「渋谷ハロウィーン」の乱痴気騒ぎは、既に単なる仮装パーティーを通り越して暴動騒ぎとなりました。10月27日(土)、28日(日)の週末には参加者の女性に対する痴漢、盗撮などで逮捕者が発生したほか、窃盗、参加者同士の暴行事件も発生し、さらには通行中の軽トラックが参加者によって横倒しにされ、10月31日のハロウィーン当日には、またしても痴漢、窃盗、暴行、公務執行妨害などが発生。もはや「お祭り騒ぎ」ではなく、「集団での犯罪行為」の様相を呈しています。
既に「来年は中止にしたほうが良いのではないか?」という声も上がっていますが、「渋谷ハロウィーン」の場合はそもそもの主催者がおらず、参加者達が自発的に仮装し渋谷のスクランブル交差点付近に集まり騒いでいるという構図があるため、単純に「中止」にすることは出来ません。
参加者の中には外国人の姿も多く、海外でもその凄まじい盛り上がりから「渋谷ハロウィーン」について知っているという方も増えています。イベント自体の認知度からある程度インバウンド需要も見越せそうな「渋谷ハロウィーン」について、ある程度健全なイベントにするためにはどうしたら良いのでしょうか?
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現在の「渋谷ハロウィーン」で集まって騒いでいるのは誰か?そして何がしたいのか?
世界的に有名な観光地である渋谷のスクランブル交差点ですが、世界から様々な人が観光地として訪れるように、日本全国から様々な人々が渋谷のスクランブル交差点に集まります。特に何もイベントが無い日は平和な渋谷のスクランブル交差点も、今回のようなハロウィーン、ワールドカップ、クリスマスなど、何かしらのイベントの際は、「赤信号皆で渡れば怖くない」の集団心理で一部が行き過ぎた騒ぎ方をすることが過去にも何度も見受けられました。
ではこうしてスクランブル交差点に集まっているのは誰か?と考えると、誤解を恐れずに言うならば「渋谷区民以外の人」であると言ってほぼ間違いないでしょう。と言うのも、生まれも育ちも渋谷区、もしくは現在の住所が渋谷区という渋谷区民にとっては、区役所の仮庁舎、JR山手線、様々な地下鉄が利用出来る渋谷駅に近いスクランブル交差点は特に珍しい場所ではなく、「あんな混雑する場所は出来るだけ避けて通りたい」と考えるのが普通です。
渋谷ハロウィーンに代表されるイベントに「集まって騒いでいる」ということは、裏を返すと「そこまで社会的な立場を気にせずに騒げる年齢層」であると言え、実際に暴徒化している人達は、若年層であるように見受けられます。こうして集まって無秩序に騒ぐというのは、スクランブル交差点で行われるワールドカップのお祭り騒ぎにも、各地の成人式で騒ぐ新成人の姿にも重なります。
こうした「渋谷区民以外の人」である彼ら彼女らがしたいことは、「注目されること」「仲間内で話題になること」であると言え、その行き過ぎた行為をTVを始めとするマスメディアが面白おかしく取り上げること、自分達で撮影した写真、動画、投稿などがTwitterやFacebook、Instagram、TikTokなどで閲覧数が伸びること、コメントが付くことが楽しい、非常に簡単に言ってしまうと「承認欲求を満たしたい」ということだと思われます。
参加者の質を担保するためにはイベントの有料化、クローズドイベントとしてみる
冒頭に述べたように「渋谷ハロウィーン」は自発的に仮装した参加者がスクランブル交差点付近に集まり騒いでいるという構図のため、単純に「中止」にすることは出来ません。理想論を語るならば、「イベント期間中はスクランブル交差点付近一帯の道路を封鎖、物理的なゲートを設置した会場(エリア)を設け、チケット事前購入の形で入場料(イベント参加料)を徴収する」形のイベントにするのが良いでしょう。
単純にパレード参加自体を有料化した場合、有料でパレードに参加する参加者と、無料で無秩序に参加する参加者が混在する可能性、無料でパレードにタダ乗りしようとすると参加者が続出し、その把握、管理は困難でしょう。道路使用や占有、ゲートの設置に関して渋谷区、警察署の協力は不可欠ですが、ゲートの設置、クローズドイベントとする事が可能となれば、乱痴気騒ぎの発生を限りなく封じ込める事が出来るでしょう。
また、仮装している参加者はチケットに印刷された参加者IDを常に目に見える位置に提示する、ゲート内での酒類の購入時には免許証などIDを提示するなどを参加ルールとして徹底。ゲート内には警官を配置、仮設の交番を設けるなどすれば、自主発生的な乱痴気騒ぎが発生する可能性はほとんどなくなります。
ポイントは3つで、「ゲートを設置する事でタダで騒ぎたいだけの参加者を締め出す」、「有料化することで参加者の質を担保する」、「チケット購入/酒類販売の際にID情報と紐付けることで、馬鹿騒ぎを起こそうという気をなくさせる」ことです。
有料イベントに参加する層の参加者の質が良いというのは、同様にハロウィーンイベントを実施しながら特に大きな混乱が発生していない「川崎ハロウィーン」、「池袋ハロウィーン」からも明らかです。「川崎ハロウィーン」の場合はパレードへの参加には1000円が必要で、「池袋ハロウィーン」の場合はチケットの種類によって1500円から3000円が必要です。
また「川崎ハロウィーン」の場合は仮装した参加者全員を対象に仮装コンテスト「ハロウィン・アワード」が併催され、その賞金は実に50万円です。こうなると参加者の意識も「酒を飲んで集まって騒ごう」「目立とう」というものから、「しっかりとパレードを楽しもう」、「手の込んだ仮装で賞金を狙おう」といった健全な方向へと向かいます。
仮に一部潜在的に暴徒化する要素を持った参加者がいたとしても、犯罪行為、迷惑行為を行った瞬間に個人を特定できる環境が整っていれば、「赤信号皆で渡れば怖くない」の心理で暴徒化する層は個人単位では無害である事が多いため、大きな混乱には至らずに済むでしょう。
「赤信号皆で渡れば怖くない」の集団心理は「犯罪行為を皆ですれば、誰が犯罪をしたのかわからないだろう」という心理であるため、その前提が成立しない環境を整備してしまえば、その環境自体が抑止力を生み出します。
「音楽と共に踊りたい」、「出会いが欲しい」若者が多いなら、そういったイベントにしてしまう
今回の「渋谷ハロウィーン」参加者の声として聞かれたのは、「非日常を体験したかった」、「出会いの場が欲しかった」、「渋谷に行けば楽しい事があると思った」などというもの。大音量で音楽を流す県外車に合わせてクラブさながらに踊る参加者も多数見受けられ、あちこちでナンパが横行。明らかに出会い目的で参加している若者も多数いたようです。
では、そういったニーズがあるならば、いっそのことスクランブル交差点一体を閉鎖、やはりゲートを設けて野外音楽イベント、フェスを開催。もしくは街コンの要領で出会いのイベントを開催するのも可能性として考えられます。
音楽イベントとするならばスクランブル交差点内に特設ステージ、更衣場、トイレなどを設置、渋谷出身、東京で活動するアーティストやDJ、国内外のアーティストやDJに出演を依頼するなどが考えられます。渋谷のスクランブル交差点で行われる音楽イベントとなれば、国際的な注目を集めるはずで、インバウンド需要の取り込みも大いに期待出来ます。街コン形式にするならば、スクランブル交差点内に仮設の事務所、更衣場、トイレを設置し、周辺店舗や出店で歓談してもらうことにします。
やはりポイントとなるのは「ゲートを設置する事でタダで騒ぎたいだけの参加者を締め出す」、「有料化することで参加者の質を担保する」、「チケット購入/酒類販売の際にID情報と紐付けることで、馬鹿騒ぎを起こそうという気をなくさせる」ことです。
いずれも慣習的には実現不可能に思えますが、実務的には超法規的な手段と組み合わせるとなどすれば実現可能と言えます。渋谷区長は23日に、ハロウィーン参加への自粛要請を出して参加への理解と配慮を求めましたが、残念ながらその効果は無かったと言わざるを得ません。
とはいえ、せっかく新たに生まれた大きなイベントです。国内外からも賛否両論ながらも認知度が上がっていることは事実であり、インバウンド向けの観光資源としての活用の道も考えられます。来年のハロウィーンに向けて、清濁併せ呑みながら渋谷区がどのように舵取りをしていくのかが問われるでしょう。
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