次なるインバウンドの鍵「ブラック・ミレニアルズ」とは?/中国(アジア人)、欧米豪(白人)の次は「黒人の若者」の時代へ…「多様化」高まるインバウンド

訪日外国人観光客の地域別の割合は、2018年11月時点で約80%がアジア圏となっています。しかし、アジアの訪日意欲が成熟化の兆しにあることや、アジア全体で自然災害への懸念を示す傾向にある点から、リスク回避のためにも訪日客の多様化が求められています。

今回は、黒人の若者の間で海外旅行への関心が高まっていることを受け、新たなインバウンドのターゲット層としての可能性を見ていきましょう。


日本のインバウンドPRの対象は「白人」ばかり!?

▲白人旅行者のイメージ画像

DBJ・JTBFアジア・欧米豪訪日外国人旅行者の意向調査(2018年度版)の結果から、アジア圏における訪日意欲の成熟化や自然災害への懸念の広がりが見受けられます。現在訪日外国人観光客の地域別の割合で過半数を占めるアジアを、引き続きインバウンドのメインターゲットとするのは、リスクが高いと言えるでしょう。JNTOは、欧米豪へ向けたアプローチにも着手しており、2018年には「Enjoy my Japan」キャンペーンを始動させました。

観光庁&JNTO 欧米豪向け大規模プロモーション「Enjoy my Japan」を2月からスタート

以前の記事でもご紹介したように、欧米豪圏のインバウンド市場は、滞在日数が長いことや訪日旅行中の支出が多いこと、「コト消費」にお金を使うことなどを理由に注目されています。観光庁とJNTO(日本政府観光局)でも 2018年から欧米豪圏向けの訪日旅行プロモーションに本腰を入れていくようです。まずは知ってもらう!旅マエに有効なインバウンド集客の資料を無料でダウンロードする「インバウンド動画プロモーション」の資料を無料でダウンロードする「SNSを活用したプロモーション」の資料を無料でダウンロードする...


訪日客の多様性実現に向けた取り組みが進む一方で、北米やヨーロッパの民族・人種的マイノリティーに向けたプロモーションはいまだ十分とは言えません。日本で欧米旅行者というと白人をイメージする傾向にあり、実際に欧米豪向けプロモーションにおいて白人を起用する例が多いです。

しかし、日本が訪日客の多様化を実現し、真の観光立国として成長し続けていくためには、有色人種の若者「ミレニアル世代」もターゲットとする必要があります。

アメリカの有色人種の割合は、将来的に白人層を大きく上回り、社会的な影響力が増していくと言われているためです。今後の日本のインバウンド戦略において重要になるであろう「ブラックトラベルムーブメント」について、次項で詳しく紹介していきます。

インバウンド誘客の鍵「ブラック・ミレニアルズ」とは?

▲Nomadness Travel Tribe:公式ウェブサイトより引用

「ブラックトラベルムーブメント」という、都市における黒人層のとりわけミレニアル世代「ブラック・ミレニアルズ」を中心に、積極的に海外旅行を楽しもうといった動きが活発化しています。しかし、人種隔離政策時代は黒人が旅に出ることは危険であったという背景から、「黒人は旅に出ない」といったステレオタイプが残っているのも事実です。

現在は、特に高いレベルの教育を受け、収入も高いアフリカ系アメリカ人のミレニアル世代の間で、旅行を楽しむ人たちが急増しています。自らの旅の体験をSNSを通して積極的に発信する傾向にあり、黒人コミュニティーで旅行への興味関心を集めようとする動きが見られます。SNSを通じた情報発信の活発化から、旅行業界における黒人の存在感を高めたいといった意図が伺えるでしょう。

「ブラック・ミレニアルズ」による最大級のオンラインコミュニティ「Nomadness Travel Tribe」は、旅する黒人たちが旅の体験を共有できるプラットフォームとして注目を集めています。参加条件はパスポートのスタンプ1つで、世界各地から集まるメンバーとの旅や年に一度ニューヨークで開催される"旅の協議会"を通じ、オンラインだけでなくオフラインでの交流も活発です。

ほかにも「Black & Abroad」「Travel Noire」「Black Travel Movement」といった黒人コミュニティー向けの旅のプラットフォームが存在し、Instagramやブログから海外旅行に興味を持つ黒人層が増えています。実体験を元にした東京の楽しみ方や黒人グループで日本のスキー場を満喫した様子などを紹介するブログも掲載されていることから、「ブラック・ミレニアルズ」の間で訪日旅行への興味も高まっていると言えるでしょう。

黒人のインフルエンサーを起用してインバウンド対策を

▲ Amarachi Nwosu:公式ウェブサイトより引用
今後「ブラック・ミレニアルズ」に向けたインバウンド誘致を行っていく上で、黒人を起用したプロモーションが鍵となります。観光PRの場や旅行のパンフレットなどに、黒人旅行客の写真を使用するなどして、「ブラック・ミレニアルズ」を惹きつけることも効果的でしょう。

黒人をプロモーションに起用することで、人種としてのアイデンティティーに理解と存在としての認識を示すことにも繋がり、仲間意識が強い彼らの心を一気に掴みやすくなります。現時点では訪日旅行の黒人たちの写真や体験談が少ないため、一度ブームが起きれば彼らはより強い反応を示し、注目の旅先として話題となる可能性も期待できるでしょう。

黒人の旅行ブロガーやSNSなどのインフルエンサーを起用したプロモーションも1つの手段です。これまでも写真家・映像作家でナイジェリア系アメリカ人Amarachi Nwosu氏が、黒人をモデルに東京で撮影した写真をSNSにたびたび投稿し注目を集めているほか、黒人ミュージシャンのミュージックビデオが東京で撮影されるなど、東京がクールな文化が根付く都市として黒人コミュニティに発信されています。

英国の黒人が生み出した音楽のジャンル「グライム」「アフロスウィング」界の人気アーティストたちは、日本が好きでツアーの開催や新たなビジネスチャンスに興味を示しています。しかし、日本がインバウンド誘客における「ブラック・ミレニアルズ」へのPRの重要性にまだ気づいていない点こそ、大きな課題と言えます。


まとめ:インバウンド誘客のターゲットの多様化が課題

インバウンド誘客のターゲットをアジア圏中心だったところから欧米豪にも目を向けるようになった日本ですが、2020年の東京オリンピックパラリンピック以降も真の観光立国として成長を続けていくためには、訪日客のさらなる多様化が求められます。

「ブラック・ミレニアルズ」をターゲットとしたプロモーションは、他国もまだ取り入れていないところが多いため、今こそ開拓すべき潜在層だと言えるでしょう。今後は従来の方法にとらわれず、黒人のアーティストやインフルエンサーの動向や「ブラック・ミレニアルズ」の旅行の趣向にアンテナを張り、さらなる訪日旅行の魅力発信が期待されます。


<参考>

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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