京都市および京都市観光協会はVisaやVoyaginと連携し、伏見や大原などの隠れた周辺観光スポットにおける体験型メニューの開発に着手すると、2018年12月に発表しました。京都市は近年、訪日客による混雑で観光公害「オーバーツーリズム」に悩まされていることから、混雑緩和による観光客の満足度向上などを目指します。連携までの背景やインバウンドのコト消費需要を満たす体験サービス内容をふまえ、京都市のオーバーツーリズム対策を見ていきましょう。
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京都におけるオーバーツーリズム対策は急務

観光公害「オーバーツーリズム」とは、ある地域で観光客が増加することで、地元住民の日常生活に支障がでる現象です。イタリアのヴェネチアでは観光客が増えすぎたことに対し、住民が怒りのデモを起こすなど、世界的にも問題となっています。日本では、京都でオーバーツーリズムが顕在化している状況です。
京都を訪れる訪日外国人観光客は年間740万人にものぼり、地元住民の日常生活に支障をきたし始めています。路線バスは観光客で溢れ、紅葉などのハイシーズンには地元住民でさえバスに乗れないといった事態が発生しています。住宅密集地でも民泊が増加したことで、騒音被害に悩まされる住民も少なくありません。訪日客の満足度向上はもちろん、地元住民の生活の質を向上させるためにも、京都のオーバーツーリズム対策は急務であると言えるでしょう。
京都市のオーバーツーリズム事業【3つのゴール】

京都市と京都市観光協会は、オーバーツーリズムへの対策事業のゴールを3つ設定しました。
1. 「混雑状況に不満」と回答する観光客の減少
京都市が毎年実施している「京都観光総合調査」において「京都観光で残念に思ったこと」として「混雑」の回答を減らしていくことを目指します。平成29年度の調査結果によると、外国人観光客は約8割が「残念なことはなかった」と回答した一方で、日本人観光客の4割強が「残念なことがあった」と回答し、理由として17.1%が「混雑」を挙げたことが明らかになりました。
2. 「市民にとって暮らしやすい観光地である」と回答する市民の増加
京都市が毎年実施している「市民生活実感調査」では「京都は、市民にとって暮らしやすい観光地である」といった回答が、平成26年に最高値0.58を記録して以来、平成29年には0.33まで悪化しています。
3. 京都観光にとっての望ましい賑わい状況を規定する
観光地における「混雑」とは、空間的要因・混雑を感じる人の属性・あらかじめ混雑の覚悟があるか、といったさまざまな要因が関係するとしています。京都観光の魅力を最大限引き出すのに望ましい賑わい状況の程度の規定に向け、各所と連携し研究に取り組みます。
インバウンド向け体験メニューキャンペーンで広域周遊観光の実現へ

世界各国の会員向けに訪日旅行の情報発信サイト「Visit Japan with Visa」を展開するVisaと、訪日客向けに体験型ツアーを販売するWebサイト「Voyagin」が連携し、京都全域の体験型メニューの予約から決済まで可能なキャンペーンサイトをリリースしました。訪日客を分散させることで中心部の混雑を緩和し、満足度を向上させることが狙いです。
京都中心部の有名観光地だけでなく、大原や伏見など京都のあらゆる街を周遊できるようなメニューを用意しています。伏見の日本酒試飲体験といった地域ならではの魅力を満喫できるメニューや、大原や高雄の寺院巡りツアー、地域の人との交流が楽しめる料理教室などを開発しました。キャンペーンサイトの体験メニューをVisaカードで購入すると、5%割引になるといった仕組みも取り入れています。
まとめ:住民の生活を守り、訪日外国人観光客のさらなる満足度向上へ
京都全域に訪日客を分散する体験型メニューの充実により、オーバーツーリズムに悩まされている中心部の地元住民の生活の質や観光客の満足度の向上が期待されます。リピーターはもちろんコト消費需要の高まりに対しても、新たな地域の魅力発信は効果的と言えるでしょう。今後も京都市のオーバーツーリズム対策とその効果からは目が離せません。
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<参考>
- 京都市観光協会:オーバーツーリズム対策事業
- 京都市観光協会:お知らせ(2018年12月19日)
- Voyagin:Kyoto City Visa Offer
- NHK NEWS WEB:忍び寄るオーバーツーリズム 日本も危機に
- 京都市:京都観光総合調査 平成29年
【7/23開催】育成だけではガイドは増えない!地域の魅力を最大化させる『ローカルガイド』を増やす打ち手とは
本セミナーでは、インバウンド観光における地方誘客や地域消費拡大の鍵として、「ローカルガイド」の可能性に焦点を当てます。
観光地では今なお、多言語で地域の歴史や文化を伝えられるガイドが不足しており、「訪日外国人の受け入れ体制が十分とはいえない」と感じている自治体も多いのではないでしょうか。
そこで注目されているのが、地域に根ざした人々が観光客を案内する「ローカルガイド」です。
2018年の法改正により、国家資格がなくても有償でガイドができるようになり、地域住民や移住者など、さまざまな人がローカルガイドとして活躍できる時代となりました
誰もがガイドになれる今だからこそ、地域の魅力を正しく伝え、訪日外国人に満足してもらえるガイド人材がこれまで以上に重要になっています。質の高いローカルガイドを増やせば、インバウンドの消費を促進し、地域経済への波及効果も大きく期待できます。
本セミナーでは、株式会社羅針盤と株式会社movが共催し、インバウンドを地域でどう受け入れ、地域の魅力をどう伝えるか。そのために欠かせないローカルガイドを増やすための具体的な打ち手や、現場での実践例を詳しくご紹介します。
<セミナーのポイント>
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詳しくはこちらをご覧ください。
→育成だけではガイドは増えない!地域の魅力を最大化させる『ローカルガイド』を増やす打ち手とは【7/23開催】
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
【インバウンド情報まとめ 2025年7月前編】「予言」の日7/5終了で訪日需要戻るか、6月の香港からの訪日客は33%減 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に7月前半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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