訪日客に食文化を発信し、農山漁村へのインバウンド誘客促進を目的に農林水産省が創設した「SAVOR JAPAN(セーバージャパン、農泊 食文化海外発信地域)」ブランドに、認定地域が6つ追加されたとの発表がありました。SAVOR JAPANの仕組みと訪日客へのPRを目指す認定地域の選出理由を紹介し、世界的に評価の高い日本の食文化を活用したインバウンドの地方誘客のあり方を見ていきましょう。
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SAVOR JAPANとは
「和食」のユネスコ無形文化遺産登録などをきっかけに、海外における日本食や食文化への関心や実際に日本を訪れて「本場の日本食」を体験したいといったニーズが高まっています。和食への関心の高まりを受け、訪日外国人観光客の誘致を目指す地域の取り組みを「 SAVOR JAPAN(農泊 食文化海外発信地域)」として認定する制度を平成28年に創設しました。2020年の東京オリンピック・パラリンピックも見据え、農林水産業をメインに地域の魅力を発信する機会として活用されることが期待されます。
平成28年〜30年度までに、北は北海道、南は宮崎まで21地域が認定されました。毎年5月〜7月頃にかけて取り組み計画の募集を行っています。認定地域の選定は、観光庁との協議に加え「農泊 食文化海外発信地域」有識者会議委員からの助言を経た上で、農林水産大臣から国土交通大臣へ意見照会を行い決定されます。
SAVOR JAPANの支援の仕組み
認定地域への具体的な支援は、農林水産省から取り組み支援を受けた「SAVOR JAPAN推進協議会」が実施しています。「SAVOR JAPAN推進協議会」とは、SAVOR JAPAN認定地域および認定を目指す地域のネットワーキングを行う民間団体です。SAVOR JAPANに認定された各地域の食や農山漁村の魅力を発信した上で、訪日客誘致促進を目指し、地域の新たな魅力作りのためのサポートを実施します。支援例として以下の5つを挙げます。
- 地域開発のための有識者・アドバイザーの派遣や紹介
- 地域の食・農業を中心としたコンテンツやストーリー作り
- インバウンド誘客に繋へる旅行商品作りのサポート
- 海外旅行博覧会や商談会等への出展支援
- ホームページやSNSを通じた情報発信
JNTOなど各政府機関の情報発信事業との連携や、政府系サイトにおける情報発信や海外でのイベントの開催も取り組みの一環です。SAVOR JAPANは、農林水産省をはじめとする各政府機関、認定地域の自治体、SAVOR JAPAN推進協議会の3箇所が連携し、日本の地域ならではの食文化を海外へPRし、訪日客の地方誘客促進へ取り組んでいると言えます。
SAVOR JAPANの最新認定地域6箇所とは?
平成30年度は、全国17地域から申請があり、最終的に6地域が「 SAVOR JAPAN(農泊 食文化海外発信地域)」として認定されました。
- 埼玉県 秩父地域※1:秩父山渓の豊富な湧き水と盆地特有の気候を活かした酒蔵・醸造所・ワイナリー・地ビールなど水を活かした酒造りや川魚料理が盛ん。荒川・長瀞の川下りなどのアクティビティや温泉など、水資源を活用したインバウンドを推進。
- 長野県 白馬村:そばがきやそば切りなどの郷土食が発展。冬のリゾート地だけでなく、夏の山岳アクティビティと地域の食の提供で、通年楽しめるリゾートを推進。
- 京都府 森の京都地域※2:平安時代から京の都の食料供給地として京野菜や丹波栗・黒大豆・大納言小豆・松茸などを生産してきた地域。日本の原風景が残る里山の暮らしと地域の食体験を提供。
- 京都府 京都山城地域※3:煎茶製法の発祥の地として、茶園景観・茶摘み・製茶体験・お茶や京野菜を使用した料理など、宇治茶の全てを体験できる機会を、農家民宿や道の駅などで提供。
- 和歌山県 湯浅町:日本遺産や伝統的建造物群保護地区に選定された醤油の発祥地で、醤油の歴史や製造方法などを学び、湯浅湾で獲れた豊かな海の幸などを堪能できる体験を提供。
- 広島県 尾道市:古くから活発だった海運交通により運ばれた日本各地の食材と、地域の海産物、柑橘等により豊かな食文化が発達。歴史を感じる街並みとしまなみ街道の景観を活かし、街歩きやサイクリング等のアクティビティと併せた食の体験を提供。
※1:秩父市・横瀬町・皆野町・長瀞町・小鹿野町
※2:亀岡市・南丹市・京丹波町・福知山市・綾部市
※3:宇治市・城陽市・八幡市・京田辺市・木津川市・久御山町・井出町・宇治田原町・笠置町・和束町・精華町・南山城村
まとめ:日本食・食文化によるインバウンドの地方誘客活発化へ
インバウンドの地方誘客促進が叫ばれる中、SAVOR JAPANは海外でも評価の高い食文化を通じた取り組みとして注目が高まります。インバウンド市場におけるコト消費需要が高まっていることもあり、よりリアルな日本を体験できる機会を提供する認定地域は、日本ファンを増やす上で非常に重要な役割を担うと言えるでしょう。SAVOR JAPANを通じて、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控えた今、地域ごとのインバウンド誘客への取り組みがさらに活発化していくことが期待されます。
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- SAVOR JAPAN:公式ウェブサイト
- 近畿農政局:プレスリリース(平成30年12月7日)
- 農林水産省:「 SAVOR JAPAN(農泊 食文化海外発信地域)」について NEW
- 農林水産省:「SAVOR JAPAN(農泊 食文化海外発信地域)」について
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