フランス発 フリーペーパー『ZOOM JAPAN』が見つめる”日本の知られざる地方の魅力”とは/イギリス、イタリア、スペイン 計4市場をカバーする欧州産日本文化誌

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イギリス国内で日本の文化的情報を発信する『ZOOM JAPON』(以下『ZOOM JAPAN』)は、2010年6月にフランスで創刊した月刊のフリーペーパーです。現在ではイギリス版の『ZOOM JAPAN』、イタリア版の『ZOOM GIAPPONE』、スペイン版の『ZOOM JAPÓN』の4カ国で合計約20万部を発行し、およそ40万人の読者を抱えています。

主に「ニュース」「特集」「文化」「旅」「グルメ」「日本語」の6つのカテゴリーで構成されており、日本在住の外国人ライターを中心に発信する「日本の”今”」の情報が注目を集めています。

ゴールデンルートからはずれた地方都市への旅の体験記事を元に、外国人目線の日本の地域の魅力今後求められるインバウンド対策を見ていきましょう。

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『ZOOM JAPAN』が紹介する地方の魅力 その①:日本の名所・富士山を新たな角度から訪日客にPR

▲富士山を同じ目線で眺められる七面山

▲富士山を同じ目線で眺められる七面山

富士山の美しい姿を拝むために、訪日外国人観光客に人気のスポットは河口湖です。季節を問わず、東京から多くの訪日外国人観光客が足を運びます。

しかし、『ZOOM JAPAN』が注目した穴場スポットは、山梨県の七面山でした。実際に1泊で登山と参籠を体験した外国人ライターが、”現実世界とは思えない!”と絶賛しています。

期待以上の感動体験で訪日客を魅了しよう

▲七面山から拝む富士山とサンセット

▲七面山から拝む富士山とサンセット

5時間にも及ぶ登山の末たどり着く七面山の頂上からは、立派な富士山の姿が拝めます。あの有名な山、富士山のまさにすぐ隣に立っているような不思議な感覚が、外国人目線では非常に新鮮に感じたとのことです。

苦労して登った先に拝んだ、日本一有名とも言える富士山は、より印象に残り忘れられない景色になったと語っています。写真でよく見る富士山からは想像できないような絶景が、期待以上の感動体験となり、訪日旅行の奥深さをPRすることに繋がっています。

参籠体験で知られざる地域の魅力に触れる

▲早朝の参籠体験の様子

▲早朝の参籠体験の様子

仏教寺院での参籠は、日本古来の文化や生活様式を体験できる貴重な機会です。山頂では、誰でも1泊で参籠体験ができます。勤行では90分の読経が行われ、15人の僧侶たちがまるで歌っているように聞こえたというのは、初めて読経を聞く訪日外国人観光客ならではの感想と言えます。

終始現実世界とは思えぬ、スピリチュアルで荘厳な雰囲気に魅了されたそうです。翌朝は4時30分に太鼓の音で目を覚まします。3名の僧侶がわずか15秒ほどで、布団の片付けからお茶の準備までを行うさまは、「まだ夢の中にいるかと錯覚するような瞬間だった」と表現しました。

さらに、白装束の参拝者たちと拝む富士山のご来光は、雲海も広がりまさに非日常体験です。地上からは観られず、七面山に登ったからこそ望める唯一無二の絶景は、知られざる地域の魅力の1つと言えます。

『ZOOM JAPAN』が紹介する地方の魅力 その②:人気観光地の喧騒を避けた満足度の高い旅の提供

▲打見山から琵琶湖を一望

▲打見山から琵琶湖を一望

京都は魅力的な古都であると評価する一方で、近年は訪日外国人観光客の増加による混雑が、より顕著になっていると表現しています。

そこで、『ZOOM JAPAN』が目をつけたのが、滋賀県の大津です。京都から電車でわずか10分でアクセスでき、京都に劣らない地域独自の文化が保存された古都として注目しました。京都の喧騒から離れて、神社仏閣巡りや絶景が楽しめる、大津の魅力を紹介しています。

世界的にも有名な源氏物語で石山寺をPR

▲石山寺の東大門

▲石山寺の東大門

石山寺は、紫式部が執筆した世界初の歴史小説、源氏物語の着想を得た場所として紹介されています。滋賀県でもっとも古い建造物である国宝の本堂をはじめ、紫式部が構想を練ったとされる源氏の間が見学でき、日本の歴史を学ぶ上で最適の場所です。

石山寺のまわりは、緑豊かな庭園が広がります。春の桜はもちろん、秋は紅葉のライトアップが美しいと評判です。京都の名所に劣らぬ美しい紅葉を、より落ち着いた雰囲気で楽しめると評価されました。

インバウンド対策で注目すべき「インスタ映えスポット」

▲「びわ湖テラスのCAFÉ360」:びわこテラススペシャルページより引用」

▲「びわ湖テラスのCAFÉ360」:びわこテラススペシャルページより引用

大津で季節を問わず楽しめるスポットとして、びわ湖テラスに注目しました。びわ湖バレイ山麓駅からロープウェイを利用し約5分で到着する、打見山の山頂駅からすぐの好立地です。地元民も多く訪れるため、ロープウェイの混雑には触れた上で、びわ湖テラスから眺める日本随一の絶景を絶賛しています。

2018年8月にはメインエリアを大幅に拡張し、North Terraceを新設しました。ラウンジやカフェスペースが整備された、広大かつ落ち着いた空間は、絶景が楽しめるインスタ映えスポットとなっています。SNSでの拡散を狙ったインバウンド対策にも効果的な場所です。

『ZOOM JAPAN』が紹介する地方の魅力 その③:リピーターの心を掴む地方都市ならではの体験

▲男鹿半島の夕日

▲男鹿半島の夕日

取材に当たった『ZOOM JAPAN』の外国人ライターが、新幹線の中で「何も特別な観光名所はないのに、なぜ男鹿へ?」と男鹿出身の日本人に尋ねられたそうです。しかし、地元民も気づいていない、外国人目線の知られざる魅力が男鹿半島にはある、と自信を持って紹介しています

都市部にはない素朴な日本の風景で訪日客を虜に

▲秋田県男鹿市に伝わるナマハゲ

▲秋田県男鹿市に伝わるナマハゲ

男鹿半島は人気観光地ではないけれど、荒い波に削られた海岸や火山湖、温泉など、地域独自の地形に恵まれた、日本でもっとも美しい絶景スポットの1つとして評価しています。都市部と比べて人も少ないため、観光客も1人の落ち着いた時間を大切にできる場所です。

男鹿半島のドライブルートは、アップダウンが激しく、山と海に挟まれた海岸沿いの景色を楽しめます。道中に点在する小さな漁村や不思議な形の岩、大小さまざまなナマハゲの像など、つい立ち止まりたくなるようなスポットが豊富です。

地域の特産物を活かしたインバウンド対策

▲秋田県の特産品ハタハタ

▲秋田県の特産品ハタハタ

漁村だからこそ訪れられる、地元の漁師たちが集まる食堂へ立ち寄るのも、貴重な体験になります。東京などの都市部では味わえない新鮮な刺身や、ハタハタをはじめとする地域ならではの魚を、地元民と一緒に楽しめる場所です。

このように男鹿半島は、地域独自の地形や文化が楽しめるだけでなく、地元民の生活を垣間見るチャンスも多く、より”リアルな日本”を体験できるメリットがあると評価しました。インバウンド対策に励む地方自治体は、特産物をきっかけに地域全体をPRできると言えます。

まとめ:知られざる日本の地域の魅力発信で、リピーター獲得へ

『ZOOM JAPAN』の外国人ライターたちが、あえてゴールデンルートからはずれた日本の地域を取材した意図は、より満足度の高い訪日旅行が堪能できることにあります。外国人目線の知られざる地域の魅力とは、喧騒から離れて、日本古来の文化や生活の奥深さに触れられることだと言えるでしょう。七面山や石山寺の例のように、世界的に有名な富士山や源氏物語をきっかけとし、別の切り口から新たな観光スポットへ誘導することも効果的です。

2020年の東京オリンピックを機に訪れるであろう多くの訪日外国人観光客を、オリンピック後もリピーターとして誘致できるかは、知られざる地域の魅力発信が1つの鍵となるでしょう。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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