2018年10月25~28日、イギリスのロンドンで「The Telegraph Ski & Snowboard Festival」が開催されました。
イギリスの新聞社「The Telegraph」が毎年10月末に開催しているイベントで、今年で45周年を迎える歴史のある唯一のウィンタースポーツイベントでもあります。大小合わせ130以上の団体が出展し、開催4日間で25,000人以上のスキーヤー・スノーボーダーの来場者が訪れます。
【訪日ラボは、インバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を8月5日に開催します】
「The Telegraph Ski & Snowboard Festival」はウィンタースポーツ好きのためのイベント。バラエティに富んだブースが揃う。
主催者の統計によると、このイベントの来場者の92%は中級レベルのスキーヤー・スノーボーダーです。また、来場者の半数以上が年間2回以上のウィンタースポーツ休暇を取っており、熟練者向けの出展ブースも多かったようです。
会場に入るとまず目に入ってきたのは屋外エリアのロッジ風ブースです。主にウィンタースポーツアパレルを販売していました。インスタ映えを意識したような小道具を用意している店舗もあり、写真を撮って盛り上がっている様子も見受けられました。
このイベントの大目玉とも言えるのが、本物の雪を使った雪山ステージです。ビルの高さ4階分に相当するそうで、近くで見ると結構な迫力でした。こちらではオリンピック選手やプロ選手のパフォーマンス等が行われ、アクロバティックな滑走に会場は盛り上がりました。
屋外エリアを通り抜けると屋内エリアの建物が見えてきます。会場内はロッジ風ではなく一般的なブースが並んでいますが、天井には青いライトが煌めいていて、雪が降っているような幻想的な雰囲気でした。
屋内エリア面積の半数以上を占めるのがスキーリゾートブースです。
今回1番大きなブースを出展していたのが「NORWAY HOME OF SKIING」というノルウェーへの誘致ブースで、カウンターには来場者が絶えず相談に来ているようでした。サンタクロースがやってくるミニイベントやノルウェー名物のチーズを配布しているコーナーも用意されていました。サンタがやって来る時間には、多くの家族が列を作って一緒に写真を撮り、さらにブースが盛り上がっていました。
2番目に大きなブースは、イギリスから近くて人気のあるスキーリゾートのフランスです。「FRANCE MONTAGNES」というブースの中に、いくつかの団体が共同で出展していました。ブースの中央にある白いテント内では人口雪が降る中、プロモーションビデオが上映されていました。プチギフトが当たるルーレットや射的コーナーも子どもに受けが良いようでした。
オーストラリアの「TIROL TOURIST BOARD」ブースは、ログハウス風になっていて会場内でも目立っていました。
スイスの「SWITZERLAND TOURISM」ブースでは、雪景色の中にボブスレーが展示されており、ロケセットさながらの装飾に、多くの来場者の興味を引いていました。
小さめのブースは派手な装飾が難しい分、呼び込みを頑張っているところも多く見受けられました。イタリアやバルカン半島、アメリカの雪山等、日本人からするとウィンタースポーツの馴染みがない場所からのブース出展もありました。

スキーリゾート誘致の各ブースでは「次のホリデーの予定は決まっていますか?」と話しかけられ、各地の魅力やメリットをリーフレットで説明してくれました。メールマガジンに登録するとグッズがもらえるキャンペーンや、その場の予約での割引や、リフト券が無料になる特典を用意していました。イギリスの冬のホリデーシーズンはクリスマスであるため、1月以降は雪の状態も良い上に、混み合っていないので狙い目だと話す方もいました。
屋内エリアにも数ブース、ウィンタースポーツアパレルの販売もありました。スキー板、スキー靴のディスカウント販売も行われており、賑わいを見せていました。日本ではスノーボードの方が人気な傾向にありますが、ヨーロッパではスキーが主流のようです。
スキー、スノーボードは体幹の強さが、スキルアップに繋がるスポーツということもあってトレーニングマシーンの販売をしているブースも3〜4つありました。リゾートブースに比べて賑わいはありませんでしたが、それでもトレーニングに興味のある来場者が器具を試してながら楽しんでいました。
トレーニング以外にも、日々の食生活も大事にしようという意図で宅配食のブースも2つありました。
他には、旅行代理店、航空会社、別荘、繰り返し使えるカイロ、マッサージ体験、動物保護団体等、様々な角度からのアプローチするブースが来場者を楽しませていました。多くの来場者が各ブースでもらったパンフレットや、購入したアイテムの袋を手に提げて楽しそうに場内を歩き回っている様子が印象的でした。
「The Telegraph Ski & Snowboard Festival」の日本ブースでは全国各地のスキー場の魅力をアピール
今回の「The Telegraph Ski & Snowboard Festival」では、日本からはJNTO(日本政府観光局)が比較的大規模のブースを出展していました。
「POWDER SNOW HOKKAIDO(北海道)」「Go! Nagano(長野)」「斑尾高原スキー場」「蔵王温泉ロッジスコーレ」の4団体が共同で出展していました。
このイベントに10年間ほど出展しているという「Go! Nagano」のスタッフの方にお話を聞くと、「ウィンタースポーツ目的の訪日観光客はオーストラリアからが多く、ヨーロッパからのゲストも年々増えつつある状況ですが、特にイギリスからだとフライト時間が片道12時間ほどになり、手軽さではフランスには負けてしまう」「ウィンタースポーツレジャー以外に日本の観光での楽しみを知ってもらうことや、東京からのアクセスの良さを理解してもらうことも重要だ」と仰っていました。
訪日客の中で知名度が高く人気のスキー場は北海道ニセコと長野県白馬で、他の場所はその2か所を追うように宣伝の努力をしているとのことでした。
ブース内には、日本酒の試飲や折り紙などの文化体験の出来るコーナーも用意されていました。子どもがスタッフと一緒に折り紙を楽しみ、親たちが日本酒を飲みながら各地の見どころを聞いている様子を見かけました。
ちなみに日本以外にアジアからブースを出展していたのは韓国でした。今年の冬季オリンピック会場だったピョンチャンを中心にPRしていました。
「The Telegraph Ski & Snowboard Festival」では子どもを楽しませるブースも目立ち、家族旅行をターゲットにしている
毎年10月末のハーフターム(主に小学校の約1週間休みで、家族では旅行やおでかけに行くことも多い)に多くのイベントが開催されることもあり、ほとんどの来場者が家族連れだったように思えます。子どもが楽しめるブースが多数用意されていました。
屋外エリアには、前述の雪山ステージの隣に観覧車が立ち、常に賑わっていました。
誘致ブースにはARを使ったスキーゲームや人工雪玉を投げて遊ぶゲーム等を用意しているところも多く、親たちが話をしている間に子どもたちを遊ばせられる工夫がされていました。
インスタ映えを意識したような小道具やパネルを用意しているブースも多い印象です。スキー場に行ったような合成写真が撮れるブースもあり、ちょうど写真を撮っていたロンドン在住のご家族にインタビューをさせてもらいました。
「毎年家族でこのイベントに遊びに来ていて、ウィンタースポーツが大好き。フランスに別荘を持っていることもあって、冬になると最低2回は行きます。日本には行ったことはないけど、とても興味がある」とのことでした。
屋外エリアにはフードテントが並び、屋内会場の2階にはドリンクカウンターと休憩できるテーブル席が並んでいて、半日滞在しても子どもが飽きないようなイベントの作り方がされていました。
まとめ:イギリスのウィンタースポーツ好き旅行者を日本に取り込むには距離を飛び越える魅力が必要
イギリスからウィンタースポーツを楽しみに行く場所で、有名なのはフランスとスイスです。アクセスが簡単で良質な雪があるというのが人気の理由だそうです。
ウィンタースポーツを目的に日本へ来てもらうには、フライト片道12時間を乗り越えてでも行ってみたいと思わせる「良質な雪」以上の魅力を伝えることが課題となっているようです。イギリスをはじめ、ヨーロッパで日本旅行の人気が高まりつつある中、ウィンタースポーツ好きにも目を向けてもらえるよう魅力を発信し続けることが重要ではないでしょうか。
【The Telegraph Ski & Snowboard Festival】イベント情報
- イベント名:The Telegraph Ski & Snowboard Festival
- 開催国・都市:イギリス・ロンドン
- 開催日:2018年10月25~28日
- 会場:BATTERSEA PARK, BATTERSEA EVOLUTION
- 主催:The Telegraph
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