2018年11月5日〜7日に、ヨーロッパ最大級のBtoB国際旅行見本市「World Travel Market London(以下WTM London)」がイギリスのロンドンで開催されました。
1980年に初めて開催され、現在では51,000人の旅行業界関係者が来場し28億ポンド(約4,200億円)の商談が取りまとめられます。日本を含め各国の効果的なインバウンド誘客方法と出展のメリットを、イベントレポートとして報告します。
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【訪日ラボは、8月5日にインバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を開催します】
会場での開催に加え、一部講演ではオンライン配信(参加費無料)も実施!さらに、チケットを購入した方限定でアーカイブ配信も予定しています。
ご来場が難しい方や当日ご都合が合わない方も、この機会にぜひご参加ください。
WTM Londonには官公庁・旅行会社・ホテルなど5,000団体が出展

「WTM London」は、ロンドン・シティ空港に隣接した欧州最大級の多目的展示会場「ExCeL London」で開催されました。182の国と地域からの団体が
- 「ASIA/PACIFIC & INDIAN OCEAN」
- 「AFRICA & NORTH AFRICA」
- 「MIDDLE EAST」
- 「THE AMERICAS & THE CARIBBEAN」
- 「EUROPE」
- 「UK & IRELAND」
- 「INTERNATIONAL HUB」
- 「TRAVEL FORWARD」
の8つのエリアに分かれ出展し、官公庁・旅行会社・ホテルなどのブースで構成されていました。
来場者は基本的に業界関係者となり、
- 旅行業界の動向のリサーチ目的で来場者の半数を占める「Trade」
- 商談や出展者とのコネクション作りを目的とする「Buyer」
- 政府レベルの関係者を対象とした「Minister」
- 約3,000人のジャーナリストやブロガーが取得する「Media」
- 観光を勉強する大学生に向けた「Student」
の5つのバッジから選び事前に申請します。
連日プレスカンファレンスセンターや各地域のブースでは、50以上のイベントやカンファレンスが開催され、出展者や来場者にとっては旅行業界の最新動向を探る絶好の機会となりました。
ビジット・ジャパン事業の一環として26ブースが訪日旅行をPR

日本はビジット・ジャパン事業の一環として、日本政府観光局(JNTO)を筆頭に、地方自治体やホテル・鉄道・航空会社など、26団体がブースを構えました。
「ASIA/PACIFIC & INDIAN OCEAN」の展示エリアは会場入り口からもっとも近く、中でもビジット・ジャパンエリアは手前に位置していたため、来場者の目に止まりやすい印象でした。
高く掲げられた日本らしいデザインの暖簾と日本の魅力を映し出す巨大スクリーンが、常に来場者の注目を集めていました。ブースのデザインはヨーロッパにおけるPRで全て同じブランディングにしているとのことです。

外側だけでなく内側にも各団体のブースが集まり、オレンジ色の提灯で日本らしい雰囲気を演出しています。
「WTM London」は業界関係者向けの見本市ということもあり、座って落ち着いて商談などができるよう、出展団体ごとに細かく仕切られたブースを用意していました。日本だけでなく他国のブースにも共通していたブースの配置です。
出展者によると、メインターゲットは海外の旅行会社とメディアで、実際に日本のランドオペレーターを探している人や積極的にPRをしてくれる海外ブロガーが多く立ち寄っているとのことでした。

東京都はビジット・ジャパンエリアとは別にブースを設置し、2020年の東京オリンピック開催に向け、東京の魅力をPRするプレゼンテーションを実施しました。
最初に映像を流した後、スライドに沿って東京の基本情報をはじめ、着物フォトスタジオやレストランバスなど最新スポットの情報をあわせて紹介しました。美しい写真や珍しい体験のスライドは、写真を撮りながら熱心に聞き入る来場者が多かったのが印象的です。
また、都内のホテルは3年で15,000室が増設され2020年に向けさらに増やしていくと、宿泊施設の受け入れ態勢の改善についてアピールしていました。より快適に東京観光を楽しんでもらうためのサービスとして、JTBの訪日外国人向け手ぶら観光支援サービス「LUGGAGE FREE TRAVEL」や24時間365日対応の多言語コールセンターの紹介もしています。

プレゼンテーション終了後には、ブース内で風鈴の絵付け体験を開催しました。ブース設置後すぐに、珍しそうに風鈴を眺める人が大勢集まりました。浴衣姿のスタッフによる丁寧な説明を、熱心に聞きながら初めての体験を楽しみ、東京ブースに足を止めてもらう大きなきっかけとなっていました。
体験コーナーで来場者を魅了するWTM Londonの各国ブース

ビジット・ジャパンエリアの隣にはタイがブースを構えており、ムエタイの実演などで大勢の来場者を惹きつけていました。ムエタイ選手のデモンストレーションの後は、実際に来場者もミットをつけてスパーリングを体験。写真や動画を撮る人だかりができ、そのままブースの展示にも足を止める人が多く見受けられました。
▲「WTM London」:韓国ブースの民族衣装試着コーナー
韓国ブースでは民族衣装を試着して写真が撮れるコーナーを設置し、特に若い女性に人気を集めていました。出展者が民族衣装を着てPRをしているブースは他にもよく見られましたが、実際に試着できるコーナーを設けているところは少なく感じました。
ブース内で試着と撮影をするので、必然的に他の展示物や資料を眺めるきっかけにもなり、足を止めてもらうには効果的な方法と言えます。
▲「WTM London」:イタリアの食材を紹介し試食ができるコーナー
イタリアブースでは、イタリアのチーズやペーストなどの試食コーナーを用意し、地域の食材をPRしました。生産地や材料など熱心に質問する来場者で、お昼時には長蛇の列ができるほどの大盛況ぶりでした。
イタリア以外にも、メキシコブースでタコス、台湾ブースで砂糖菓子、コスタリカブースで綿菓子など、国や地域ならではの食をPRし、ブースの集客に繋げているケースが多く見られました。
WTM LondonではSNSを活用したプレゼントキャンペーンも盛ん
▲「WTM London」:東京ブースのSNSキャンペーンコーナー
東京ブースでは、東京都の訪日客向けのTwitter・Instagram・FacebookのいずれかのSNSをフォローするとノベルティがもらえるキャンペーンとアンケート調査を実施しました。
豊富に取り揃えられた資料を見ようと立ち寄った人たちへ積極的に声かけをしています。ブロガーなどのメディア関係者や観光を学んでいる欧州の学生が足を止めることが多く、日本に行ったことがありTime Out Tokyoなどのフリーマガジンを手に取る人も見受けられたとのことです。
▲「WTM London」:CLASSIC RESORTS JAPANブースのパネルが大人気
ビジット・ジャパンエリアに出展したCLASSIC RESORTS JAPANのブースでは、Instagramの投稿をイメージしたパネルを用意しました。出展者によると、写真を撮っていく来場者も多く、山岳リゾートのPRのきっかけ作りとして非常に効果的だったとのことでした。
スキーやトレッキングで1〜2時間歩けば絶景が見られる手軽さだけでなく、農村部で生きた文化を体験できる点が、他の山岳リゾートには見られない大きな強みとなります。夏に向けてさらにPRを強化していくとのことで、地方へのインバウンド誘客に繋がる今後の動きに注目です。
▲「WTM London」:韓国ブースのSNSを利用したプレゼントキャンペーン
特に人気のSNSキャンペーンを実施していたのが韓国ブースでした。FacebookかTwitter、Instagramのアカウントをフォローすると、鮮やかな色合いが目を惹く伝統的なうちわをプレゼントするキャンペーンです。
来場者はうちわを手にしたまま会場内を歩き回るので、他のブースでうちわを見かけた人がのちに韓国ブースへ立ち寄るきっかけとなり、ブースへの誘客方法としても効果的でした。
ほぼ全てのブースでSNSのフォローを促すキャンペーンが行われており、インバウンド対策におけるSNSでのPRや情報発信は、もはや必須事項であると改めて実感しました。
各ブースで配布物を豊富に準備し、インバウンド誘客へ
▲「WTM London」:JNTOの資料配布ブース
ビジット・ジャパンエリアの正面に位置するJNTOブースでは、全国の都道府県のパンフレットを豊富に準備していました。来場者は美しい写真に目を止め、パンフレットを手に取りながら、スタッフへ質問をする姿が多く見られました。
「WTM London」では、日本に限らずどこのブースも、紙媒体の資料を豊富に準備する傾向にありました。持ち帰りやすいように紙袋などを用意してあるブースや、あらかじめ袋に資料を入れた状態で来場者に配っているブースが多かったのも特徴的です。
▲「WTM London」:クロアチアの小モニター付き資料配布ブース
紙媒体の資料配布が主流な中、クロアチアなど一部の国では小モニターも合わせて設置し、動画を通して地域やホテルの魅力を説明しているブースも見受けられました。
まとめ:WTM Londonは旅行業界の最新動向を掴み、メディアへのPRや商談をする絶好の機会!
「WTM London」はBtoBの旅行見本市として、各ブースで個別商談や連日開催されるカンファレンスが盛んに行われているため、世界の旅行業界の最新動向を掴む絶好の機会と言えます。
有名ブロガーやメディアなども多く集い、地方自治体のインバウンド誘致において、直接PRをしやすい環境にもあります。また、各国のブースを見学する中で、やはり体験コーナーをPRのきっかけとして有効活用しているケースが目立ちました。
出展の際には、展示だけでなくデモンストレーションや体験コーナーを設けると、来場者の誘客へ非常に効果的でしょう。
2019年の「WTM London」は、11月4日〜6日に同じくExCeL Londonで開催されます。参加事業者の募集と出展の詳細は、毎年5〜6月頃にJNTOから発表されます。タイミングを逃さないようJNTOのホームページの新着情報を随時チェックしましょう。
インバウンド対策なにから始めたら良いかわからない? 「インバウンドコンサル」を資料で詳しくみてみる 「調査・リサーチ」を資料で詳しくみてみる 「インバウンドデータ」を資料で詳しくみてみる 「インバウンド研修」を資料で詳しくみてみる「WTM London」イベント情報
イベント名 |
WTM London |
開催国・都市 |
イギリス・ロンドン |
開催日 |
2018年11月5日~7日 |
会場 |
ExCeL London |
対象 |
業界関係者 |
来場者数 |
約5万人(2018年実績) |
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。
<本セミナーのポイント>
- 変わりゆく市場の状況と、今後注目のトレンドを把握できる
- 旅マエの顧客行動を理解し、集客・予約率アップのヒントが得られる
- 旅ナカの接客品質を高め、顧客満足度向上に繋がる実践的な対応を学べる
- 各分野の専門家から、ビジネスを加速させる具体的な戦略や成功事例が聞ける
詳しくはこちらをご覧ください。
→宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
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