出来るのは江原ランド1箇所のみです。
IRがもたらす経済効果とは
日本でも議論が進むIR導入ですが、その最大の目的は経済効果です。IRは、建設による経済効果、運営による経済効果をもたらすとされており、
- 巨額の民間投資の実現
- IR運営による雇用創出
- 消費拡大などの社会的効果
- MICEの会場として使用出来る集客施設の一体的な整備運営による効果
- カジノ施設からの収益による財政への寄与
なども期待されています。その経済効果についてはいろいろな試算がなされていますが、みずほ総合研究所は、IRを1か所設置するとそのIR建設による直接効果は約0.8兆円、IR運営による経済波及効果は年間約2.9兆円と試算しています。
政府与党がカジノ規制の内容で合意:依存懸念で入場料6,000円、全国3箇所に設定
自民党、公明党は4月3日にIR実施法案についてカジノ規制について合意に達し、政府は、与党の合意内容を盛り込んだIR実施法案を今国会で提出、成立を目指しています。
合意した内容の中で最大の争点となっていたのが入場料で、最終的な合意内容としては1回あたり6,000円となりました。この入場料というのは主に日本人利用者を想定したもので、あまりにも安すぎたり無料であると、ギャンブル依存症になる恐れがあるのではといった懸念から、自民、公明間で、それぞれ5,000円、8,000円という意見が対立、最終的に6,000円で合意に達しました。
その他カジノの数については「全国で3箇所」、カジノ面積の上限は「IR施設の延べ床面積の3%」、納付金については「カジノ収入の30%」、本人確認方法については「マイナンバーカードを活用」などといった内容についても合意しています。
日本でも五輪需要に向け整備進む IR(統合型リゾート)推進法:カジノ、公営賭博、パチンコ店のインバウンド対応ってどうなってるの?
海外では、観光客が立ち寄る場所として一般的な施設という印象が強い カジノに代表される賭博施設 ですが、日本では現時点でこうした合法カジノはありません。その代わりに海外にはない 公営競技という名称で呼ばれる公営賭博 、そして 風営法のもとで遊技とされるパチンコ が存在します。こうした カジノ、公営賭博、パチンコとインバウンドの関係 はどうなっているのでしょうか。インバウンド受け入れ環境整備の資料を無料でダウンロードする「翻訳・多言語化」の資料を無料でダウンロードする「多言語サイト制作」の資料...
日本のカジノを楽しみたい訪日客
昨年話題となっていた カジノ法案(IR推進法) ですが、成立が来年の通常国会に先送りされる見通しです。2017年9月28日の臨時国会冒頭で安倍首相が衆議院を解散する方針を表明したことが主な理由です。多くの訪日外国人観光客の誘致につながる ことから、インバウンド業界でも注目されていたカジノ法案(IR推進法)。そもそもどのような法案だったのでしょうか。インバウンド受け入れ環境整備の資料を無料でダウンロードする「翻訳・多言語化」の資料を無料でダウンロードする「多言語サイト制作」の資料を無料でダウ...
カジノに関する懸念事項
「ギャンブル等依存症」
IR推進法案の中ではカジノに関する懸念が根強くあります。この中で特に懸念されているのがギャンブル等依存症です。ギャンブル等依存症に関しては、世界保健機構(WHO)は⽇常⽣活を損なうまでに頻回の賭博を⾏う「病的賭博」に相当するものです。なお、この「ギャンブル等依存症」の診断にはICDや、⽶国精神医学会によるDSMの他、簡易スクリーニングとして、SOGSやCPGIといったものが世界的に利用されています。
この中で、シンガポールにおける病的賭博が疑われる者の割合は、DSM-Ⅳを使⽤して2014年で0.7%となっています。日本では2017年にSOGSを利用した調査が行われ、0.6%という数値が出ています。
「治安・風俗環境」
カジノを設置することで治安や風俗の悪化が懸念されています。しかし2010年に大規模なIR施設が導入されたシンガポールでは観光客数が増加しているものの、「⼈に対する犯罪」(殺⼈、強姦等)、「暴⼒/重⼤な財産に対する犯罪」(強盗等)、「住居侵⼊及び関連犯罪」、「窃盗及び関連犯罪」などの犯罪について、カジノ設置前後において⼤きな変化は⾒られていません。
まとめ:実際の所IR実施法案の今国会中の成立見通しは厳しい…?
経済効果などを考えるとメリットが大きいように思えるIR実施法案について、与党は国会中に成立を目指しています。しかし、立憲民主党など野党はギャンブル依存症になる人が増えるといった理由から反発を強めており、今国会内での成立の見通しは不透明です。また「全国で3箇所」とされているIRの建設予定地の自治体との調整に関しても難航が予想されます。
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<参考>
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2024年、訪日外国人による旅行消費額は過去最高の約8兆1,257億円を記録。 そのうち中国は1.7兆円超(全体の約21%)と圧倒的な1位を占めており、宿泊日数や訪問者数でもトップクラスの存在感を示しています。
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【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
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