2017年もっともアジア系の訪日客に人気があったのは関西圏です。大阪をハブとした関西のインバウンドルートはUSJ、大阪市内、京都市内、奈良など魅力的な日帰りルートが連なっており、日本のここ最近の訪日をけん引してきたといえます。
その関西の訪日客の流れを止めてしまうような事態が起こっています。昨日2018年9月4日に起きた関西国際空港の冠水による機能停止です。近畿地方を直適した台風21号の被害で、いまだに再開のめどが立たない「西日本の玄関」。これにより1日にどれぐらいの経済的被害が出そうかをシミュレーションしました。
実は今、インバウンドでは大阪が京都よりも圧倒的に人気 最新のアンケート調査で判明した関西圏での訪日外国人の行動とは
訪日外国人観光客が実際にどのような消費行動をしているのか、実際に何を求めているのかを知るのに有効なのがアンケート調査です。特に、日本の玄関口となる空港で行う調査は、実際の訪日外国人観光客の姿がリアルにわかる極めて信憑性の高い調査であると言えます。株式会社三菱総合研究所は、関西国際空港から出国した外国人旅行者に対するアンケート調査 を行ないました。対象となったのは関西国際空港から出国した訪日外国人観光客で、中国・韓国・台湾・香港・欧州・米国・タイ・タイを除くASEAN諸国の主要9カ国の400...
インバウンド市場や各国の訪日外国人に関する調査やもっと詳しいインバウンドデータ知るには?
【訪日ラボは、インバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を8月5日に開催します】
巨大台風がもたらした「想定外の被害」
関西を中心に大きな被害をもたらした台風21号。その中でもインバウンド業界に影響が大きいと思われるのが、関西国際空港の高潮による冠水です。

Twitter:毎日新聞写真部の投稿(https://twitter.com/mainichiphoto/status/1036924137950724097)
浸水での空港閉鎖は午後3時から現在まで続いており、再開のめどはたっていません。また空港と陸地を繋ぐ連絡橋が通行できなくなったため、約3000人の利用者が取り残されてしまいました。
関西空港の出入国外国人数
関西空港 (かんさいくうこう、正式名称:関西国際空港)は、大阪府泉佐野市・泉南郡田尻町・泉南市にある国際空港です。略称は関空。2019年は 8,378,039人 の訪日外国人が関西空港で入国しており、全空港・港湾中 2位 の入国者数です。また、出国者数は 8,361,578人 の 2位 となっています。
①1日あたりの関西国際空港からの入国利用者数を推定
関西国際空港は西日本の玄関と言われますが、8月にどれぐらいの入国利用があったのでしょうか?今年の8月の統計はまだ発表されていませんので、「前年度実績×伸び率」で算出してみます。
- 2017年の8月の関空入国者数→570,775 人… ①
- 2017→2018年の訪日外客数伸び率平均→13.9 %増…②
- 2018年8月の関空入国者数予測値→ ①×②=650,112 人
- 2018年8月の1日あたり関空入国者数予想値→ ③/30=21,670人…④
以上から、今年8月の1日あたり入国利用者は約2万1670人と推定されます。
②関西国際空港閉鎖による1日あたりのインバウンド消費損失を推定
昨日から受け入れることが出来なくなった1日あたり約2万1670人の入国利用者が日本で行うインバウンド消費額を推定してみましょう。
- 2018年直近の訪日外国人1人あたり消費額→14万4千円…⑤
- 2018年直近の平均泊数→8.1泊…⑥
- 1泊1人あたりの推定消費額→⑤÷⑥=17,778円
- 関空水没による被害額→④×⑦=21,670人×17,778円=約3.9億/日
関西国際空港のマヒによるインバウンド業界の被害は1日約4億円という驚くべき巨額のものになりそうです。
⑥の計算により、1泊あたりの消費額として算出していますが、今回の閉鎖により訪日旅行の全旅程がキャンセルとなるケースを考えると、その被害額は約8倍、つまり最大32億円/日にのぼりうることになります。
まとめ:避けられない自然災害・訪日客に対してインバウンド業界が出来ることとは?
今回の被害の原因となったのは自然災害の台風です。これは避けて通れない日本の気候的特徴で、これに伴うホテルなどはドタキャンはどうしようもない部分もあります。これほどの巨大な被害に対して、いかに備えるか、被害を食い止めるか、どう復旧するか、そういった手立てしかないという歯がゆい現状があります。
インバウンド業界として取り組めるのは、大金を払って日本にきて台風に遭遇し、歯がゆい思いをしている訪日外国人への思いやりある声掛け・柔軟な対応といえます。入国前に大きな金額を払って買う「JRパス」などについては、その保有者を対象に別の鉄道会社も受け容れるなどは必要でしょう。特にEU域内での「JRパス」にあたる乗り放題チケットがそのような対応をしてくれるため、EU出身者は災害時の日本の鉄道会社の縦割りには驚くようです。
台風による被害が起きるのを止めることは出来ません。インバウンド業界として減災のための日ごろの工夫と1日も早い復旧が待たれます。
訪日客の4人に1人 訪日中に地震などの災害に遭うことが判明:インバウンドと防災 東京五輪近づく今 考え始める必要が
1月25日の午前9時から東京都世田谷区、東京消防庁、警視庁などの協力のもと、駒沢オリンピック公園において外国人向けの防災訓練 が開催されました。これは都内在住の外国人に防災知識を身に着けてもらい、東京都において震災にあった際に役立ててもらおうというものです。2020年に訪日外国人4,000万人を目指す上では、いかに訪日外国人を迎えるかという視点だけはなく、日本を訪れた訪日外国人、また日本に居住している訪日外国人が震災にあった際にどういった対策をすれば良いのか? といった知識をつけてもらう事...
インバウンド市場や各国の訪日外国人に関する調査やもっと詳しいインバウンドデータ知るには?
<参考>
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。
<本セミナーのポイント>
- 変わりゆく市場の状況と、今後注目のトレンドを把握できる
- 旅マエの顧客行動を理解し、集客・予約率アップのヒントが得られる
- 旅ナカの接客品質を高め、顧客満足度向上に繋がる実践的な対応を学べる
- 各分野の専門家から、ビジネスを加速させる具体的な戦略や成功事例が聞ける
詳しくはこちらをご覧ください。
→宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
→「THE INBOUND DAY 2025」特設ページを見てみる
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
※口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」

スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。
「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!