18日、年間の訪日外国人数が初めて3000万を突破したことが明らかになりました。政府の目標では2020年までに4000万人となっていますが、その数値もますます現実味を帯びてきています。
2020年に予定されている一大イベントといえば東京オリンピックですが、日本航空はオリンピックの開催時期に合わせて訪日外国人を対象とした国内線無料キャンペーンを行うことを発表しました。
国内線「無料」という今までにない大胆な施策ですが、そのねらいはどこにあるのでしょうか?また、現在の訪日外国人の国内線利用状況はどのようになっているのでしょうか?以下で詳しく見ていきましょう。
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日本航空、五輪期間中は訪日外国人国内線”無料”
8月、日本航空は、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催期間前後に、訪日外国人を対象に日本航空の国内線を無料にすると明らかにしました。これは東京五輪に合わせて訪日した外国人を地方へと促すのが目的です。
対象人数や路線、実施期間などの詳細は現在検討中で、五輪期間中は運賃の割引やマイレージキャンペーンも並行して行うということです。
日本航空の赤坂祐二社長は「東京だけではない日本の魅力を伝え、(訪日)リピーターになってもらえるような仕掛けを積極的にやる」とし、地方への送客を強化していく方針を示しました。具体的には、2020年時点での訪日外国人観光客の地方送客を現在の3倍以上(200万人以上)にするのが目標だということです。
他にも日本航空は、2020年4月から客室乗務員の制服を一新するとともに、新たに100億円を投資して、だれもがストレスフリーに利用できる「スマート空港」の整備や国産のバイオジェット燃料を使った運航の実現に向けて準備を進めていくということです。
なぜ”無料”にするの?地方訪問を促進するため
なぜ日本航空はこのような大胆な施策を行うことにしたのでしょうか?
それは東京オリンピックを機に日本を訪れる外国人の地方訪問を促進するためということにほかなりません。東京オリンピックで使われる会場は主に東京都内にありますが、東京だけ訪れて帰るというのでは消費額が低くなることで経済効果が薄くなってしまいますし、日本航空の赤坂社長が言う「東京だけではない日本の魅力」が伝わりません。
人数・期間限定とはいえ、訪日外国人を対象に国内線を無料にするというのは、かなり思い切った施策のように思われますが、実はこの日本航空国内線での訪日外国人優待は今に始まったことではないのです。
日本航空は2015年から、訪日外国人を対象にJAL・JTAの飛行機に格安で乗れる「Japan Explorer Pass」を販売しています。Japan Explorer PassはJAL・JTAの国内線がすべて1区間10,800円(税込)で乗れるというものです。一人5区間まで購入することができます。
さらにこのJapan Explorer Passは、2017年5月に一部の価格改定が行われました。これにより、北海道内の路線・東北発着の路線が5,400円(税込)、沖縄や離島の路線が7,560円(税込)となりました。
この価格設定は破格といっても良いでしょう。例えば2018年12月21日(金)の羽田空港発・那覇空港行きの航空券は、大人一人48,100円(税込)となっていますが、Japan Explorer Passの運賃だと7,560円(税込)ということになります。
このように日本航空は今までも訪日外国人に対する運賃割引を行ってきました。しかしそれを踏まえてもやはり無料というのはインパクトがあります。
ネット上では「そこまでしなくても」という声もあるようです。しかし運賃を無料にすることで単に訪日外国人の地方訪問を促せるだけでなく、”無料”ということで話題性があるため、日本航空としても注目を集められるというメリットがあります。
インバウンド×国内線ってどうなの?
とはいえ、インバウンドと国内線の”相性”は実際どうなのでしょうか?
東日本旅客鉄道株式会社と株式会社NTTデータが共同で行った訪日外国人を対象にした調査によると、日本全体を11のブロックに分け(北海道、東北、関東、信越、北陸、東海、近畿、中国、四国、九州、沖縄地方)、そのブロックを超える移動(=広域移動)の際に利用した交通機関として最も多かったのが「飛行機」でした。
「飛行機」が33%、「新幹線」が30%とかなり拮抗していますが、広域移動の際には飛行機の国内線も根強い需要があることがわかります。
また、観光庁の2018年版観光白書によると、2017年の訪日外国人の宿泊は三大都市部以外の地方部のシェアが初めて4割を超えたということです。このことから、訪日外国人の地方訪問への需要が徐々に高まってきていることがわかります。日本航空の国内線運賃無料キャンペーンもこの需要に答える形であるため、訪日外国人の地方訪問がさらに促進されることが予想されます。
まとめ
訪日外国人の地方訪問が増加する傾向にあるなか、日本航空の訪日外国人向け国内線無料キャンペーンは、そのような傾向を後押しするものになることが予想されます。
東京オリンピックの際には今まで日本を訪れたことのなかった人も多く日本にやってきます。日本のインバウンドでは新規顧客を獲得する大きなチャンスといえるでしょう。日本各地を周遊し「東京だけではない日本の魅力」を感じてもらえれば、ゆくゆくはリピーターになることも十分期待できます。
キャンペーンの対象人数や期間は現在検討中ということですので、詳細については今後明らかになってくるものと思われます。
<参照>
- iZa:日航、東京五輪・パラリンピック時、訪日客は国内線無料に
- IRORIO:JALが東京五輪に向け訪日外国人を「地方に無料招待」へ。ネット上で「粋」「不公平」と賛否
- JAPAN AIRLINES:訪日外国人旅行者向け国内線新運賃「Japan Explorer Pass」の販売を開始
- JAPAN AIRLINES:訪日旅行者向け国内線運賃「Japan Explorer Pass」の一部運賃変更を決定
- JAPAN AIRLINES:大人普通運賃
- 観光庁:平成30年版観光白書について(概要版)
- NTT DATA:訪日外国人旅行者移動実態調査について
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