2018年6月22日都内にて「『在留資格(ビザ)』で分かる、外国人受入れの今とこれから」セミナーが開催されました。外国人政策勉強会EDAS(イーダス)が主催したこのセミナーは、特定行政書士の長岡由剛(ながおか よしたけ)氏を講師に迎え、日本の在留資格(ビザ)について学ぶために催されたものです。
2018年6月5日に先立って政府が原案を示した「骨太の方針」でも、外国人材の受入拡大路線が盛り込まれました。これから日本は移民政策や外国人労働者という、今まであまり語られてこなかった課題と向き合うことになります。この日の定員50名は予約で満席、参加率も100%で、この分野への日本人の関心の高まりを感じさせる熱気が会場を包みました。
インバウンド対策で外国人雇用するときの5つの注意点・留意点 外国人雇用関連法令・制度のほか国民性などに注意
先日10月12日、北海道は札幌で訪日外国人観光客に関する変わったニュースがありました。北海道新聞によれば、札幌のホステルが、訪日外国人観光客を無料で泊まらせることを条件に、宿泊施設内で清掃などをしてもらったとのこと。しかしながら、この訪日外国人観光客は「短期滞在」の在留資格で、就労資格は無い外国人であり、また宿泊料無料の条件である宿泊施設の清掃は就労にあたるとして、このホステルの社長など3名が社長ら3名も不法就労助長罪の疑いで現行犯逮捕されることになりました。ニュースとしては事実のみの記述...
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新しい在留資格「特定技能」と今までの「技能実習」の違い
新しい在留資格となるであろう特定技能をふくめ、日本の在留資格をわかりやすく説明した今回のセミナー。講師の長岡由剛(ながおか よしたけ)氏は「行政書士明るい総合法務事務所」代表を務め、ビザや外国人関連法務を年間1,000件以上手掛けている特定行政書士です。
今回、政府の骨太の方針に盛り込まれた「特定技能」といわれる在留資格は、今まで受け入れないとしてきた単純労働者を受け入れるというものです。ただし在留期間の上限を設け、人手不足が著しい5業種(農業・介護・建設・宿泊・造船業)に限るという条件つきで、2019年4月に施行される予定です。
この「特定技能」を付与される外国人は、日本語能力等の共通した基準に加え、各業種の管轄省庁が定めた試験に合格する必要があるとのことです。
この他にも、すでに導入済みの「技能実習」で5年間の実習を終えた外国人、または実習を終え既に本国に帰国した外国人にも「特定技能」の在留資格を付与する見込みです。
「特定技能」には「技能実習」と「長期滞在」のつなぎ的要素も?
「技能実習」の延長的な意味合いもありそうな「特定技能」ビザですが、現時点では永住許可申請や家族の招へいは出来ないとされています。
『ただし、この「特定技能」から他の在留資格への変更は可能とされ、5年の在留を終えた者にはなんらかの基準を設けた在留資格(未定)への変更を可能とし(中略)永住許可申請や配偶者や子供の招へいを可能とする案も検討されています。』(長岡氏作成のセミナー資料より抜粋)
「技能実習」という滞在資格から「特定技能」への切り替え、その後に別の在留資格への切り替えが出来るようになれば、三段階の滞在ビザを経て永住許可申請を出来るようになる可能性もゼロではなさそうです。
外国人労働者は同時に「より良い生活を求める若者」でもある。きちんとした日本語教育を
本来は行政書士向けに50時間かけて行っているというセミナー内容を、一般向けに短時間で行った長岡講師。2時間という長丁場のセミナー中、席を立つ人はいませんでした。講義に続き、参加者を交えての質疑応答が行われました。
この日は日本語教育に携わる参加者も多く、外国人政策における日本語教育の重要性について話がおよびました。もし外国人労働者に対して語学教育をおろそかにすると社会問題を引き起こす可能性があるようです。
労働者としてやってくるのは若い単身男性が多く、日本の地方などで共同生活することになります。きちんとした日本語教育をしないと外国語で話す集団は時として地域とのコミュニケーション不足で相互理解が得られず、「怖い」と言われて孤立したり、住民とのトラブルが起きたりする可能性があります。
やさしい日本語で訪日外国人をおもてなし 「やさしい日本語ツーリズム研究会」が発足。日本語学習者の誘致に有効か
2016年8月18日の株式会社電通によるニュースリリースによると、日本語教師養成講座ほか教育事業を行うヒューマンアカデミー株式会社および東京外国語大学の荒川洋平教授との共同で、産学連携の「やさしい日本語ツーリズム研究会」を発足すると発表しました。簡単に説明すると、「訪日外国人観光客を簡単な日本語を通じてもてなそう。」という試みの模様です。 目次既存のインバウンド対策における外国語対応への行き詰まり半数がインバウンド市場獲得を今後の優先課題とみなすも未だに拭えない外国語への抵抗感 訪日外国人...
日本語教育などの受入れをおろそかにすると長期的な視野で損失が大きい
現在の外国人受け入れ路線は日本側の労働力不足を補う目的です。しかしそれを受けて日本にやってくるのは外国人労働者であると同時に、より良い人生や家族を求める若者です。
「アジアの国々は経済発展をしていますので、日本に来て働きたい外国人の数は今後減っていく可能性もあります。日本に来て働けて良かったと思われないと働く場として選ばれなくなる可能性があります。」
そう語る長岡講師。日本語教育をおろそかにすれば、こんな逆説的なシチュエーションすら起こりえるのだそうです。
「日本語を理解しない労働者が多い現場を効率的に指揮しようとすると、外国人マネージャーの登用、そして職場の指示やコミュニケーションも外国語になる可能性があり、結果として日本人労働者がマイノリティ化してしまうこともありえます。」
まとめ: 日本語教育と同時に多言語対応が求められる外国人雇用現場
日本の外国人政策はまさに今始まったばかりです。2020年の東京オリンピックに向けて建設や宿泊業界を中心に外国人労働者の力が必要となります。
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※新型コロナウイルスの感染拡大を受け、
少子高齢化の日本ではオリンピック後も農業や介護の現場でも外国人労働者に活躍してもらわないといけない状況が続きます。
外国人にスムーズに仕事・生活をしてもらうには、コミュニケーションの基本となる日本語教育が不可欠です。日本語は習得が難しい言語ですので、その成果を待つ間の多言語対応の用意も必要でしょう。
今回の勉強会を主催したEDASでは「来た時よりも、もっと日本を好きに。」を目指しているそうです。日本と外国人労働者、双方がWin-Winになれる外国人政策は、一人ひとりが考えるべき課題かも知れません。
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<取材協力>
長岡由剛(ながおか よしたけ)
特定行政書士(行政に対する不服申し立て代理人権限をもつ行政書士)。行政書士明るい総合法務事務所 代表
ビザや外国人関連法務を年間1,000件以上手掛ける。在東京タイ王国大使館(TNJ主催)、行政書士稲門会、東京都行政書士会品川支部等でも講師をつとめる。タイ人を中心に、外国人が安心して暮らせるための支援を行っている。モットーは「外国の方にとって、日本がもう一つの故郷になりますように、プロの矜持と共に敬意を込めて」。
著書:「行政書士の業務展開」(共著 成文堂)
<取材協力>
EDAS(イーダス)は、日本に居住する外国人と、それを受け入れる日本人、日本のコミュニティが相互理解の絆を深めるとともに、外国人のみなさんが、日本語でコミュニケーションできる社会の実現を目指して、さまざまな取組を行ってまいります。
<参考>
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訪日ラボ主催「THE INBOUND DAY 2025」アーカイブ配信中!
訪日ラボを運営する株式会社movが8月5日に開催した、日本最大級のインバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」のアーカイブ動画が公開中です。
アーカイブ配信では、元大阪府知事の橋下 徹氏と大阪観光局理事長の溝畑 宏氏による基調講演のほか、脳科学者の茂木 健一郎氏、日本文学研究者のロバート・キャンベル氏、アパグループ 社長兼CEOの元谷 一志氏などの貴重な講演の様子を一挙公開(一部を除く)。
参加できなかった方はもちろん、もう一度議論を見直したい方も、ぜひご覧ください。
【インバウンド情報まとめ 2025年10月前編】中国の大型連休「国慶節」8日に終了、2025年も日本人気が続く ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に10月前半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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