1996年に設立され、現在、月間約180万人のユーザーが閲覧している「ジャパンガイド」では、アメリカ、オーストラリア、シンガポール、イギリスなどの英語圏からのアクセスが上位を占めています。
今回はジャパンガイドの「Festival」ページで紹介されている16のお祭に関して、国別の人気や、お祭りにまつわる訪日計画中のジャパンガイド・ユーザーからの質問などをみて行きたいと思います。
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インバウンドで人気の日本のまつりTOP16:No.1は意外にも「さっぽろ雪まつり」
まず初めに、年間の各ページへの過去1年間のPV数をもとに、16のお祭りをランキングしてみました。
アクセス順位 | 祭名 |
---|---|
1 | さっぽろ雪まつり(札幌) |
2 | 祇園祭(京都) |
3 | 天神祭(大阪) |
4 | 高山祭(高山) |
5 | 三社祭(東京) |
6 | お水取り(奈良) |
7 | 葵祭(京都) |
8 | 神田祭(東京) |
9 | 青森ねぶた(青森) |
10 | 時代祭(京都) |
11 | 博多祇園山笠(福岡) |
12 | 横手かまくら祭(秋田) |
13 | 秩父夜祭(秩父) |
14 | 竿燈まつり(秋田) |
15 | 阿波踊り(徳島) |
16 | 長崎くんち(長崎) |
日本人の間では全国でも注目の集まるお祭りというと「祇園祭」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?しかし、訪日観光客の間で1位にランクインしたのは「さっぽろ雪まつり」で、2位にランクインした祇園祭ページPV数の、倍近くのアクセスが集まる結果となりました。
ジャパンガイド編集長のステファンも、スイスという雪国出身者でありながら、さっぽろ雪まつりで見られる雪像の精巧さには目を見張るものがあるとコメントしています。続く天神祭と高山祭は、それぞれ、大阪というゴールデンルート上の人気エリアであること、近年欧米圏からの訪問数が急激に伸びている高山の特質を考えると、頷ける結果なのではないでしょうか。
国別にアクセスを分析すると、「さっぽろ雪まつり」だけが特徴的な結果に
それでは次に、各お祭りページへどのような国からアクセスが発生しているかをみていきたいと思います。
国別アクセス順位 | さっぽろ雪まつり (札幌) |
祇園祭 (京都) |
天神祭 (大阪) |
高山祭 (高山) |
三社祭 (東京) |
お水取り (奈良) |
葵祭 (京都) |
神田祭 (東京) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 日本 | 日本 | 日本 | 日本 | 日本 | 日本 | 日本 | 日本 |
2 | オーストラリア | アメリカ | アメリカ | アメリカ | アメリカ | アメリカ | アメリカ | アメリカ |
3 | シンガポール | オーストラリア | シンガポール | オーストラリア | オーストラリア | オーストラリア | シンガポール | オーストラリア |
4 | アメリカ | シンガポール | オーストラリア | イギリス | シンガポール | シンガポール | オーストラリア | シンガポール |
5 | タイ | イタリア | フィリピン | シンガポール | イギリス | カナダ | カナダ | イギリス |
6 | フィリピン | インドネシア | インドネシア | イスラエル | カナダ | マレーシア | フィリピン | マレーシア |
7 | インドネシア | カナダ | タイ | タイ | ドイツ | イギリス | イスラエル | インドネシア |
8 | マレーシア | イギリス | マレーシア | カナダ | タイ | フィリピン | タイ | カナダ |
9 | イギリス | マレーシア | イギリス | ドイツ | インドネシア | タイ | ドイツ | ドイツ |
10 | カナダ | フィリピン | カナダ | インドネシア | マレーシア | オランダ | イギリス | イスラエル |
国別アクセス順位 | 青森ねぶた (青森) |
時代祭 (京都) |
博多祇園山笠 (福岡) |
横手かまくら祭 (秋田) |
秩父夜祭 (秩父) |
竿燈まつり (秋田) |
阿波踊り (徳島) |
長崎くんち (長崎) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 日本 | 日本 | 日本 | 日本 | 日本 | 日本 | アメリカ | 日本 |
2 | アメリカ | アメリカ | シンガポール | シンガポール | オーストラリア | アメリカ | 日本 | オーストラリア |
3 | シンガポール | オーストラリア | アメリカ | フィリピン | アメリカ | オーストラリア | タイ | アメリカ |
4 | オーストラリア | シンガポール | オーストラリア | オーストラリア | タイ | タイ | オーストラリア | フィリピン |
5 | タイ | イギリス | フィリピン | アメリカ | マレーシア | シンガポール | シンガポール | シンガポール |
6 | カナダ | インドネシア | タイ | タイ | シンガポール | ブラジル | スウェーデン | フランス |
7 | イスラエル | カナダ | カナダ | マレーシア | フィリピン | フィリピン | ドイツ | イギリス |
8 | インドネシア | ロシア | マレーシア | インドネシア | ベトナム | ドイツ | イギリス | カナダ |
9 | フィリピン | フランス | スイス | メキシコ | イギリス | メキシコ | メキシコ | 香港 |
10 | スイス | イスラエル | フランス | オランダ | カナダ | ベルギー | チェコ | インドネシア |
※日本からのアクセスの9割は訪日旅行中の外国人からのアクセスです。
上位8つのお祭りではすべて2位にアメリカがランクインしていますが、「さっぽろ雪まつり」だけは違いました。オーストラリアはジャパンガイドサイト全体でみても4位にランクインしており、もともと閲覧者が多いということもありますが、札幌がニセコのスキー場への経由地となることは少なからず影響していると考えられます。
「横手かまくら祭」については他のお祭りと異なって2位、3位ともに東南アジアの国がランクインしており、「雪の降らない国の出身者が雪を好んで旅行する」ということを、今回のお祭りランキングでも裏付ける結果となりました。
「高山祭」についてはイスラエルからのアクセスが6位にランクイン。第二次世界大戦中、ナチスドイツの迫害からユダヤ人を救うため、ビザを発給した杉原千畝の記念館が高山にあることが大きく影響していると考えられます。
「阿波踊り」については、唯一、スウェーデンがトップ10入り。スウェーデンで阿波踊りを教えるインターンシップ・プログラムがスウェーデンでの阿波踊りの認知度の高さに少なからず関係しているのではないかと思われます。阿波踊りと秩父夜祭については双方タイが上位にランクインしており、こちらは埼玉県が積極的にこれらコンテンツを現地でPRした結果であると考えられ、どちらの場合も地元の方々の地道な活動が数字としても表れる結果となりました。
お祭り見物にあたってまず気になることは?
では次に、日本のお祭りに参加するにあたって訪日観光客たちがどのような点を気にしているのかを、ジャパンガイドの掲示板「フォーラム」に書き込まれた質問を参考にみて行きましょう。
- 投稿日:2018年5月1日
- 2019年の冬に「さっぽろ雪まつり」を見に行きたいと思っています。いくつかのブログを読んだところ、2月上旬のホテルはすぐに満室になってしまうと知りました。いつ頃までに宿泊先の予約をすべきでしょうか。
- 投稿日:2017年9月5日
- 2018年の4月14、15日に「高山祭」を見に行く予定です。残念なことに、この日程だとすでにどこも満室のようです。何か良い方法はないでしょうか?もし夜遅くに運行している電車があれば、お祭りの後に少し離れた街の宿泊地へも行くことができるかと思うのですが。
- 投稿日:2017年1月30日)
- 2017年8月7日に「ねぶた祭り」をグループで見に行く予定です。青森県内で泊まる場所はあるかと思いますが、あまり楽観視はしていません。ねぶた祭りの翌日には恐山へ向かうので野辺地あたりで泊まるのが良いかと思っていますが、日本語を話せない私たちがオンライン予約を受け付けていない宿を予約するにはどうしたらよいでしょうか?どこかおすすめの宿はありますか?
- 投稿日:2018年7月11日
- 「ねぶた祭り」を見るには観覧席を予約しておくのと、歩きながら見るのとどちらがおすすめですか?前回、高山祭に行ったときは予約席というのは無かったので、どのように楽しむべきか迷っています。
まず一番目立った質問が「宿泊先」に関する質問でした。投稿日をみるとかなり前の段階で計画を立てているのがわかります。それでも「宿がみつからない」というのは日本人と変わらず、人気のお祭りでは共通の問題のようです。また、開催地からは少し離れたエリアでの宿泊となると、宿が英語での対応をしていないなど、部屋があっても予約方法がないという問題も発生しているようです。
まとめ
今回のデータを通して「お祭り」というカテゴリーの中でも、内容によって興味を持つ国も異なってくるということがわかりました。
お祭りのような人気の観光コンテンツを前面に出して、その周辺でのコンテンツの認知度を高めていくプロモーションはひとつの手法ではありますが、季節ものコンテンツだけに頼らず、年間を通して楽しめるコンテンツを合わせてプロモーションしていくこと、単発ではなく長期にわたって地道に活動していくことや、周辺エリアでの受け入れ体制についても対応を進めていくことが非常に大事であると考えられます。
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