数回に分けて取り上げた、ロボットレストランインバウンド営業部部長 田中寛典氏への独占取材。
【独占告白】ロボットレストラン『最初は色物ショー扱いで嫌われ者だった』…その苦難の道と”転機”とは
「ロボットレストラン」…インバウンド業界に身を置く方なら、この名前を聞いたことない方はいないのではないでしょうか?総工費100億円をかけ建設され、新宿歌舞伎町にある、夜な夜な外国人観光客が非日常を体験するために集う場所として、ロボットレストランは数年前から知名度を上げています。 そのド派手な内装や外装から話題にされやすく、日本や世界各国から取材が数多く、ロボットレストランには来ています。しかしながら今までの取材では、ロボットレストラン内情についてなどをお伺いしているものは多くはありま...
なぜロボットレストランは年間20万人の外国人観光客を集めることができるのか?数字とデータから紐解く!【独占取材】
外国人観光客に夜の娯楽を提供するトッププレイヤーとして君臨するロボットレストラン。日本ではナイトタイムエコノミーが数少ないと言われている中で貴重な存在になるのではないかと考えられます。そんなロボットレストランの運営やプロモーション等に関わっているインバウンド営業部部長 田中寛典氏に訪日ラボが独占インタビューを行い、内情やインバウンド対策の秘訣に迫る特集の第二弾。 [blogcard url=”https://honichi.com/news/2018/09/18/robotresta...
今回は最後のテーマとなる「ロボットレストランの「インバウンド集客のヒミツ」を独占公開/年間20万人の外国人観光客を呼び込むために重要な『柔軟性』とは?」。ロボットレストランがこれまで実際に行ってきた、インバウンド対策事例をお伝えしていきます。
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年間20万人の外国人観光客を集めるロボットレストランの集客術
-ロボットレストランでは外国人観光客を集めるためにどの様なことを行っているのでしょうか?
ロボットレストラン インバウンド営業部部長 田中寛典氏(以下、田中氏):
ド派手な内装を活かしたSNSの発信やトリップアドバイザーも力をいれていますが、意外にも営業活動に私達は特に力を入れています。
-それは意外ですね。具体的にはどの様な取り組みなのでしょうか?
田中氏:
私達が行っている営業活動には3つの柱があります。
1つ目がホテルへの営業活動。2つ目が旅行代理店やOTAとの連携。3つ目がJNTOや観光案内所への営業活動です。
1つ目のホテルに関してはほぼ毎日、都内全域のホテルを訪れて、ロボットレストランの良さを伝え、外国人観光客にオススメの場所を聞かれたら案内してもらえるようにお願いしています。ホテルへの営業活動は当初から行っており、今では都内のホテルであれば、おそらく全部と言っていいほど面識がある状態になりました。
お陰様で、ホテルからのご紹介もかなりあり、新宿歌舞伎町にある某ホテルからは, ほぼ毎日送客してもらっています。ホテル側からもメリットが有り、ホテルのコンシェルジュにはよく、外国人観光客から「オススメのスポットは知らないかい?」と聞かれるそうです。特に夜で楽しめる場所はまだまだ少なく、ロボットレストランであれば、安心して進められる仰っていただけています。
特に英語圏からくる外国人観光客は滞在時間も2週間前後と長いことがほとんどで、日本についてからどこに行こうかを決めるケースが多いそうです。だからこそ、泊まっているホテルではよく「どこに行けばいいの?」と聞かれるそうです。
-なるほど。ホテル側も場所を探すのは大変ですからね。2つ目は営業の取り組みとは?
田中氏:
旅行代理店やOTAと一緒に販売をしていくことです。弊社の担当者が密に旅行代理店やOTAの方とやり取りをさせていただき、お客様を送客していただいています。
特にOTAでは、Voyaginさんには、当初からお世話になっていますね。今ではVoyaginさんからの送客は月の売上の何%かを占めるようになっています。当初は私達もここまで認知度が無く、Voyaginさん達も創業して間もない頃だったので、お互いにこの会社と一緒に行っても大丈夫かな?と思っていたかもしれませんが、一緒に成長してこれたような気がします。ロボットレストランを外国人観光客に沢山販売していただいています。
-3つ目の営業の取り組みとは?
田中氏:
3つ目は、JNTOなどの各行政機関や観光案内所への営業活動ですね。JNTOの方々にもお世話になっています。ロボットレストランのチラシを旅行博で配って頂いたり、ファムトリップの方々にご案内して頂くこともあります。観光案内所の方々にも密にやり取りを行い、ロボットレストランのことをご案内しています。
観光案内所の方にもロボットレストランのことをよく知っていただければ、外国観光客が訪れたい際に紹介していただけるかもしれません。そのため、観光案内所へ顔を出しに行ったりすることも頻繁にあります。
-なるほど。かなり泥臭く営業活動を行っているのですね。
田中氏:
そうですね笑。インバウンド対策というとまず上げられるのが、多言語対応とかSNSで情報を発信する。WEBサイトを翻訳するなどありますが、このように外国人観光客と接点のあるホテルや観光案内所、旅行代理店に知ってもらうために、足を使うことを取り組んでいないところが多いように感じます。
WEBやSNSを活用することは非常に重要だと思いますが、やはり、人が足を運んで情報を伝えていくことも大切ですので、WEBやSNSで情報を配信するだけではなく、泥臭い営業活動も必要だと考えます。
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インバウンド対策で重要なことは柔軟性
田中氏:
他にはインバウンド対策で重要なこととして上げられるのは、柔軟性だと考えます。インバウンド対策を行う上で、よくありがちなミスは、外国人として一括りに捉えてしまい、対応方法を間違えてしまったり、伝わらない表現をしてしまうという事があると思います。それらを防ぐために、柔軟性をもち、臨機応変に対応することが重要だと考えます。
例えば、ロボットレストランで取り組んでいることをいくつかご紹介します。 ます一つは、ショーの演目や演出は一人で考えるのではなく、チーム全員で考えています。こういったショーでは一人の監督のような人がいて、考える場合が多いのですが、それだとショーの反応が悪かったときに変更するときにすぐに変えにくいと考えています。
しかしながら、全員の意見を取り入れながら作り込んでいるので、ショーの反応が悪かった翌日から、皆で変更に向けて打ち合わせをしたり変更に向けて動き出すなど柔軟に動くことができています。他にも、全員で作り込んでいるので、様々な視点から物事を見れるのが良いと考えています。
一人で物事を考えると盲目になってしまうケースが多いです。インバウンド業界は移り変わりが早いので柔軟に対応できるようにこの様な体制で行っています。
-なるほど。衣装やロボットなど自前で作られているとお伺いしていますが
田中氏:
そうです。ロボットレストランは一部購入したりしていますが、なるべく自前で行っています。その他にもメニューや内装、椅子などほぼ自社でデザインから作成まで行なっています。だからこそ、柔軟に対応することができます。例えば、飲食のメニューは、本来、飲食店であれば、明日からメニューを変えることは難しいと思います。
しかしながら、ロボットレストランでは、社内にデザイナーがいて、料理人もいるので、料理人がデザイナーに頼んだら次の日からメニューが変わるということもできます。
実際に、以前ですが、急に明後日にインド人が90人くらい来るという時がありました。その際には社内のスタッフをかき集め、宗教を調べたり、どの様な料理を出せばいいのかを調べてました。「お酒は飲まないからコーラを多めに発注しよう」など自前で行っているからこそできる柔軟性だと考えられます。
ナイトタイムエコノミーの課題は交通手段:終電を調べることは外国人観光客にとって難しい
田中氏:
しかしながら、我々もまだまだ対応しきれないこともあります。例えば「終電」ですね。
-終電というのは一体どういうことでしょうか?
田中氏:
ロボットレストランでよく外国人観光客から相談頂くことは終電の相談です。「終電がわからないから教えて欲しい」「終電がもう無いのであれば最後までいたい。あるんだったら帰りたい」などの相談を従業員達が受けています。
外国人観光客の方々のスマホには乗り換えアプリはほぼインストールされているみたいですが、使いにくいようですね。泊まっている場所によって終電の時間は、変わってくるので従業員も対応するのがとても難しくなっています。
このように、交通手段が無いためか、日本では夜遊びがしにくい環境になっているんじゃないかと考えます。ニューヨークのように地下鉄が24時間になれば、もっと夜の消費額が上がると考えますが、まだまだ日本では難しそうです。一応、ロボットレストランではバーも行っており、朝5時まで営業しているので終電を逃した外国人観光客の方々が始発まで利用されるケースもあります。
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まとめ:インバウンド対策で重要なことは柔軟性と地道な積み重ね
-今まで様々なインバウンド対策を行ってきたと思うのですが、改めてインバウンド対策で重要なこととは?
田中氏:
繰り返しになってしまいかもしれませんが「柔軟性と足を運んだり、地道な取り組みを行うこと」ですね。私達もロボットレストランを始めた頃はホテルや観光案内所への足を運んでも相手にされない時もありました。
認知度が上がるに連れて、徐々にお話を聞いてもらえるようになったり、取材が訪れてくれるようになりました。当初からうまく行っていたわけではありません。地道にやるべきことを積み重ねたからこそ、今のように年間20万人の外国人観光客が訪れてくれるようになったと考えています。
ロボットレストランとしては、これまでのインバウンド対策でうまく行った事例をもっと発信していき、この業界に貢献できるように頑張っていきたいと考えています。
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