株式会社電通が「ジャパンブランド調査2018」を発表しました。この調査は親日度(日本に対する好意度)・訪日旅行意向・希望訪問地域とその理由、日本産品に対する興味・関心やイメージなど多岐にわたるデータを収集しています。
いわば日本に対する好感度調査にあたるこのリサーチ。2018年1~2月にかけて20カ国で行われました。日本への好感度は果たしてインバウンドに結び付いているのでしょうか?
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日本に対する好感度の高い国トップ10
電通「ジャパンブランド調査2018」によると「日本に対する好感度トップ10」の国は以下です。ランキング上位国のインバウンド数はいずれも右肩上がりの伸びを示しており、好感度とインバウンドの相関性を伺わせます。なお、台湾、タイ、フィリピン、ベトナムは今回同率1位となっています。
- 1位:台湾(前回5位)
- 1位:タイ(前回1位)
- 1位:フィリピン(前回1位)
- 1位:ベトナム(前回1位)
- 5位:マレーシア(前回6位)
- 6位:香港(前回4位)
- 7位:インド(前回9位)
- 7位:シンガポール(前回10位)
- 9位:インドネシア(前回7位)
- 10位:イタリア(圏外)
台湾・香港は訪日客数が上位であるためその影響力は大きいと思われ、タイ・フィリピン・ベトナムは成長著しいアジアの親日国です。そしてイタリアはヨーロッパ最大の訪日国です。
訪日中国人観光客に人気の都道府県ランキング
訪日中国人観光客は、日本のインバウンド市場で人数、消費額ともに最も大きな比率を占めています。訪日中国人観光客に人気の目的地は主に東京や大阪といった大都市ですが、近年リピーターの増加や、地方空港と中国核都市を結ぶ直行便の増加、体験の希少性を求める旅行者のトレンドを背景に、日本全国の各都市に対する関心も高まっています。2019年の訪日外国人数は全国籍3,188万人で、そのうち訪日中国人数は959万4,300万人を記録しました。訪日外国人市場全体で、950万人を超えたのは初めてのことです。また中...
日本への好感度が高く・訪日数も多いフィリピン・ベトナム・イタリアの訪日傾向
日本に対して高い好感度を感じており、訪日観光客数も増えている国を3つピックアップしてその傾向を調べてみました。
- 1位:フィリピン
- 1位:ベトナム
- 10位:イタリア(※イタリアはトップ10中、唯一ヨーロッパの国でということで取り上げてみました。)
これらの国からの訪日外国人観光客の満足度はいずれも全体平均を上回っています(観光庁「訪日外国人消費動向調査 平成29年年間推計」による)。
特に満足度が高いのはフィリピンとイタリアで、ともに8割近い訪日客が訪日旅行全体を評して「大変満足である」と答えています。ベトナムについては詳しく後述します。
訪日旅行の満足度が一番高く、食事にも満足度が高いフィリピン人
訪日フィリピン人は日本旅行にたいへん満足をしているようです。訪日後のアンケートに対しても8割が「また必ず来たい」と答えています。
訪日フィリピン人は日本の食事も「美味しい」と評価しています。一番満足したメニューはラーメンです。
訪日フィリピン人はアクティビティへの参加度も高く、9割がショッピングに、5割がテーマパークに行ったと答えています。
例外なのは旅館への宿泊・温泉入浴の割合が低いことで、今回比較している他の国々に比べると3~4分の1という、きわめて低い割合です。約1割程度しか旅館宿泊・温泉入浴していません。
旅マエの情報収集は幅広く口コミを収集するのが特徴で、口コミサイト・個人ブログ・知人などから行うと答えています。日本国内に入ってからもスマホで情報収集を続ける傾向が強いことがわかりました。訪日フィリピン人への情報伝達にはSNSやブロガーの起用が有効だと言えるでしょう。
また、日本に在住する友人・親戚を訪問するVFR観光も盛んです。フィリピン人は口コミを信頼するため、日本国内にいるフィリピン人への働き掛けも有効かもしれません。
訪日フィリピン人観光客のインバウンド
訪日フィリピン人は、2016年の訪日外客数で前年比29.6%増となる 347,800人 となりました。2012年が85,037人でしたので、フィリピン市場のインバウンド需要は 4年前の約4.09倍まで成長 しています。
ガイドブックで下調べ・ポップカルチャーが好き、美術館・博物館も好きなイタリア人
日本への好感度が高い国としては今回唯一、ヨーロッパからランクインしたイタリア。フィリピンに次いで訪日満足度が高く、食事も7割が「美味しい」と答えています。
食事について詳しくみると寿司・ラーメンが2大人気メニューですが、特徴的なのは食事とともにお酒を楽しむ人が多いことです。「自国では味わうことができないから」と新しい味に挑戦しているのも訪日イタリア人です。
アクティビティ面からみると、日本の歴史・伝統文化体験/日本の日常生活体験/ポップカルチャー全てにおいて一番参加率が高く、日本を体験するコト消費が目立ちます。
旅館に宿泊して温泉入浴をし、日本食を試し、自然景勝地観光をする、という観光ガイドブックのおススメするような王道の訪日観光パターンを好みます。
訪日イタリア人の「旅マエ」情報収集ソースはまずガイドブックです。半数近い訪日イタリア人がタビ前に旅行ガイドブック(書籍)を使って情報収集をしており、訪日イタリア人の王道の訪日観光パターンとも関係がありそうです。
訪日イタリア人の情報ソースは、次いでクチコミサイト、個人ブログ、知人の口コミと続きます。
訪日イタリア人観光客のインバウンド
訪日イタリア人は、2016年の訪日外客数で前年比15.6%増となる 119,300人 となりました。2012年が51,801人でしたので、イタリア市場のインバウンド需要は 4年前の約2.3倍まで成長 しています。
「品質」にこだわり、他のアジア親日国とは異なる傾向もみられるベトナム人
経済発展が著しいベトナムからも訪日客は増えていますが、他の親日国と異なる傾向がみられるので注意が必要です。
旅行への満足度・日本再訪意向ともに「大変満足」から「不満」まで、色々な意見がばらけて存在しています。
特に食事への満足度は「美味しい」がもっとも低く、かわりに「品質が良い」「日本的である」といった客観的な見方が多いようです。訪日外国人に人気のラーメン*への満足度も高くありません。
アクティビティ参加を見ると活発です。日本の歴史・伝統文化やポップカルチャーへの興味は高く、旅館宿泊・温泉入浴への参加も高くなっていますが、満足度はいずれもあまり高くないのが特徴です。訪日ベトナム人はテーマパーク観光への興味がとても低いのも特徴です。
ベトナム人の訪日数はまだまだ限られており、訪日ベトナム人も男性割合が高いため、このような結果に繋がった可能性があります。今後、若い女性の訪日割合が増えるなどすると大きく変貌するかも知れません。
ショッピングなどでも品質がいいことにこだわり、「デザインがいい・かわいい・きれい」といった理由はあまり高くないようです。
旅マエの情報は旅行会社のホームページでチェックし、旅行中にスマホなどで情報収集も行わないため、ツアー客が多い可能性が考えられます。訪日旅行への支出金額は高い国なので注目です。
訪日べトナム人観光客のインバウンド
訪日べトナム人は、2016年の訪日外客数で前年比26.1%増となる 233,800人 となりました。2012年が55,156人でしたので、べトナム市場のインバウンド需要は 4年前の約4.24倍まで成長 しています。
まとめ: 訪日外国人観光客といっても国籍によりその特徴はさまざま。ターゲット地域のリサーチを
ラーメン大好き訪日フィリピン人、ガイドブックで旅行情報を集める訪日イタリア人、批評しながら日本を旅する訪日ベトナム人…日本への好感度が高い国と言っても、その旅行スタイルはいろいろのようです。
自分たちの提供できる・したい価値と、それを喜んで受け入れてくれる国はどこなのか、相性なども考えてみる必要があるかもしれません。
訪日外国人の年齢によってインバウンド需要は全然違う!年齢別訪問先データから見える訪日観光に求めるものの違い
どの国籍の訪日外国人がどこを訪れているのかを把握することは、インバウンドマーケティングにおいて最重要といっても過言ではありません。訪日ラボにおいても、観光庁が発表する「訪日外国人消費動向調査」平成27年のデータを用いて、国籍別の各都道府県別訪問率をお伝えしました。今月初め、8月5日にNTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社が「訪日アジア観光客の東京の街に対するイメージ」調査結果に関するプレスリリースを発表しました。この調査は、同社が運営するインターネットアンケートサー...
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<参考>
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