観光庁が行っている「訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に関する現状調査」によれば、「訪日外国人の困りごと・不満」は、2015年まではWi-Fiがトップを独占していました。しかし、 2016年からは一転「英語などでコミュニケーションがとれない」が一躍トップに躍り出ます。また「多言語表示の少なさ・わかりにくさ」に関する不満も2014年から2016年にかけて着々と増加しており、言語の壁に関する不満度が年々増してきていることがわかります。
だからこそ多言語対応を行うことは、インバウンド対策する上で必須と言えるでしょう。そこで今回、多言語対応が簡単にできるサービス「QR Translator」を提供している株式会社PIJINの代表取締役松本恭輔氏に、「QR Translator」の事例や多言語対応についてインタビューしてきました。
株式会社PIJINのインバウンドソリューション資料を無料でダウンロードする
多言語化表示サービス「QR Translator」の資料を無料でダウンロードする
災害時対応「QR Translator」の資料を無料でダウンロードする
【訪日ラボは、8月5日にインバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を開催します】
会場での開催に加え、一部講演ではオンライン配信(参加費無料)も実施!さらに、チケットを購入した方限定でアーカイブ配信も予定しています。
ご来場が難しい方や当日ご都合が合わない方も、この機会にぜひご参加ください。
QRコードで多言語対応ができる「QR Translator」とは?
ー「QR Translator」について教えてください
株式会社PIJIN代表取締役松本恭輔氏(以下、松本): 弊社では「QR Translator」という看板や印刷物をとても簡単に多言語対応できるソリューションを提供しています。多言語対応したい商品や情報などをPIJINが開発・管理する「QR Translator」のウェブサイト上に登録いただくと、QRTコードが発行されます。そのQRTコードを看板や印刷物に貼付し、訪日外国人にスマホで読み取ってもらいます。すると、端末の言語情報を自動的に読み取り、登録した商品や情報を適切な言語で表示します。現在は39カ国語に対応しています。さらに、音声読み上げ機能も付いているので、表示したコンテンツを音声で聞くことも出来ます。
「QR Translator」は、QRコードを活用しているので、訪日外国人の方に個別のアプリをダウンロードしてもらう必要がありません。そのため、スマホさえあれば、誰でも利用できるサービスです。また、看板や印刷物で活用するにしても、QRコードなのでスペースも取らず、デザインへの影響も少なくてすみます。
ーこれ1つで複数言語に対応できるのであればコストも削減できそうですね。
松本:
そうですね。コスト削減という意味でも活用いただけます。例えば、観光地の案内パンフレットを多言語展開しようとしたら、ギュウギュウに各言語の情報を詰め込むか、言語ごとに用意し、かなりの数を刷らなければいけません。しかし、「QR Translator」を活用いただくと、QRコードを1つ作り、パンフレットにつけて印刷すれば、言語ごとに情報を表示できるようになり、対応する言語ごとに印刷しなくても済みます。
多言語対応は、お金と労力をかければなんとかなる分野でもあります。それこそ、人を雇って翻訳したり、たくさん印刷したりしてお金と時間をかければできます。しかしながら、「QR Translator」を活用し、多言語対応の手間とコストを削減して、その分の空いた時間やお金を、訪日外国人の集客や受け入れに使って欲しいと考えています。
「QR Translator」は鉄道、地方自治体、飲食店と幅広く活用可能!「QR Translator」の活用事例とは?
ー「QR Translator」の具体的な事例を教えてください。
松本:
鉄道会社さんで利用いただいている事例があります。その鉄道会社さんでは、訪日外国人が増加してきたので多言語対応をしようと思い、多言語対応サービスを検討していました。
アプリによる多言語対応も検討したようですが、そうすると「アプリをダウンロードする」というハードルがあり、訪日外国人の方に利用いただけないのでは、という懸念があったようです。そこで、専用アプリ不要、ブラウザベースで多言語コンテンツを提供できる「QR Translator」を提案しました。「ユーザーにとって、QRコードをスマホで読み込むだけで簡単に多言語対応できる」という点を気に入っていただき、その鉄道会社さんで「QR Translator」が採用されました。
用途としては、乗り換えがわかりにくい所の掲示物などにQRTコードを貼付いただき、多言語で乗換案内を伝えています。その他にも、鉄道の近くに隣接する関連観光施設でも「QR Translator」を活用頂いており、駅内のQRTコードのコンテンツを見た訪日外国人が、隣接している観光地に流れ込むような動線の設計をご提案しています。
ー「QR Translator」を活用した飲食店の事例はありますか?
松本:
全国でチェーン展開されている飲食店さんで使われています。ご相談いただいた飲食店さんは、旧式の券売機を使っていました。最新の券売機であれば、デジタル画面で多言語対応できるのですが、買い換えに莫大なコストがかかるので、何とかできないかと弊社にご相談いただきました。
そこでご提案したのが、一度QRTコードで外国人が商品情報を読み取ってから、券売機で買ってもらうオペレーションです。つまり、券売機は既存のままにして、メニューボードを作ってもらい、そのメニューボードに「QR Translator」で作成したQRTコードを貼り付けていただくということです。単純な「QR Translator」の導入だけでなく、実際に使えるようになるための現場のオペレーションまで提案したことを評価いただき、導入に至りました。結果としては、券売機を全部買い変えるよりも、コストを抑えて多言語対応を実現できました。
ー地方で「QR Translator」を使われている事例はありますか?
松本:
あります。道の駅での事例です。最近では、訪日外国人のレンタカー利用率が上がってきており、ゴールデンルート以外の地域にも訪日外国人が向かうようになってきています。それこそ、道の駅など地域のスポットにも訪日外国人が増えています。
そのため、訪日外国人に、道の駅で販売している商品や地域の魅力を伝えるために「QR Translator」を利用いただいております。ほかにも、道の駅では、災害時での地域防災拠点となる場合もあります。最近だと、訪日外国人だけでなく、在日外国人も増えてきているので、災害時における案内の多言語化のニーズがあり、そのようなニーズに対しても「QR Translator」が活用できるのではないかと考えています。
災害時の利用にも活用可能、幅広い活用方法がある「QR Translator」
ー先程、災害時の案内にも活用できるとお伺いしたのですが、今後は災害対策にも力を入れていくのですか?
松本:
そうですね。実は、観光よりも災害対策を早急に整えないといけない自治体が多いのです。日本全国に数多くの市区町村がありますが、観光に予算を割ける市区町村は数が限られています。そもそも観光資源がなかったり、観光に対しての取り組みが進んでいないところが多いのです。それに比べて災害対策は違います。
以前、政府が「災害は予知できない」と発表したことにより、防災対策の考え方が変わりました。今まで東日本大震災や熊本地震など数々の災害を日本は経験していますが、それらの災害を予知するのは難しいと政府が判断したということは、どこの地域でも災害対策をしなければいけません。
「QR Translator」が各地方に普及すれば、QRコード1つで多言語情報を伝えることができるので、災害時にも訪日外国人に適切な情報を伝えることが出来ます。また、災害時対応においてこそ、QRコードとブラウザベースで多言語表示を実現している「QR Translator」の特徴が活きてきます。というのも、緊急時に専用アプリをダウンロードしているヒマはないですからね。
多言語対応の情報インフラを整備し、コスト削減を目指す。:株式会社PIJINの今後の展望とは?
ー今後の御社の展望を教えてください
松本:
私達は多言語対応を行っているだけと思われがちですが、本当に目指したいのは多言語情報のインフラ、プラットフォームを作ることです。「QR Translator」の中には多言語対応されたコンテンツが今後もたくさん増えてきます。そのコンテンツをAPIで提供して他のサービスと組み合わせると新しいサービスを作ることができます。
コンテンツのプラットフォームだからこそ、今後、色々な展開ができると考えています。これからもコンテンツを増やし、「QR Translator」のQRTコードがいろいろな所で見られるようにしていきたいですね。
ほかにも、インバウンド対策を進める企業や自治体のコスト削減のお手伝いを進めていきたいです。「QR Translator」を活用することで多言語対応におけるコスト削減が出来ます。さらに、「QR Translator」の運用で蓄積された翻訳データを再利用することにより、翻訳コストを下げることもできるでしょう。
そうやって浮いた予算を、訪日外国人の集客プロモーションや多言語化以外の受け入れ体制整備に当てることができます。その際には、プロモーションの専門家を私達が紹介したり、コーディネートを行っていきたいとも考えています。そのために今後は協力いただける会社とのネットワークも強めていきたいですね。
株式会社PIJINのインバウンドソリューション資料を無料でダウンロードする
多言語化表示サービス「QR Translator」の資料を無料でダウンロードする
災害時対応「QR Translator」の資料を無料でダウンロードする
インバウンド受け入れ環境整備の資料を無料でダウンロードする
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。
<本セミナーのポイント>
- 変わりゆく市場の状況と、今後注目のトレンドを把握できる
- 旅マエの顧客行動を理解し、集客・予約率アップのヒントが得られる
- 旅ナカの接客品質を高め、顧客満足度向上に繋がる実践的な対応を学べる
- 各分野の専門家から、ビジネスを加速させる具体的な戦略や成功事例が聞ける
詳しくはこちらをご覧ください。
→宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
※口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」

スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。
「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!